俺は、わざと楽屋には戻らず、スマホゲームをしながら外で時間を潰している。佐久間はとっくに首を傾げながら楽屋に戻った。
💛「舘さん、もうそろそろだよ。準備して」
俺を探していたらしい、照に見つかり、そう声を掛けられ、仕方なく重い腰を上げて楽屋へと戻る。
💚「うん、翔太やっぱりそういう衣装似合うね、可愛い」
💙「可愛いとか言うな///」
楽屋に入った途端、阿部に頭を撫でられている翔太を見掛ける。二人とも色違いのリボンタイをしていて、ゆるふわの小公子のようだった。袖口もふっくらとしたあのタイプのシャツを男の身であんなに可愛らしく着こなせるのは、メンバーでもこの二人くらいしかいないだろうと思う。着せたスタイリストさんには惜しみない拍手を贈りたいくらいだ。
阿部は意地悪く微笑むと、なおも翔太を揶揄っている。
💚「翔太って、収録中は可愛いって自分から言うくせに、人にマジなトーンで言われるのは、ほんとに苦手だよねぇ」
💙「そういうのは恥ずかしいだろっっ///」
💚「はぁ、、、♡可愛い。翔太、食べちゃいたい」
💙「なっ!!!///」
そう言って、阿部は、翔太の頬に右手を添えると、わざわざ顔を近づけて、そっと何事かを囁いている。その内容までは聞き取れなかったが、翔太が慌てて身体を離し、さらに耳まで赤くなって阿部を睨んだので、何か卑猥なことでも言われたのだろうと推測した。
………胸が苦しい。
じっと見ていると、ふいに涙が出そうになって来た。俺は掛けてあったジャケットを手に取り、用意された帽子を深く被った。
🧡「舘、どこにおったん?ほら、行くで」
❤️「…………」
その後、反応のない俺を怪訝に思いながらも、康二が俺をスタジオの方へと引っ張っていってくれた。
収録終わり。
翔太を目で追うと、ふっかと佐久間に連れられてどこかへ出て行く。
🖤「3人でこれから買い物行くみたいですよ」
そう声を掛けて来たのは目黒。
❤️「あ、そ」
動揺を気取られないように、ごしごしとタオルで顔を拭いた。メイクを落として洗顔し終えた直後だ。うまく誤魔化せただろうか…。
顔にタオルをあてて優しく水滴を取るんだよ、といつか翔太に言われたことと、俺は今、真逆のことをしている。
俺と目黒は収録後に楽屋を出るのがどうやら遅いらしく、みんなはさっさと着替えて、バタバタと次の予定へと向かって行く。
💚「翔太、またね♡」
💙「ひゃうっ!何すんだてめえ💢」
すれ違いざまに阿部が翔太の腰を撫でたのを見て落ち込んでいると、
🖤「舘さんって、しょっぴーが好きなの?」
と、目黒がずけずけと訊いてきた。
慌てて周囲を見回すが、他に聞いている者はなかった。
ほっと胸を撫で下ろし、目黒に言う。
❤️「そんなわけないでしょう」
🖤「そっ。よかった」
目黒があからさまに安心した様子なので、俺は逆に動揺した。
❤️「えっ。それってさ…」
🖤「俺にもチャンスがあるってことだよね?」
目黒の目がなんだか輝き始める。
まずい、こいつもしかして翔太のことが…?慌てて顔を上げると、同時に口元に柔らかい感触が。
ちゅっ。
わざとリップ音を立てると、目黒の唇が俺の唇から離れた。
❤️「なっ……///」
慌てて見回すが、もうみんなは出払った後のようだった。
よかった……じゃなくて!!!
❤️「何すんだ、てめえ」
🖤「おっと、怒らないでよ。舘さん」
そして妖艶に微笑む。
🖤「前からその唇の感触、気になってたんだよね。んー、マシュマロみたい♡」
そして、ぺろりと、目黒は自分の口元を舐めてすらいる。
🖤「じゃ、俺、撮影あるんで。お先に♡」
手に持っていたタオルはそのまま床にはらりと落ち、脱ぎ掛けていたシャツの胸元を俺は慌てて隠すのだった…。
目黒はそんな俺を一瞥し、可笑しそうに笑うと、その笑みを浮かべたまま颯爽と去って行った。
コメント
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色々意外な展開がありそうで 楽しみすぎる✨✨✨
え?🖤ったら、そっち❤️なの?
まさかの🖤❤️と💚💙挟んできたっ!笑