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塩レモン
「だいち〜」
「はいよ?」
「これ、かたっぽ食べない?」
吉田さんから差し出されたのは、2つセットのチョココーヒー味のアイス。
「え、もらっていいん?」
もう一方をすでに口にくわえた、ポンパスタイルの吉田さんがうなずく。
「おん、よかったらどうぞ」
「やったぁ、ありがとぉ!」
ありがたく受け取って、先っぽを引きちぎり口にふくむと、なんだか懐かしい味が口に広がる。
「うわぁ、なんか久々に食べたわこれぇ」
「この年になってなかなか食わんわな」
「安かったからさぁ、昔はよう食べた気しぃひん?」
「うっわ食べた食べた!それこそ、レッスン後とかに2人でコンビニ行ってさぁ」
「あったあった!仁ちゃんよぉおごってくれてたもん」
「それはあれよ、だいちゃんが年上なんだからおごってっつって頑なに出さんかっただけよ」
「えぇ、そやっけぇ?」
「絶対そうだった!…お前、昔と全然変わってねぇじゃん!」
あははと、吉田さんは爆笑しながらおれの肩を小突く。
「仁ちゃんはえらい変わったよなぁ」
「あ?」
「昔はあんなさぁ、田舎者の海苔みたいな…」
「黙れお前」
「イタッ、ごめんごめんごめん!!」
二の腕をつねってくる仁ちゃんから逃げながら、なんだか感慨深い気持ちになる。
思い返せば、オーディションの時からほんとうに長い年月一緒にいる。
いろんなことあったけどさぁ。
変わらず一緒にいれてよかったなぁと、本気でそう思うよ。
end.