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数日後。王太子殿下主催のティーパーティーが開かれました。
シャーリーさんは、いつになく可憐な笑みを浮かべて私の元へやってきました。
「リリアーナ様、これまでのわだかまりを捨てて、仲直りしませんか? このベリーのケーキ、私が心を込めて選んだんですの。……さあ、召し上がれ?」
差し出されたのは、真っ赤なベリーが乗った可愛らしいケーキ。
でも、後ろで鏡を構えているゼノ君の瞳が、スッと細くなりました。
「まあ、嬉しい。シャーリーさんの真心、皆様にもお伝えしなきゃ。ゼノ君、アップで映して差し上げて」
私がフォークを手に取った、その瞬間です。
ゼノ君が「おっと」と言ってわざとらしく私にぶつかりました。
「……失礼。手が滑った」
「あらっ! ケーキが……!」
お皿から転げ落ちたケーキを、近くにいた学園の飼い犬がペロッと一口食べてしまいました。すると次の瞬間。
ワンちゃんがボフッ! と火を吹いて、そのまま白目を剥いて深い眠りに落ちてしまったのです。
「まあ! ワンちゃん、美味しくて夢心地なんですのね。寝顔がとっても……シュールだわ」
「……毒だろ、明らかに。魔力暴走の薬でも入ってなきゃ、犬が火を吹くか」
ゼノ君が呆れたように呟きます。シャーリーさんは顔を真っ青にして「ハメられた!」と泣き叫びました。
「ひどいわリリアーナ様! 私のケーキに毒を仕込んで、私を陥れようとするなんて……!」
「えっ? 私が?」
王太子殿下も「リリアーナ、お前という女は……!」と彼女を庇い、会場は騒然となりました。
証拠のケーキはワンちゃんが(物理的に)処理してしまい、シャーリーさんは一旦言い逃れることに成功したようです。
「……リリアーナ様。あいつ、相当しぶといですよ。……次はもっと『逃げられない罠』にかけてやりましょう」
ゼノ君の復讐心が燃え上がっているようでしたが、私はただ「ワンちゃん、お腹壊さないかしら」と心配するばかりでした