side深澤
「ただいま…」
「おかえり〜。遅かったね。」
「うん…」
帰ると、花恋がソファーでスマホを見ていた
どうやら、ゲームをしているらしい。
「ご飯できてるよ。」
「今日はいい。」
「えぇ!?どーしたの!?」
あんなことがあったばかりだから、お腹は空いてないし、食事も喉を通らない気がする。
「ごめん。もう寝るね」
「分かった……」
花恋は何も言ってこない。
どうやら、何かを感じたらしい。
俺は自分の部屋に行って、ベッドの上に座る
もう、どうせならこのベッドで寝てしまおうか
そんなことまで考えてしまう。
でも、そうした方がいいのかもしれない
そう思っていると、ドアがノックされた
「辰哉、ご飯ドアの前に置いとくから食べたくなったら食べてね」
こんな時でも、気を使ってくれる花恋
「ありがとう」と、呟いた声は、ドアの向こうの花恋には届かなかった
花恋が去る足音を聞き、ドアを開く
そこには、湯気が出ているラーメンがお盆に乗っていた
お盆ごと持って、学習机に乗せる
ドアを閉め、ラーメンと一緒に乗っていた箸でラーメンを食べる
その味は、懐かしい味がした
自然と涙が出てくる
花恋が作ってくれるラーメンは、小さい頃、よく父さんが作ってくれたラーメンによく似てる
一気にラーメンを食べ終えるとキッチンに持っていく
どうやら、花恋は風呂に入っているようだった
どうせなら…とシンクにあった洗い物を片付ける
片付けたら部屋に戻る
ベッドに倒れ込むようにして横になる
どっと疲れがきた
次第に重くなる瞼を閉じると眠りに落ちた
side阿部
家に帰っても誰もいない
暗い部屋の中、1人、俺は泣いた
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続き楽しみですっ。