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阿部side
行為が終わってお風呂に入った後、綺麗にした俺の部屋のベッドにうつ伏せに寝転がり、携帯を構う翔太に声をかける
「ねぇ、翔太」
「なにー?」
顔を上げずに声だけが返ってくる
始まりは10代の頃、お互いの性欲解消のためが理由なんだからそんなものだ
それでも俺は感情ができてしまった
「もう俺だけにしてよ」
そう言った瞬間に翔太が手を止めて、顔こそあげないものの、体を硬くした
長めの前髪が顔を隠して表情は読めない
「…………あべちゃんはさ、おれが他に誰の相手をしてると思ってるの?」
「メンバー」
「4人とも?」
「うん」
「なら、確認してみたら?」
「確認?本人たちに?」
(なんだかよく分からない返しだな)
「関係を持ってると思ってるんでしょ?」
「うん」
(違うの?)
「じゃあ、聞いてみたらいいじゃん」
「わかった」
「……あ、聞くなら最初は涼太にしたら、話が早いとは思うけど」
「なんで?」
「…………聞いたら分かるよ」
「そっか」
「うん、この話は今日はもう終わり。寝よ」
「わかった」
翔太の横に寝転がり、布団を被って部屋の明かりを消すと、珍しく翔太からキスをねだられた
行為中はよくねだられるけど、それ以外の時にははあまりないことだ
その声はいつもより少し甘い気がした
「ね、キスして」
「いいけど、してる時以外に珍しい」
「たまにはいいでしょ」
「深いやつ?」
「うん」
舌を絡めてゆっくりとキスをする
「……ん、ありがと。おやすみ」
「うん、おやすみ」
次の日、ちょうど舘さんに会う用事があったから昨日のことを聞いてみたら、思いもよらない事実がわかった
俺はずっと酷い勘違いをしていた
「ねぇ舘さん、突っ込んだことを聞くんだけど」
「なに?」
「舘さん、翔太のこと抱いてるよね?」
「え?翔太を?いや、翔太は抱いてないけど」
「嘘だ」
「嘘じゃないよ。翔太には手を出してない」
このトーンは本当のことを言っているやつだ
「……………俺はメンバー全員、翔太を抱いてると思ってるんだけど」
「……………」
「……………」
数秒の沈黙後、いきなり舘さんは笑い出した
「ふふふっ!笑 阿部、それは盛大な勘違いだよ」
「え………」
「なんでそんな風に思ったのさ」
俺だって何の根拠もなくこんなことは言わない
「昔、翔太がみんなとそんな話をしているのを聞いたから」
「例えば?」
「今日は何時?とか、誰の部屋?とか、腰が痛いとか、………途切れ途切れだけど」
「あぁ、それは俺らの話だと思う」
「え?俺ら?」
なんだかよく分からない話になってきた
「関係を持ってるのは、阿部は翔太だけでしょ?」
「え、うん、もちろん」
「だったら、君らは2人でだけだよ。翔太も阿部だけだから」
「え、俺だけ?」
「で、阿部が疑ってる俺を含めたあとの4人は、まぁちょっと、入り乱れてます」
「え………?入り乱れ?え?」
待った待った、どういうことだ
「ま、持ちつ持たれつだね。感情はなし解消したいタイミングが合うやつ同士でってこと。グループ内だったら、お互いの部屋を行き来しても仲良いってだけで済まされるでしょう」
「…………ちなみに誰がどっちを」
「俺は全部上だね。あとはどうだろうね。どっちもあるんじゃない?」
「えぇ!……いや、ええ!」
まさかの事実がありすぎて、俺の頭でも理解が追いつかない
というか、舘さん全部上なんだ……
ふっかや佐久間はまぁ分かるとして照も?
「ははは笑 昔から阿部は翔太のことしか見てないからね。」
「………全然知らなかった」
「まぁ翔太は阿部だけだよ。だから安心しな」
「………やらかした」
「もしかして翔太に何か言ったの?」
「俺だけにしてよって言っちゃった……」
「へぇ、それで?」
舘さんの片眉が上がって、面白そうに聞いている
「当人に確認してみれば?って、で、聞くなら舘さんが最初だと話が早いって、言われて……」
「あぁ、なるほど」
得心したという顔をする舘さんにそのまま疑問をぶつける
「なんで最初が舘さん?」
「俺は翔太に直接言われてるからね。
『俺はそういうの興味ないからみんなに誘われても困るし、みんなにも阿部には手を出して欲しくない。あべちゃんとなら別にいいけど……』って。
で、その少しあとに
『そういうことになっちゃった。でも、俺はやっぱりあべちゃんしか相手しない』っても」
「それはどういう」
「俺にみんなに言っておけってことだよ」
「でもなんで俺」
「それは翔太に聞くのがいいんじゃない?……まぁその前に告白したら?もう」
言われた言葉に思わず目を見開く
「いや、そういうことなんでしょ?流石に分かるよ」
「………まぁそうですよね」
「がんばれ。たぶん大丈夫だから」
「どっちにしても謝らなきゃだし」
翔太に今夜会いたいとメッセージを送れば、オッケーとスタンプだけが送られてくる
会うのはいつも俺の部屋だ
適当な時間に訪ねてくるつもりだろう