テラーノベル
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シャンデリアの眩い光が、親父のドスの白刃に反射し、豪華な絨毯の上に細い光の筋を描く。
招待客たちの悲鳴が、優雅なオーケストラの残響をかき消した。
「殺せ。ただし、その目は潰すな。志摩刑事に送っている映像を、最後まで最高の画質で届けたいからね」
神崎が、シャンパングラスを傾けながら冷酷に命じる。
銃声が轟く直前、俺は一番近い円卓を力任せに蹴り倒した。
ドォン!
厚いマホガニーのテーブルが盾となり、PMCの放った弾丸が木片を撒き散らす。
その隙に、俺は山城と背中合わせになった。
「兄貴、数が多い…ここは、俺が食い止めます!」
山城がウェイターのジャケットの下から隠し持っていたショットガンを引き抜く。
「……無茶はすんなよ、山城!」
俺は低く地を這うような姿勢で、ステージ横の柱の影へと突っ込んだ。
横から躍り出たPMCの兵士。
プロ特有の無駄のない動きでナイフを突き出してくるが
俺は親父のドスでその刃を受け流し、もう一振りのドスで奴の膝裏を断ち切った。
「ぐっ……!?」
男が崩れ落ちる。
俺はその背中を踏み台にし、一気に神崎の座る壇上へと跳躍した。
「神崎ィッ!」
ドスを振り下ろす。
だが、神崎の背後に控えていた、巨漢のボディーガードがその一撃を鋼鉄のような腕甲で弾き返した。
「……野蛮ですね、黒嵜さん。暴力で世界が変わったのは、大河内会長の時代までだ」
神崎が指をパチンと鳴らす。
すると、船内のスピーカーから志摩の苦悶に満ちた声が流れた。
『…黒嵜……逃げろ……、奴ら、最初から俺たちの……居場所を……ッ!』
「志摩!?」
通信の向こうで、何かが激しく破壊される音が響き、映像の転送が途切れた。
「君たちが正義の味方ごっこをしている間、私の部隊は陸のネズミたちも同時に処理している」
「……この船は、君の墓場であると同時に、君の仲間たちの葬儀会場だ」
神崎の眼鏡の奥で、計算し尽くされた殺意が光る。
船が大きく揺れた。領海を抜け、公海へと出た合図だ。
ここから先は、日本の法律も、志摩の権限も届かない「無法の海」だ。
「……仲間を売った報い、その命で払わせてやるよ」
俺は二振りのドスを構え直し、巨漢のガードマンと、その奥で嘲笑う神崎を見据えた。
左肩の傷が、かつてないほど激しく熱を帯びていた。
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