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榎本くもり
11,214
Sea Otter2026
38
NAL
97
七話目に来ましたここからグロ度が上がりますので生き残ってる人だけよ゛ん゛で゛み゛て゛く゛た゛さ゛い゛
「……おい、お前。何回目だ?」 吊り橋の真ん中でそう問いかけてきた旅人の顔が、次の瞬間、まるで熟し切ったザクロのように内側から「ブチリ」と破裂した。 引き裂かれた顔面の皮の隙間から、黄色い脂肪組織と赤黒い筋肉の繊維がドロドロと溢れ出す。男の頭部から突き出たのは、人間のものとは思えない、無数のトゲが生えた巨大な肉の顎(あご)だった。 男もまた、過去の死体と「混ざりきった」化け物だったのだ。「百回目かァ! 最高のご馳走(パーツ)だッ!!」 男が咆哮すると同時に、彼の腹部が縦に裂け、中から酸性の胃液に濡れた、ドロドロの小腸が何本も触手のように伸びてきた。 それは凄まじい速度で私の身体に巻き付き、私がせっかく母親の服で作り上げた「偽りの少年の皮」をベリベリ、ベキベキと生々しい音を立てて引き剥がしていった。「が、あ、あッ……!」 ステープラーで留めていた皮が剥ぎ取られ、私の下半身の「本性」が剥き出しになる。 露出した私の肉の塊から、第12回目の親友の腐った腕が怒り狂って飛び出し、男の顔面の肉顎を掴んで強引に引き裂いた。ブチブチ、メリメリと、生きている人間の頭蓋骨が真っ二つに割れる硬質な音が響く。割れた骨の隙間から、まだ温かいピンク色の脳髄がドロリと吊り橋の床にこぼれ落ち、凄まじい生臭さが辺りに立ち込めた。 だが、男は死なない。脳を潰されても、混ざり合った前世の死体たちが勝手に肉体を駆動させているのだ。 男の胴体から生えた無数の手足が、私の腹部に指を突き立て、肉を抉り、内臓を掴んで引きずり出そうとする。 ズブズブ、ボトボト。 私の100回目の腸と、過去の死者の黒い内臓が、男の手によって吊り橋の上に引き摺り出され、引きちぎられて散乱していく。溢れ出た生温かい血の海の中で、お互いのドロドロの肉片と脂身が、どちらがどちらのものかも分からぬほどに混ざり合っていく。「アハハハ! 混ざる、混ざるぞォ!」 男の割れた頭部から、複数の人間の声が重なって響く。 激痛で私の視界がパチパチと明滅する中、私の右手の平の『眼球』が、男の傷口の奥にある「あるもの」を捉えた。 男の胸の奥でドクドクと脈打つ、真っ黒に変色した心臓。そこに、もう一つの『眼球の痣』が張り付いている。あれが、あの男を動かしている周回プレイヤーの本体(コア)だ。(……喰ってやる) 私は残された左腕――政治犯の歯がびっしりと生えた「肉の口」を、限界まで大きく裂いた。顎の骨がパキリと外れ、少年の顔面が耳元まで裂ける。 私は男の胸元に顔を突っ込み、その黒い心臓ごと、男の肋骨をバリバリ、ゴリゴリと噛み砕いた。 口いっぱいに広がる、人間の生の骨髄の不快な甘みと、腐敗した血の泥のような味。 男のコアである『眼球』を噛み潰した瞬間、男の肉体が一気に生命力を失い、ドロドロのただの死肉の山となって崩れ落ちた。「カハッ、ウ、プ……!」 私は吊り橋の上に四つん這いになり、男の肉と血をゲボゲボと吐き出しながら、自らの下半身を見下ろした。 男を喰ったことで、私の下半身の肉の塊はさらに肥大化し、男の死体パーツまでを体内に取り込んで、ズブズブと激しく脈打っていた。 私はまた一つ、他人の死を自分の中に混ぜてしまった。 原型を失っていく自分の身体を引きずりながら、私は暗闇の向こうへと、狂った笑みを漏らしながら進み始めた。
コメント
1件
第7話、読み終わった……正直、読んでる最中ずっと口元押さえてたわ。冒頭の「お前、何回目だ?」で既にゾッとしたけど、顔面がザクロみたく破裂する描写からもう止まらなかった。ステープラーで留めた皮が剥がれる感覚とか、脳髄が床に落ちる生々しさとか、解像度エグくない? あと「混ざる、混ざるぞォ!」の狂気がめちゃくちゃ刺さった。本体のコア(眼球)を噛み潰す決断、カッコよかった。ただただグロいだけじゃなくて、喰うことでしか前に進めない哀しさみたいなのも滲んでて、次が気になる……!