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「美希〜。起きろ。学校遅刻するぞ。」
私の体を揺らしてくる兄の湊。
「……ん?」
私はゆっくりと目を覚ます。
「やっと起きた。早く支度しろよ。」
湊はそう言うと、部屋から出ていった。
「あっ、う、うん。わかった。」
やっぱりかっこいいな……。好き……。
ぼーっとしているときでさえ、そう思ってしまう。
そう、私は叶わない恋をしていた。
兄の湊は、柊高校の2年生。容姿端麗、秀才、スポーツ万能、生徒会長。おまけに性格もいい。何でもできる、私の自慢の兄だ。
もちろん、学校一と言ってもいいくらいモテている。
そんな兄に恋をしている私。
スポーツも勉強も、容姿も至って普通。いわゆる平凡な女の子だ。
兄に恋をするなんておかしいことだとはわかっている。でも、この気持ちを抑えきれない。
兄を見ると胸がドキドキする。兄がほかの女子と話していると、嫉妬してしまう。
どうすればいいの……?
毎日、この疑問ばかりが頭をよぎる。
いい加減、諦めるべきだ。
でも、諦めきれない。
兄だとわかっている。それなのに、どうしても意識してしまう。
そんなことを考えながら、私はリビングへと降りた。
リビングには、朝食のいい匂いが広がっていた。
母が作ってくれたのだろう。
久々に4人で食べたいな……。
朝ごはんを食べながら、ふと思った。
私の父は会社を経営している。母は父の秘書をしている。
まだ小さな会社のため、父と母は朝早くから夜遅くまで働いている。そのため、家族4人が揃うことはめったになかった。
「美希〜。先に行ってるぞ〜。」
ガチャ。
玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
私も早く準備しないと……。
そう思った私は、急いで支度を済ませ、家を出た。