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社長は焦っている。
自分の後輩がこんなことになってしまった悲しみもあるだろうけど、こんなにも表情を見せない患者は私も社長も初めてだった。
「社長、外に出て少し私と話します?」
社長は私の方を見た。やっぱり少しやつれている。
「あぁ、少し話すよ。ゴメンね、宙ちょっとだけ席外すね。」
彼はまた頷いた。
「社長、大丈夫ですか?かなり疲れてそうですけど。」
薄暗いアパートからでた。
「わかるかい?宙の本当がわからないというか… こっちも宙の空間に入っちゃうというか…」
柴田さんのことを社長は“宙”と呼んだ。
彼の名前だ。 柴田宙。
呼び捨てで読んでる時点から仲が良いのがわかった。
「はい。顔に出てます。あのアパートだと社長の気まで暗くなってるというか…」
明るいオレンジ色の太陽が沈み切ろうとしていた、明るさとアパート内の薄暗さとは対象的で世界が広いって感じられる。
…世界が広い?…明るい?ん?
これじゃないのか柴田さんが欲しかったものはないか?
明るくて広い世界。
毎日毎日職場から帰ってきて人間関係も苦手な柴田さんがあんな狭い家で疲れ切った体を癒そうとしている。
そんなことできるだろうか。
あの広さや窓の少なさからして窓を開けたとしても風通しは悪いだろう。
また、朝昼晩で太陽の光が入りにくい。
こんな密封されているような空間で毎日過ごしているなら…!
柴田さんのこれが原因なのでは!
「社長。私に考えがあります!」
10分後“俺”は近くの河川敷に来ていた。