「…マネージャーさん。」
「ん?どーしたの康二?」
いつものドッキリの後。一人、マネージャーのもとを訪れた康二は、少し緊張した面持ちで、でも真っ直ぐな目で言った。
「番組で…Snow Manにドッキリ、仕掛けたいんです。」
その言葉に、マネージャーは一瞬驚いたが、すぐに康二の意図を察したのか、優しく笑った。
「はは、わかった。どんな仕返しがしたいんだ?」
「仕返し、やないんです。」
康二は、ふっと笑った。
「…恩返し、です。」
仇を仇で返すんじゃない。
仇を、恩で返す。それが、向井康二という男だった。
※※※
数日後、「新企画」と称してメンバー全員が集められた。
その名も、『今更言えない?!互いの好きなところを言い合おう!!』。
「うわ、なにこれ、恥ずっ!」
「俺、そういうの苦手なんだけど…」
メンバーたちが照れたり戸惑ったりする中、企画はスタートした。
いざ始まってみると、なんだかんだで温かい空気が流れる。
「ひーくんの振り付けは、俺らのことを一番に考えてくれてて、マジで尊敬してる。」
「ラウールは末っ子だけど、センターに立つ姿は誰よりも頼もしいよな。」
「阿部ちゃんの努力は、本当にすごいと思う。」
照れながらも、普段はなかなか口にできない本音がこぼれ、スタジオはだんだんと優しい雰囲気に包まれていく。
そして、いよいよ向井が褒められる番、というその時だった。
「…あ、ごめん!ちょっと、お腹痛いかも…!トイレ行ってきてええかな!?」
康二が、顔を青くして(もちろんフリ)、スタジオを飛び出していった。
「え、大丈夫かよ、康二。」
「あいつ、緊張してたんかな。」
メンバーたちが心配そうに見守る中、スタジオの照明がふっと落ち、正面のモニターが明るくなった。
「みんな、注目〜!」
モニターに映し出されたのは、VTRの中の向井康二。その声に、メンバー全員がハッとして画面を見つめた。
康二は、少し照れくさそうに笑いながら、一人ひとりの名前を、ゆっくりと呼び始めた。
「ひーくん。いつもリーダーとして、俺らのこと引っ張ってくれてありがとう。照くんの作るダンスが、俺は世界で一番好きやで。」
「ふっかさん。いつも俺のしょーもないボケ、拾ってくれてありがとうな。ふっかさんがおるから、俺は安心してふざけられんねん。」
「翔太。俺が落ち込んでる時、いっつも一番に気づいてくれるよな。照れ屋やけど、その優しさ、ちゃんと伝わってるで。」
「舘様。いつも堂々と構えててくれて、ありがとう。舘様がおると、Snow Manが締まるねん。そのロイヤルさ、一生ついていきます。」
「阿部ちゃん。頭ええのに、俺と一緒になってアホなことしてくれるの、めっちゃ嬉しいねん。いつも頼りにしてます。」
「さっくん。その元気さに、俺、何回も助けられたわ。さっくんがおると、現場がマジで明るくなる。最高のムードメーカーやで。」
「ラウール。最年少やのに、いつも堂々としててすごいな。でも、たまに見せる弟なとこ、お兄ちゃんはめっちゃ好きやで。」
「そして、めめ。同期の親友で…。隣にお前がおってくれて、ほんまに良かったって、毎日思ってる。いつもありがとうな。」
VTRの中の康二の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「俺は、みんながおるから、ここに立ててる。俺の宝物は、Snow Manです。」
VTRが終わり、スタジオが静寂に包まれる中、ドアが開き、本物の康二が戻ってきた。
「…っていう、俺からの、逆ドッキリでした!みんな、大好きやで!」
悪戯っぽく、でも少し涙目で笑う康二を見て、メンバーたちはしばらく固まっていたが、やがて状況を理解し、一斉に感情が爆発した。
最初に動いたのは渡辺だった。
「…はぁ…?お前、最高かよ。」
その一言を皮切りに、佐久間とラウールが「こーじぃいいぃー!!」と叫びながら康二に飛びつき、目黒は静かに、でも確かに涙を拭い、岩本は優しい顔で微笑んでいた。
深澤は「なんだよ、お前〜!」と言いながら、一番最初に康二の頭をワシャワシャと撫でた。
「お前、ガチ最高。…あ、やっぱりうそ。」
照れ隠しで悪態をつく渡辺の顔は、真っ赤だった。
結局、ドッキリは大成功。
でも、そこにあったのは、いつものような爆笑ではなく、Snow Manの絆の深さを再確認する、温かくて、少ししょっぱい涙と、最高の笑顔だった。
コメント
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こーじ優しい、!

みんな照れちゃうけど優しくてかっこよくて、最高に仲間想いなんだよねー!めっちゃめっちゃ心温まった!書いてくれて本当にありがとう! 続き楽しみにしてます!