テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夕方。
リビングの窓が、少しだけオレンジ色。
【ころん】「今日さ、宿題少なめじゃない?」
【莉犬】「ラッキー!」
【あっきぃ】「……ほんとだ」
机に肘をついて、スマホを見る。
通知が一件。
【ぷりっつ】
反射で身構えそうになって、やめる。
(今は、大丈夫)
開く。
『明日、駅前で用事ある。
会えなくていい。
もし見かけても声かけない。』
短い。
言い切りじゃない。
(……選ばせてる)
胸の奥が、きゅっとなるけど、苦しくない。
少しして、別の通知。
【ちぐさ】
『この前言ってた曲、今日ラジオで流れた。
思い出しただけ。』
要求ゼロ。
期待も、圧もない。
スマホを伏せて、深呼吸。
(……怖くない)
思い返す。
返事を急かされない
行動を決められない
“戻れ”と言われない
(……違う)
前と。
【ころん】「なんか、顔ちがうね」
【莉犬】「いい意味でね!」
【あっきぃ】「……ぷり兄が駅前で用事って。
……会わなくていい、って」
【あっきぃ】「言われた」
【ころん】「それ、尊重ね」
【莉犬】「選択権あるじゃん!」
胸の奥が、すっとする。
夜。 自分の部屋。
ベッドに腰掛けて、天井を見る。
(……会う、って)
怖さは、まだある。
でも。
(……壊れる感じは、しない)
スマホを手に取る。
【あっきぃ】「……短く」
打つ。
【あっきぃ】
『もし、見かけたら。
挨拶だけなら。』
シュポッ。
心臓が、少し跳ねる。
でも、息は乱れない。
既読がつく。
返事は、すぐ来ない。
(……それでいい)
布団に入る。
【あっきぃ】「……会ってもいいかも」
声に出して、確かめる。
決断じゃない。
約束でもない。
ただの、 小さな“余白”。
でもそれは、
俺が自分で選んだ、
最初の前向きだった。