テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ゆゆゆゆ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
昼休み。
会社近くの小さな公園。
ベンチに並んで座るジョン・ドウとジェーン。
「……どうぞ」
「……ありがとう」
手渡されるお弁当。
蓋を開けると、シンプルだけど丁寧に作られたおかず。
「……すごい」
「普通」
「いや絶対普通じゃないです」
「うるさい」
いつものやり取り。
でも——
距離は、前よりずっと自然に近い。
肩が軽く触れるくらい。
「ジョンのは」
「はい!」
ジョンも自分の弁当を差し出す。
「今日は軽めにしてみました」
「……見る」
少し覗き込むジェーン。
距離がさらに近い。
(近い……でももう慣れてきた……)
静かな時間。
風の音と、木の揺れる音。
「……こういうの」
ジェーンがぽつり。
「はい」
「悪くない」
「……よかったです」
ほんの少しだけ、笑いそうになるのをこらえる。
その時。
「いや〜平和だねぇ」
聞き慣れた声。
「……来た」
振り向くと——
ニヤニヤしながら歩いてくる
シェドレツキーと、
隣で腕を組む
デュセッカー。
「なんでいるんですか!?」
「昼休みだから?」
「絶対違いますよね!?」
「いいねぇ〜お弁当デート」
「デートじゃない」
ジェーンが即答。
「いやいやその距離で?」
シェドレツキーがにやにやする。
「もうバレてるって〜」
「……」
ジェーンは無言。
でも否定しない。
(あれ……?)
ジョンの心臓が少し跳ねる。
「でさ」
シェドレツキーが身を乗り出す。
「どこまでいったの?」
「やめてください!!」
「手は繋いだ?」
「やめてください!!」
「キスは?」
「やめてくださいって!!」
完全に騒がしい。
周りの視線も少し集まる。
「……うるさい」
ジェーンが低く言う。
でも。
今日はあまり効いてない。
「いやだって気になるじゃん〜」
「進捗報告してよ」
「しません!!」
その時。
「——ねぇ」
低くて、よく通る声。
空気が変わる。
全員が振り向く。
そこに立っていたのは——
紫の髪をアップにまとめ、紫のパーカーを着た女性。
鋭い目。
ラフな立ち姿。
でも圧が違う。
ブライト・アイズ。
「……あんたたち」
ゆっくり近づく。
「うちの妹に何してんの?」
静か。
でも完全に圧。
「……」
一瞬で空気が凍る。
「え、いやその……」
さっきまでの勢いが消えた
シェドレツキー。
(こえー女……)
顔に出てる。
「……昼休みの雑談だ」
冷静を装う
デュセッカー。
でもほんの少しだけ警戒している。
「雑談ねぇ」
ブライトが目を細める。
「随分楽しそうだったけど」
「いやそれは……」
シェドレツキーが一歩引く。
完全に勢いが逆転している。
「……姉さん」
ジェーンがぽつり。
「何しに来たの」
「散歩」
即答。
「嘘」
「バレた?」
全然悪びれない。
ブライトはジョンを見る。
「……あんた」
「は、はい!」
「ジョンくんだっけ」
「はい!!」
姿勢が良くなる。
「ちゃんと守ってる?」
「え」
一瞬迷って、
「……はい」
真剣に答える。
数秒の沈黙。
ブライトがじっと見る。
「……まあいいか」
小さく笑う。
「とりあえず」
シェドレツキーたちを見る。
「変なこと吹き込んだら」
にこっと笑って、
「潰すよ?」
「はいすみませんでした!!」
即謝罪の
シェドレツキー。
「関わらないようにする」
即撤退モードの
デュセッカー。
「じゃあね〜!」
「お邪魔しました〜!」
二人はそそくさと去っていく。
完全敗北。
静けさが戻る。
「……騒がしい」
ジェーンがぽつり。
「すみません……」
「なんで謝るの」
「いやその……」
ブライトはそれを見て、ふっと笑う。
「いい感じじゃん」
「……」
ジェーンは無言。
でも少しだけ視線を逸らす。
「じゃ、あたしも行くわ」
軽く手を振る。
「ちゃんとやりなよ」
「……言われなくても」
「はいはい」
楽しそうに去っていく。
二人だけになる。
さっきまでの騒がしさが嘘みたい。
「……」
「……」
少しだけ、顔を見合わせる。
そして——
ふっと、少しだけ笑う。
同時に。
「……続き」
ジェーンが言う。
「はい」
また弁当を開く。
さっきより、少しだけ距離が近いまま。