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職員会議から戻ってきたアルフレートは寮の僕のベッドに倒れ込んだ。

死んでいるんじゃないかってくらい、数秒動かなかったので心配したが、ゴロンと体を動かして僕を見て、それからふふっと笑った。「からかったの?」と聞けば「テオの反応がかわいくって」と、へにゃりとした笑顔を向けてきたので胸を貫かれた。その笑顔は反則過ぎる。

幼いころを思い出し、あのときの天真爛漫なアルフレートが戻ってきたみたいだった。今は、もうすっかり大人になってかっこよくなっちゃって。僕なんかよりもずっと背が高くて。

そんなアルフレートを見ながら、僕はまだやるせない気持ちが心の中で停滞していた。



(ランベルト、大丈夫かな……)



追いかけるべきだったのだろうか。

彼が僕に恋情を抱いているなんて全然知らなかった。そんなそぶりを見せたことはなかった。そもそも、人から好かれるということ自体初めて……いや、アルフレートは別で。だったから、ランベルトの気持ちに気づけないでいた。僕がしたのは、彼と一緒にいたことだけ。それが災いして、ランベルト僕がランベルトのこと好きだって勘違いしたのだろうか。僕は、友だちとしてランベルトと関わっていただけなのに。



「浮かない顔してるね、テオ」

「えっ、いや。そう、かな?」

「隠し事しないで。テオから、違う男の匂いがする」



ベッドの近くによれば、アルフレートが僕の服を掴んだ。スンと臭いをかぐと、嫌そうに眉間にしわを寄せる。まるで犬だなあ、なんて思いながら、僕は彼の頭を撫でた。さらりと僕の指の隙間を流れていく黄金色の髪。彼は嬉しそうに目を細めて「好き」とこぼす。

アルフレートに嘘をつくことなんて初めからできなかった。

僕はベッドサイドに腰を掛けて、彼を撫でながら、顔だけは向けないように話す。



「ランベルト……に、告白されて」

「え!?」



ガバッとものすごい勢いで起き上がったので、心臓が飛び出るかと思った。うん、といえば「先にいってよ。OKなんてしてないよね?」と僕の肩を必死につかんで揺さぶるアルフレート。顔が怖くて、うつむいてしまった。それがだめだったのか、どうなの? と追撃される。



「アルと付き合ってるから、ごめんなさいっていったよ。というか、僕も、好かれているなんて思わなくて。それに、僕がランベルトのこと好きだって思われていたみたいで」

「チッあいつ自意識過剰すぎるだろ……じゃなくて、そっか。テオ。言い断り方だったと思うよ」



今一瞬、裏の顔が見えた気がしたんだけど。

まあそんなことは気にせずに、僕はこくりと頷いた。アルフレートは、思った以上に事態を深刻に受け止めてくれたらしく「大丈夫だよ」と今度は僕の頭を撫でた。ちょっと長くなった髪が、彼が撫でるたびに視界に移り込む。



「言い断り方だったのかな?」

「うん。変にごまかすよりは、良いと思うけど……テオは優しいから、傷つけちゃったって思ってるんでしょ」

「そう、だね。それに、僕が勘違いさせたのが、悪かったっていうか」



いや、勘違いがするランベルトもランベルトな気がするんだけど。

傷つけたのも事実なので、あちらばかりを責められない。それに、あんなに切羽詰まったランベルトを見るのは初めてだった。何かにおびえるような、怖くて、寂しくて、つらい……そんな顔を見てしまって、僕は何も言えなくなった。

ゲームのランベルトは、後半にしか出てこないが、それはそれは厄介なキャラだった。サイドストーリーを作るべきキャラ背景。でも、それらは多く語られることなく、悪役令息として成敗される。その性格や、力から恐れられていたとか、友だちがいないとか。そういう話はちらちらと出てきたものの、印象にはあまり残っていない。

実際に、ランベルトと関わって、なぜ彼をみんな避けるのかそれは見えてきたが、ランベルトが人に裂けられるたびに悲しい表情をしていたのもまた事実だった。ランベルトはもしかしたら、普通にみんなと仲良くなりたかったんじゃないかって。

けど、性格とか、家柄とかいろんな要素が組み合わさって素直になれずに、悪役として孤立していったと。

僕はそう思っている。



「テオが悪いなんて俺は思っていない。でも、テオが自分が悪いって思ってるなら、その気持ちを持っていてもいいと思う。苦しまない程度に」

「アル……」

「俺は、テオの味方だからさ。テオが傷つくのは嫌だし、抱きしめてあげたい。俺にとっての一番はテオだよ」



と、アルフレートは言って正面から抱きしめてくれた。温かくて、心地よくて。僕は目を伏せる。彼の広い背中に腕を回して、ぎゅっと抱きしめれば、彼の心臓の鼓動がよりいっそ大きく感じられた。自分の鼓動と共鳴しているようにも思う。


彼は、否定も肯定もしなかった。それが、すごくうれしくて、心がちょっとだけ軽くなった気がした。



「ところで、アルはなんていわれたの?」



僕ばかり、慰めてもらっちゃあれだと思って、アルフレートのほうに話題を振る。すると、またむすぅとした顔で彼は、顔を上げると、僕の肩にすり寄ってきた。



「野外研修……参加しないほうがいいんじゃないかっていわれた。加護のこともあるし。学園長は知らなかったみたいだし、俺も言ってないんだけどさ。ほら、この間テオが襲われたときのこと。もしそれが、クラス単位で起っちゃったらって……ああ、これは俺が思った話で。でも、見抜かれていたには、見抜かれてたかも」

「たし、かに……」



学園長はああ見えても鋭いから。

アルフレートがあの日のことを何も話していなかったとしても、彼の態度やしぐさからそれを読み解くことはできてしまったのだろう。それで、野外研修には参加しないでくれと差し止めというか。彼はそれが不満らしい。



「まあ、強行突破したけど。だって、テオだけ行くなんて心配だし。その、ランベルトのこともあるならなおさら」

「別に、ランベルトは何もしてこないと思うよ。でも、アルとせっかく学園生活楽しめてるのに、野外研修いけないのって寂しいから……って、強行突破したんだっけ」

「うん。だから、参加できるよ」



キラキラとした笑顔で言われたが、また勇者の権限を振りかざしたのだろうか。その笑顔の裏に見えてしまう他の人の胃痛に苦しむ顔。それを想像したら、僕は苦笑いしかできなかった。というか、野外……野宿とかは、旅の途中でしているものなんじゃないだろうか。ゲーム内では多々そういうシーンがあったし。



(僕と楽しみたいってこと……?)



だったら、嬉しいけど。彼にとっては、大して野外研修、野宿というのは目新しいものではないのかもしれない。

でも、実際、僕もアルフレートと一緒に野外研修を楽しめたらいいなとも思うし。一緒で嬉しいといってくれるその顔は、何よりも素敵で好きだった。



「それで、なんだけどさ。テオ」

「何、アル。その笑顔めちゃくちゃ――おわっ!?」



ぼふん、と勢いよくベッドに押し倒された。いったい何なんだと思って見上げれば、アルフレートの色っぽい、熱っぽい顔がそこにある。また、食われる! という恐怖に襲われると同時に、体が熱くなる。

そうだった、恋人だった、と失礼ながらに思い出し、僕は胸の真ん中できゅっと手を握る。



「かわいー。手を、きゅっとして。期待した?」

「アル、からかってるの? というか、どこが、どういうつながりで『それで』なのさ」



脈絡がおかしかった。流される寸前で気付いて、彼を見れば、くすくすと楽しそうに笑っている。僕が無知で、幼稚だからって、楽しんでいるんだろう。それくらいの知識はある。

アルフレートがいるせいで、彼のために尻を解すとかはできてないけど、いなかったらとっくにやっているだろう。あっちが求めていることくらい、こっちだってわかるんだから。



「野外研修時に、爆発しないように。小出しでいいからちょっとずつ、テオのこと愛でさせてほしいんだ」

「研修時に何やろうとしてるの!?」

「想像通りのこと。それで、ダメかな」



また、きゅるんと目を潤ませて言う。そういうのよくないと思う……とは、言い出せず、僕はぐぬぬと舌を噛むことしかできなかった。性急だけど、大事にしてくれているし、その自覚はある。だから、今いきなり僕を串刺しにはしないだろう。

ただ、アルフレートのいうように研修時に爆発されたら困るわけで。周りの人に気づかれたらたまったものじゃない。アルフレートと付き合っていることを知っているのは、周りに誰もいないから。勇者と付き合っているなんて誰が想像つくだろか。

するりと、僕の下半身を撫でて首を傾げるアルフレート。もう、どうにでもなれ、と彼に目を向けてやればそのラピスラズリの瞳とかちあってしまった。



「嬉しいよ。テオ」

「うぅ……本当に、アルの顔好き。その顔で言われたら、無理」



あはは、何それ。と言われてしまい、僕は穴があったら入りたい気持ちだった。そして、笑顔でズボンをずらすのはやめてほしい。露出した、下半身は外気に当たって、ぶるりと震えている。恥ずかしさのあまり、緩く立ち上がってしまっているのも、またこれも恥ずかしい。



「テオのここは、テオみたいにかわいいね」

「それって、小さいってこと!? 酷いよ、アル。僕だって男で……」

「おいしそうだし」



と、こちらの話を聞いていないアルフレートは僕のそれを舐めあげた。躊躇せず、ぱくりと口に含む。ぬるりとした感覚と、下半身が生暖かい感触に覆われて、僕は思わずアルフレートの頭を掴んだ。



「あ、アル、アルだめ、だめっ、だから!」

「ん、でも、テオの反応してくれてるんだけど?」



そりゃそうでしょ。好きな人に触られているわけだし。というか何より、そんなことされて反応しないわけがない。

ラピスラズリの瞳は、全く悪意がなくて続きをご所望している。僕の舐めるんじゃなくて、僕がアルフレートのを……と思ったが、あの凶悪なものを思い出して、口に含めそうにないな、と僕は肩を落とす。僕だけ気持ちよくなるのはなんか違うし、癪だ。

そんなふうに、僕が、ダメだって抵抗すると、なぜか嬉しそうにアルフレートはにこりと笑って、再度僕のそれに舌を這わせる。



「やだって、アル! あッ」

「んん? でも、テオのここ、気持ちよさそうだよ。ほら、先っぽがこんなに……」



と、僕のをいじりながら言う。


そんなエッチなこと言わないでほしい。言葉だけでも、熱が集まって、ピクンと動いてしまう。それも、見逃してもらえず、彼の興奮材料として投下される。



「あぅ……っんん!」



もう、やだ。本当に恥ずかしいし、やめてほしいのに。

体は正直で足がピンと伸びてしまう。アルフレートの舌は気持ちよくて、腰が浮く。それに気をよくしたのか、アルフレートは舐めているだけだったそれを口に咥えて頭を上下させ始めた。



「やっ、ダメ、いやっ、あっ」

「いや? 本当に?」



わざと、ちゅ、じゅぷっ、と音を立てて吸ってくるアルフレート。視線だけ上に向けてきて目が合うと、さらに動きが早くなる。



「やだぁ! ダメ、ダメ、ダメ、口はなして、お願い!」

「……ん」



びくびくっと腰を揺らして達する。自分でも思った以上の量が出てしまい、イった後は、何も考えられなかった。頭の半分以上まだ残っている快感に体が無意識に揺れている。でも、次の瞬間やってきたのは、罪悪感だった。

サアアア……と血の気が引いていく。さすがに、恋人とはいえ口の中に出してしまうのは、と僕は慌ててアルフレートにぺっ、してなんて幼稚な言葉を投げかける。しかし、僕の精液を口で受け止めたアルフレートはあろうことか、口を動かしたのち、ごくりと喉を鳴らした。その音共に喉仏が上下するのを見てしまい僕は羞恥で死にそうになる。



「なに、してっ」

「テオの、甘くて美味しいよ。蜂蜜みたいで。もっと味わってたい」

「嘘、そんなわけないよ!」



おいしいわけがないでしょ、バカ。

出してといっても、本当に飲み込んでしまったようでもう時すでに遅かった。何でこんなにエッチに育ったんだろうか。十一年の間に何があったというのだろうか。

口元をぬぐっているその姿もかっこいいけど、そうじゃないと声を大にして言いたかった。でも、きっとアルフレートは聞いてくれないんだろうなと思って、ため息を吐く。それに、気持ちいと思ったのも事実だったから、否定しようがない。



「ねえ、テオもう一回いい?」

「だ、ダメ。今はダメ。小出しにするっていったじゃん。アル……」



有限不実行しないでほしい。

アルフレートは僕を見上げて、ダメ? と再度聞いてきたが、今また触られたらおかしくなってしまいそうだった。小出しにしてくれれば何とか耐えられそうだ。

元から、快楽に弱い身体だったのか、それとも彼のテクがよかったのかはわからないけど、まだ頭がフワフワしている。もし、することになったらどうなるのだろうか。ちょっとの期待と、恐怖でまた頭がぐちゃぐちゃになる。

でも、望んでいるのも本当だった。



「わかった。テオのペースでいこう」

「わ、わかってくれた?」

「うん。今のテオも、さっきのテオもかわいすぎて。俺で気持ちよくなってる、テオを見るのはすっごく幸せ」

「う、うん。その笑顔で言うことじゃないと思うけどな……」



ちょっと変態だけど、許容範囲。いや、アルフレートだから許容できるんだろうけど。

僕は、脱がされたズボンのポケットからハンカチを取り出して、彼の口元をぬぐった。絶対においしくないんだけどな、と思いながら、僕にされるがままのアルフレートを見て、ちゅっと、僕からもキスをしてみる。まだ、口元はダメだけど、額に。



「テオ?」

「僕も、アルに何かしてあげたい。気持ちいの、僕だけじゃ寂しいし、一緒に気持ちよくなってほしいから……うん、その方法も考えていこう」



恥ずかしいけど口にして、伝えてみれば案外あっさりだった。

アルフレートは抱き着くのを我慢するように拳を握って、「うん。テオのいう通りに」とちょっと幼い笑みを僕に向けて、僕の頬を撫でたのだった。

幼馴染の君は勇者で、転生モブAの僕は悪役令息の腰巾着

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