夜は嫌い。
目を閉じても頭は冴え渡り、考えるのは君の事ばかりだから。
夜は嫌い。
君がぼくじゃない誰かと一緒に居る事が容易に想像出来るから。
夜は嫌い。
月が見える日は特に。
“愛してる”って、君はあの子に囁いているだろうから。
一人ぼっちのぼくは今日もベッドの中で小さく丸まって眠るふりをするんだ。
一人ぼっちのぼくは自分の温もりで自分を温める事しか出来ないから。
君の温もりをどんなに求めたって、現実にその1歩を踏み出すことは出来なくて、呑んだ言葉はまた芽を出して、 身体の中に蔓を這わし、ぼくをどんどん雁字搦めにしていく。
いつか、蔓に埋め尽くされて息が出来なくなってしまう日が来るのではと思うけれど、人間ってそんなにやわな生き物じやわないのが辛いところだ。
大丈夫、なんてことはないよ。
直に夜は明けるから。
そう、自分に言い聞かせながら、今日も夜の闇に身体を震わせる。
-fin-
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