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僕と寧々は学校で孤立していた
理由は違えど、そんな共通点を持つ僕らは、簡単に信じ合っていた
そんなことを思いながら2人、線路の上を歩いていた
深夜、終電は終わり、かなり歩いたからか、少し街の明かりが小さく見えた
ふと、君の手を握りたくなった
僕の手の甲が君の手に触れる
そのまま手を繋いだ
「フフ、小学生ぶりだね」
さっきまで震えていた手も、もう何事もなかったかのようになっている
「そうだね、…懐かしい」
優しく握り返してくれた君の手は、まるであの頃に戻ったようだった
「寧々」
君の名前を呼んだ
「なに?」
街はあんなにも明るいのに、君の顔は逆光で全く見えない
君は今、どんな表情をしているのだろう
「どこで死ぬんだい?」
「……山の方」
「山…って、東京に山なんて」
遮るように寧々は言った
「だから山があるところまで行く」
「…なるほど」
なぜか笑みが溢れ、2人で笑い合った
きっと歩き疲れてとても辛くなるだろうな
そう思うのに、少し楽しみだとすら思う自分がいた
君となら
どこにも行ける気がした
今更怖いものなんて
僕らにはないんだ
湿気が多いせいか蒸し暑く、額には汗が滲んでいた
足元でバキッという音がした
確認するとそれはメガネだった
…まぁいいか
寧々の手をもう一度強く握り返した