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#切ない
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第14話
あれから二カ月経ったけど、やっぱりソフィーの夢を見る。なんだか嫌な胸騒ぎがするけど、何も無いって事が多々。
でも、魔物被害とかは少しずつ報告されている。
中央平原や河川の近く、北の方では特に。
僕は派遣される気でいたけど、この国唯一の姫に遣える騎士はさっすがに姫からは離されなかった。
そんな中、僕は喋るための勉強や、作法の復習、アニカについていけるように薬草や石の勉強を頑張った。ソフィーの事で眠れないからというのもあるけど……
「……って事なんだけど、全然上達しないんだよね……」
そう言って、シルビオさんの弟――フリオを見た。数少ない僕の親友。
同い年の知り合いはフリオしかいない。僕の相談相手になってくれるけど、エルドは遠いのであまり話す機会が無い。
「気にする事無いんじゃないか? 別に騎士が公の場で話す事なんて無いんだし」
「でも、僕みたいなやつが騎士に選ばれたって戦う事以外何もできないんだよ。白い目で見られる気がして……」
「う〜ん……俺はロルフが何ができて、何ができないのかは知らないけど、強いと思う」
「……強い以外に何かある?」
「強いって言ったって、心も丈夫だろ。よく、俺しか相談相手がいないって言えるな。直ぐ近くにいなくて良いのか?」
心が丈夫だったらこんなに落ち込んで無いよ……
確かに直ぐ近くにいたら、いいのにな……今まではソフィーが相談相手だったけど……
ソフィーでも、近すぎて相談できない事もあるからな……
「きっと僕には、遠くに一人くらいが丁度いいんだよ」
「それは、どう言う事だ?」
「距離が近すぎて、相談できることもできなくなるから……かな。僕には自分の心情を読み取る事もできないんだよ」
「ふっ。面白い事を言うな。確かに鈍感かもしれないが、自分の心情を読み取れなかったら相談もできないぞ」
崖に座って二人で話していたけど、後ろの林から人では無い気配がした。
僕が立ち上がって林に向かって剣を構えるとフリオが首を傾げた。だけど、直ぐに読み込んでくれてフリオも槍を構えた。
フリオは槍使いだ。僕も少しは槍を使う時があるから重心の取り方や突き方、構え方をよく練習している。だけど、フリオは南の方では一番の槍使いだから槍で勝てる事は無いと思う。
「ロルフ。俺はどうすればいい?」
「襲ってきたやつを倒して。街に送らないように倒さないといけない。落ちないように気を付けて」
「あぁ、だがこれは一つじゃないか?」
僕は頷いた。それと同時に大きなドラゴンが現れた。白くて冷たい息を吐いている。
アイスドラゴン。名前は単純だけど、白くて冷たい息に触れたら即死だ。僕は初めてアイスドラゴンを生で見た。
僕たちは緊張が走ったけど、僕の合図とともに走り出した。アイスドラゴンも僕たちをスレスレで冷たい息を吐いてくる。
少し近づくだけでもかじかむ寒さだ。確かに当たったら即凍死するだろう。
フリオが気を引いている間に僕は首を切り裂いた。その傷の中にフリオが炎を送り込んでアイスドラゴンは倒れた。
僕たちが肩で息をしていると他の聖騎士たちが走ってきた。
遅いよ! もう、終わったし……
誰にも聞こえない声でツッコんだけど、フリオは考えるような余力は残っていなかったように見えた。
「こんなに大きなアイスドラゴンを……二人でやったのか?」
僕は頷いた。
「三十年やってきたがこんなに大きなドラゴンは初めてだ。それに、アイスドラゴン……」
そう言ったのはエルドの街の副騎士団長だった。
え? アイスドラゴンって普通どんな大きさなの……?
そんな事を考えていると聖騎士の中の魔法使いの人が、亜空間へドラゴンを丸々入れた。
凄っ。どんな魔力の持ち主よ……
僕たちは息を整えてから街へ帰った。
アニカは街を歩いていたらしく、この噂を聞きつけて宿屋へ走って戻ってきたと言っていた。
大丈夫だったかとか、色々と聞かれたけど「大丈夫」と答えた。
アニカはフリオが頷いているのを見て胸を撫で下ろした。
「無茶をして倒れたらどうするの? 氷漬けにされてしまうんだよ」
僕がアニカに圧をかけられているのを見て苦笑しているフリオが見えた。少し睨むと彼も普通の顔に戻った。
「やっぱり、ロルフは不器用だな。まぁ、頑張れよ」
夜に話そうと思ったらそれで言い切られてどこかへ行ってしまった。
話したかったのに……はぁ〜……
僕はしょんぼりしながら布団へ入った。
コメント
1件
第15話、読み終えたよ! フリオとの会話がすごく良かったな。「距離が近すぎると相談できないこともある」ってロルフの言葉、なんかわかる気がするよ。アイスドラゴン戦も熱かった!二人で倒しちゃうとかカッコ良すぎる。でも終わった後の「遅いよ!」って心の声とか、アニカに圧かけられてしょんぼりしてるところとか、やっぱりロルフの不器用さが可愛いわ。次も楽しみにしてる!