「おまえが無理してどうすんだよ」
『』: 通話越しの声
「」: リアルの声
— 📢side.
深夜2時。
シクフォニのDiscordサーバーは静まり返っていた。活動の合間に編集作業をしていたらんの「オンライン」表示だけが、ぽつんと浮かんでいる。
──嫌な予感がして、俺はらんに声をかけた。
「らん? まだやってんの?」
『あーいるまか。大丈夫、あとちょっとだけ……明日の投稿には間に合わせたいし』
「ちょっとじゃねーだろ。今日、リハのあとそのまま帰ってずっとやってんじゃん。仮編集俺も手伝うって言ったのに」
らんは少し笑って、「いるまも忙しいでしょ」と小さな声で答えた。けれどその声はどこかかすれていた。
──数分後、通知がひとつ。
『LANがビデオ通話を開始しました』
「らん?」
画面が映ると、らんはデスクに肘をついたまま、うつむいていた。顔色が悪く、額には汗がにじんでいる。
「……らん、おい。聞こえてんのか?」
返事がない。
「──らん!!」
らんの体が、デスクから崩れるように倒れた。PCの前でぐったりしたまま、全く動かない。
「やべぇ……らん!? らん!! っ……マジでやめろって……!」
俺はすぐさまスマホを取り、共通のスタッフへ連絡を取った。らんの住所は知っている。らんの家にすぐ向かってもらう様に頼んだ。
数時間後、らんは病院に運ばれた。
診断は「極度の過労と脱水」。
無理な作業が続いたせいで、限界を迎えていたのだそう。
見舞いに来た俺に、らんは申し訳なさそうな顔を浮かべた。
「……ごめん、ちょっとだけやるつもりだったんだけど、気づいたら……」
「バカかおまえは」
俺の言葉に驚いたのか、らんは目を見開き顔を上げる。
「みんなでやるグループだろ。おまえひとりで背負って、倒れて、それで何がカッコいいんだよ。そんなん、リーダーじゃねーぞ」
怒ったような、震えた声で話を続ける。
「……ほんと、無理しすぎ。俺ら、おまえがいなきゃダメなんだからさ」
そんな言葉が俺から出てきたことが面白かったのか、安心したのかは分からないが、らんは安堵したような笑みを浮かべる。
「そっか……ちゃんと、頼っていいんだよな……」
「当たり前だろ。俺はおまえの相方だぞ。ってか、次編集終わってないのあったら俺に投げろ。また無理したら容赦なく手ぇ出すから」
らんの目がじわりと潤んで、枕に顔をうずめる。
──その日、らんは久しぶりに、ぐっすりと眠っ た。 誰かに守られている安心の中で。
たまに日本語おかしいかもしれないです…💦