第9章 「炎が語る愛」
夜の街は紅く染まっていた。
ヴィランとヒーロー、誰もが正義を叫びながら傷ついていく。
その中で、ただ一人――哀はダビを探していた。
哀:「どこ……? ダビ、返事して!」
焦げた空気の中、蒼炎が揺らぐ。
その炎の中心に、彼がいた。
ダビ:「……哀、来るな!」
哀:「どうして!?」
ダビ:「俺の炎はもう制御できねぇ!近づいたら、お前まで――!」
哀:「だったら、燃えていい!」
叫びと同時に、哀は彼に駆け寄った。
炎が肌を焦がす。痛い。
でも――その奥に確かに“心の温度”を感じた。
哀:「あなたの炎は、壊すだけじゃない。
私には……優しくて、あたたかいの!」
ダビ:「……馬鹿、そんなこと言って……」
哀:「本当だよ。私ね、あなたの嘘も痛みも全部見えるの。
それでも好きなの!」
ダビの目が大きく見開かれる。
その瞳の奥に、哀の姿が映る。
ダビ:「……俺なんか、愛される資格ねぇのに。」
哀:「資格なんていらないよ。
だって、あなたを愛するのは“私の個性”じゃなくて、“私の心”だから。」
その瞬間、炎がふっと静まった。
蒼炎は穏やかな青に変わり、夜の闇をやさしく照らす。
ダビ:「……お前、俺を止めたのか?」
哀:「違うよ。あなたの心が、私を選んだの。」
ダビはゆっくりと哀を抱きしめた。
焦げた腕が、初めて“誰かを壊さずに”包み込む。
ダビ:「俺の全部、もうお前のもんだ。」
哀:「うん。私の全部も、あなたにあげる。」
涙と炎が混ざり合い、
まるで世界が二人を祝福しているようだった。
ダビ:「……俺、生まれ変わったら、普通の人間としてお前に会いたい。」
哀:「そんなのいらない。今のあなたが、好きだから。」
彼女の言葉に、ダビが小さく笑う。
それは初めて見せた、本当の笑顔だった。
ダビ:「……なぁ、哀。」
哀:「ん?」
ダビ:「俺、愛してる。」
哀:「……私も、あなたを。」
そして、炎が静かに包み込む。
破壊の炎ではなく――
二人を照らす、永遠の“誓いの炎”として。
⸻
ナレーション:
「それは戦いの終わりに生まれた、ひとつの愛。
嘘も、罪も、過去も焼き尽くして、
二人の心だけが、確かに生き続けた――。」
⸻
🔥 次章(最終章)予告:
「約束の光」
傷だらけの世界に、二人が新しい未来を灯す。
それは、誰よりも美しく強い“真実の愛”の形。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!