「…いきなり決闘と申されても、困るんだが…」
突如屋敷へ訪問して来た1骨のスケルトン。ハルを連れ去ろうとしていた為クロスが救助した。
そのスケルトンはクロスの姿を目視すると、いきなり決闘を申し込んで来た。
「それにもし、俺が決闘で負けて他のやつにまで危害が加えられるんだとしたら、俺はやらない。」
「安心しろ、用があるのはお前だけだ。死んでもらうというな。」
「何かクロスに恨みあるの!?めちゃくちゃ物騒!」
「さぁ掛かってこい、このベンデッタが直々に遊んでやろう!」
ベンデッタと名を名乗ったスケルトンは、クロス達がいる屋根へと吹き矢を放った。クロスは直ぐに避けハルを一旦地上に置くと、背中に背負っていた赤い双剣を鞘から引き抜いた。
「最近暇してたんだ。良いぜ、相手になってやる。」
吹き矢のピュウッという音や、剣のぶつかり合う音が聞こえる。
そして
「…思ったよりやるじゃないか、だが…」
突如辺りが白い霧に包まれた。クロスはすぐに煙幕と察したのだが、理解することはできても目では状況は分からずにいた。
一方ベンデッタは目視ゴーグルを付けているため、煙幕の中でもクロスの居場所は手に取るように分かった。
不意にブスッと肩に何かが刺さったような痛みをクロスは感じた。見てみると、吹き矢が1本刺さっていた。抜いても毒が回るような様子は無く、不思議がっていると。
ハルが小さく叫んだような気がした。ハルの方を見てみると、ベンデッタがハルを脇に抱えていた。
「気が変わった。どうせならお前にも俺と同じ苦しみを味わってもらおう。明日の日没までにこの女を解放できなければ、お前と女を殺す。」
「おい!アホな事言ってないで、早くハル返せ!苦しみって何だよ…!」
「…お前、覚えていないのか?」
「…生憎、ベンデッタなんて名前、知らないね。」
「…そうか」
ベンデッタはハルを抱えたまま、煙幕に紛れ逃げてしまった。
「…という訳で、ハル助けんぞ」
「…それはいいんだが、ベンデッタって誰なんだ?」
会議室。集まったのは、海里を除いた5人。海里は出張中の為不在だ。
説明を終えたものの、日向はベンデッタがスケルトンということ以外に情報があるか聞いたが、今のところはそれ以外無いと、クロスは答えた。
正体は心当たりがあるが、日向しかあの出来事は知らない為、話しておくのは辞めておいた。
「…とにかく、ハルの居場所は春日丘工場跡地。そこまで行くぞ。」
その一言で全員が動いた。
初めての友達をこんな形で失いたくない、そう思ったクロスだった。
「…クロス」
コメント
1件