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遅番作業。そのまんまの意味で、一番遅くまで残って、お店を閉める作業だ。
閉店後も野菜を片付けたりレジを締めたりやることは残っている。
そんな遅番は、レジ部で一人、食品部で一人、つまり必ず二人いる。
そして最後は一緒にお店を出るというのがお決まりだった。
正直、遅くなったり、親しくもない人と一緒にお店を出なきゃなのでめんどくさかった。
だけど…。店長が食品の遅番をやると聞いてから、そんなにめんどくさくなくなった。
「…ふぅ。これで…施錠は大丈夫かな?」
「あ、はい。しっかり閉まっています。」
裏口の扉をガチャリ、と鍵をしてしつこいくらいに確認すると店長はやりとげた表情で額を拭った。
その横顔は、まるで一人でお使いを初めて行ってきた子供のように達成感に満ちていた。
(確かに初めてやることではあるけど…ここまで嬉しそうにする?仮にも店長でしょ。)
私は、そんな店長を新鮮な気持ちで見つめてから静かに笑う。
「遅番もなかなか大変だね。」
「そうですか?私はもう慣れましたけど…。」
「えぇ?すごいね。覚えること沢山あるのに…大したもんだ。」
うん、うん、と感心しながら何度も頷く店長。
思わず、吹き出してしまった。