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#ファンタジー
うにい
114
126
谷崎爽奈
282
#聖女
桜井正宗@オートスキル1巻発売
7,335
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
「えっと、飛田君。
どうする?」
『コージさん…
どうすればいいんでしょうか?』
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
「僕さあ、恋愛経験とか素人女性との接点とか殆どないんだけどさ…
地味にヤバくね?」
『いやあ、派手にヤバいっスね…』
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
「インターホン、出るよ?
電池勿体ないし。」
『あ、はい。』
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
「どうも、橋本です。」
「あ、橋本社長♪
御無沙汰しております。
須藤でーす♪」
「…ども。
えっと、御用件は?」
「実は私、飛田飛呂彦の正ヒロインなんです。
本当なんです。」
「…なるほどー。」
「だから、飛呂彦に面会する権利が
あると思うんですよ。」
「なるほどー。」
「そこに居るんだよね、飛呂彦。」
橋本が振り返ったので、俺は慌てて首を振る。
「あ、橋本社長♪
右斜め後ろ50センチの距離に居る飛呂彦と
身振りで会話しましたね?」
「『ビクッ!?』」
「あははは、わかるよー。
私と飛呂彦の仲じゃなーい❤」
俺と橋本コージは恐怖のあまり固く抱き合って震える。
「橋本社長、これ見えますよね?」
チャコちゃんがインターホンモニターに映したのは…
妊娠検査薬。
「あ、僕知ってる。
Hな漫画に出て来るやつー (ヒソヒソ)」
『あの女、妊娠したんでしょうか? (ヒソヒソ)』
「飛田君、ヤルことヤッたんじゃないの? (ヒソヒソ)」
『いやいや!
あの女とは何もしてないですよ。 (ヒソヒソ)』
俺達は対処を考える為に、マイクオフで話す。
「えー、飛呂彦ひどーい❤
何もしてなくはないよね?」
「『ビクッ!?』」
「な、なんでこっちの会話が聞こえてるの? (ヒソヒソ)
今、マイクオフになってるよね? (ヒソヒソ)」
『あの女は風を自由自在に操るんです (ヒソヒソ)
なので空気の流れから、こっちを探ってるのかも (ヒソヒソ)』
「あはは、正解。
厳密に言えば、空気の流れじゃなくて
愛の絆で飛呂彦の動きが分かるんだけどね。」
「『(ガクガクプルプル。)』」
「じゃ、橋本社長。
ドア、開けて貰えます?」
「え、いや、その…」
「10♪ 9♪ 8♪」
「う、うわあああああ!!!
開けます開けます!!」
流石の天才詐欺師も恐怖には勝てなかったらしく、開錠ボタンを押してしまった。
「ゴメン、飛田君。
恐怖に負けてしまった。」
『いや、さっきのは仕方ないですよ。
明らかな恫喝でしたから。
じゃ、俺はワープで逃げますんで。』
「ちょっと待ってよ!!!
キミが居なきゃ僕が殺されちゃうよ!!!」
『…いや、そんな事は。』
言いかけて口を噤む。
そうだよな、あの女ならそれ位はやるよな。
俺と橋本は大皿にお菓子を盛り付け、須藤の好物であるドクターペッパーをワイングラスに注いで神妙に待つ。
くっそ、俺のワープは万能だが人質戦術には全くの無力だ。
「やっほー❤」
『あ、ども。』
「…いらっしゃい。」
「チャコちゃんでーす♪ (横ピ)」
『あ、はい。』
「…ども。」
「飛田飛呂彦の妻です❤」
「…。」
『…。』
「もー、飛呂彦ったら照れちゃって♪
あんなに愛し合った仲じゃない❤」
「…。」
『…。』
「あ、橋本社長。
プロジェクターあるじゃないですか。
ちょっとお借りしますね。」
「え?
何の為に?」
「プレゼンです(迫真)!」
「あ、はい。」
チャコちゃんは手際よくプロジェクターの準備を始める。
対話よりもプレゼンを優先する辺り、この女の性根が垣間見える。
「はーい、それではお集まりの皆様。
ただいまから須藤千夜のライトニングトークを開始致します。
タイトルはズバリ!!
【チャコちゃんラブラブエンドで大勝利!!】
で御座います。」
「…。」
『…。』
「開始しまーす♪(圧)」
「『(パチパチパチ。)』」
「はい、温かい拍手ありがとうございます。
えー、結婚生活には3つの袋が大切だと言われております。
まず第一の袋は【お袋】ですね。
相手の母親を大切にするのが夫婦円満のコツで御座います。
これねー、我々は条件揃ってるんですよ。
お互い両親が居ないのでね、舅姑トラブルが起こり得ない。
これねー、意外に大きいと思うんですよ。
須藤千夜と飛田飛呂彦。
令和のアダムとイヴになり得ると思いませんか?
ははは、ここ笑うところですよー。
では第二の袋。
【給料袋】
やっぱりね、この世界的な不況ですからね。
経済力は大切なんです。
その点、私須藤千夜は100点満点❤
何せ永久機関で莫大な仮想通貨資産が積み上がってますからね。
いやー、想定以上に風力発電を持て余している地主さんが多いですね。
弊社、(株)ナウシカの社会的存在意義をひしひしと痛感する日々ですよ、はい。
そして!
第三の袋。
はーい、何だと思います?」
「…。」
『…。』
「飛呂彦ー❤
何だと思う?」
『か、堪忍袋… ですか。』
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…
「はい、正解❤
流石は私の飛呂彦♪
よく道理を弁えてますね❤
はい、そうです。
【堪忍袋】
即ち、怒りを抑える事ですね。
やっぱりねー、夫婦生活なんて他人同士の共同生活な訳じゃないですか。
そりゃあね、歯車が嚙み合わない時だってありますよ。
でもね? でもね?」
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…
「私はこんなに我慢強いです。」
「…。」
「『…ゴクリ。』」
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…
「今、このお腹の中には飛呂彦と私の愛の結晶が息づいております。
出産予定日的にミナミ達と子供が同学年になりますねー。」
『…。』
「あ、あの…
須藤さん。」
「はい?
何でしょう?」
「に、妊娠は確実なんですか?」
「はい、私と飛呂彦の子供です!」
「えっと、飛田君。
そういう関係はあったの?」
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…
「…。」
「…。」
『…。』
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…
『いや、一切記憶に御座いません。』
「そ、そうなんだ。」
「…。 (菩薩の笑顔)」
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…
「…。」
『…。』
「ニコッ。」
「…ほっ。」
『…ほっ。』
「ギャオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!」
案の定、突如発狂した須藤に殴り倒される。
俺だけならワープで逃げるのだが、橋本も殴打されているので見捨てられない。
俺達2人は亀の姿勢となって、容赦無いストンピングの嵐から身を守る。
「キスしたでしょおおおおお!!!!!!!!
私とキスしたよねええええええええ!!!!!!
(ドゴォ!! ドゴォ!! ドゴォ!!)」
「ぐはっ、がはっ。
飛田君、そうなの?」
『ごはっ、げはっ。
言われてみれば、そんな手違いもあったような。』
プロジェクターには俺が須藤にキスをしている場面がエモエモBGM付で無限リピートされている。
(自分は小顔補正してる癖に俺は無補正である。)
確かにワープをミスって須藤にキスしてしまった事が一度だけあった気もするのだが…
あー、俺の精子ならキスの隙に相手の子宮に飛ぶくらいの事はするか。
まったく、困った奴だ。
誰に似たんだか…
それにしても、あの一瞬でスマホを立ち上げたのか?
コイツすげえな。
「飛呂彦!!
この証拠を見て何か一言!!」
『あ? え?
いや、関係者各位と調整を行ってから…』
「ちーがーうーだーろーーーーーーーーーー!!!!
(ドガアッ!!!! ドガアッ!!!!)」
『ぐはああ!!
痛ァ! 痛ァ!』
「ぶほっ、ぐはあ!
何で僕まで…」
「バカかお前は!?
お前が受けた痛みがなんだ!
私が受けた痛みがどのくらいか分かるかーこのやろう!
(ドガア!! ドガア!!!)」
「がはあッ!!」
『ぐえええッ!!』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふー、ふー。」
「(ピクッピクッ)」
「キスは女の子にとって宝物なんだよ!
(ヒロイン面)」
「そ、そうかもね。
風俗でしかしたことないから知らないけど。」
「そう!!!
それなんですよ橋本社長!!」
「え?
どれですか?」
「飛呂彦が酷いんです!!!
私には塩対応する癖に商売女とは家庭を築いているんですよ!!
酷いと思いませんか?」
「えっと無関係の僕に暴行を加える方が酷いと思うのですが、それは…」
「私!!
飛呂彦の後見人・村上顕康の親族なんですよ!
あの3人よりも逢ったのは先ですし!!
なのに!! なのに!!!
飛呂彦は商売女ばっかり優先して!!!
うわーーーーーーーーーーーんッ!!!」
「飛田君、何か言い分はある?」
『え?
女なんてどれも一緒だから、昼職であれ夜職であれ子供を産んだ者を養うだけですよ。』
「あ、うん。
女の子が納得するようなタテマエを語れって話ね。
産む機械的な表現は(笑)(両人差し指でバッテン」
『あ、なるほど。』
「…。」
『…。』
「飛田君?」
『俺、特に意見がないのでコージさんが決めて下さい。』
「あ、うん。
じゃあまあ、須藤さんが本当に妊娠したのならDNA鑑定して…
キミの子供だったら、養育費やら何やら払ってあげなよ。
僕からも幾らか包むからさ。」
『あ、はい。
じゃあ、それで。』
「じゃあ、これで話は丸く収まったね。
はい、この話おしまい。
めでたしめでたし。
須藤さん、タクシー呼んであげるから今日はここら辺で。
って言うか骨折れてると思うから僕らは病院行ってくるね。」
『じゃあ、チャコちゃんさん。
俺達は居酒屋の予約あるんで、今日はこれで。
って言うか骨折れてると思うから俺達は病院行ってくるね。』
「…。」
『…。』
「ギャオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!」
チャコちゃんのフェラーリに拉致られた俺達は病院は病院でも産婦人科医に連れて行かれる。
俺のキスで妊娠したのかは不明なのだが、先生曰く須藤の妊娠は科学的事実らしい。
腰骨がジンジン痛んで来たので治療を懇願するが、先生曰く産婦人科では外科救急は受け付けていないらしい。
コメント
1件
チャコちゃんの圧がすごすぎて笑ったけど怖すぎたwwww インターホン連打から始まってプレゼンタイムに突入する流れ、頭おかしくて大好き😭💕 「一切記憶に御座いません」って飛田が言い切った瞬間の菩薩の笑顔とその後の発狂…構成が完璧すぎるっ! 最後産婦人科拉致されて終わるのもナイスオチでした✨ めっちゃ面白かったです!!