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恐怖の館からの脱出

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恐怖の館からの脱出

11 - 第11話 絶望の恐怖

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2022年12月13日

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近藤 翔太の初めての夢が始まる。

それは夢であるが、夢ではない。

謎の怪物に終われ続け、無惨に殺される夢。

助かる方法は、ただ走って逃げ続けるしかないのだ。


「ん…ここは…どこだ…」

近藤は目覚めると、知らない部屋にいた。だがそこは近藤の部屋にとても似ていた。同じような家具が置いてあるからだ。

「うっ」

体はとても寒く、なにか不気味な予感がし、身震いしてしまう。

起き上がると近藤は学校の制服を着ていた。

いつの間に着たのかまったく思い出せない。

とりあえずベッドから降り、部屋から出てみると、正面に少し空いている扉、右は扉が全開になっていて、

左は2つ扉がありその二つは閉まっている。そして奥の部屋は扉が全開だった。

とりあえず正面の少し空いている扉に入ろうとすると、部屋の中はゴミが散乱していて、とても吐き気のするような匂いがする。部屋の中へ入ってみると、メイク道具や、大きい鏡、明らかに女性がいた後だ。

一番驚いたのは血のようなものがついたナイフが、たくさん置いてある。

「どんなやつがいたんだこの部屋に…」

具合が悪くなってきたので部屋から出て左の全開に開いている部屋に入ってみる。

するとそこには誰かがベッドの上で泣いていた。

「みゆ…うん…やるしか…ないよね…そうだね…」

ベッドのお布団をどけるとそこには

包帯だらけでミイラのように死にそうな竜一がいた。

竜一は泣いているが、左目からは血が包帯に滲んでいる涙が流れ落ち、完全に精神が崩壊している。

何かぶつぶつと独り言を喋っている。

近藤はベッドに座り、竜一に話しかけてみる。

「なにかあったのか?…」

話しかけてみるが、近藤の声は竜一には届かない。

竜一の肩を掴み、大きい声で叫んでみる。

「竜一!!なにがあったんだよ!!!」

竜一は少し驚き、近藤の方を見る。

近藤に気づくと目から更に涙が溢れ落ちてくる。

「あぁあ、近藤…おれは…みゆを…守れなかった…」

竜一は泣きながら喋り出す。どれほどショックだったのか近藤にはわからない。だが竜一がどれだけ彼女のことが好きだったかは幼馴染の近藤はわかっていた。

「なぁ竜一、ここはどこなんだ…一体なにがあるっていうんだ?」

ここがあまりに不気味で異様な空気を発していることはわかる。なぜこんな場所にいるのか、近藤は知りたかった。

だが竜一は躊躇っている。

真実を言うべきか、言うべきではないか考え悩んでいる。

でも真実を言わなければ、また仲間や友達を失ってしまう。

いろいろと竜一の頭の中で考えていると、家のどこからか甲高い雄叫びが聞こえてきた。

「グォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオ」

とても長い雄叫びの声を聞いて、竜一は怯えだすが竜一の心が一瞬、誰かに守られているような気がして、少し暖かいぬくもりを感じた。

「この温もりは…」

近藤は驚くが、竜一の怯える姿を見て、何かやばいのがいると考えた。

「なにかいるんだな…この家に…」

すると、竜一はいきなり起き上がり、涙を拭い決意し、近藤に全てのことを話出した。

「この家には怪物がいる。俺達は今、夢を見ているが、これは夢じゃない。現実だ!」

竜一は今まで経験したことを近藤に全て話した。

赤い扉、怪物の特徴、夢、現実、図書室、寝室のことを。

そして今自分達がいるこの部屋はリスポーンのような感じになっていて、全部で5部屋あるが、残り2部屋がまだ解放されていない。

怪物はこのリスポーンの部屋には入ってはこれない。

現状、竜一もずっとこの部屋からはでていないし、怪物も襲ってはこなかったが、たまに扉の前で出待ちしていることがある。

そしてこれはまだ確定ではないが、怪物は近くにいる人間の心が読めるのではないかと竜一は考えている。

近藤は真剣に竜一の話を聞き、2人で対策を考える。

近藤は最近のクラスの状況について話し出した。

「もしかすると、最近俺達のクラスから死人がでるのは皆んな夢の中で怪物に襲われたのかもしれない…」

明日は月曜日なので、土日でだれか2人亡くなっていると考えると近藤はゾッとしてしまった。

怪物をまだ見ていないが、もし見つかったら生き残れるのだろうか不安になる。

とりあえず2人は赤い扉を探すために、竜一が最後まで行った寝室の奥の扉まで目指すことにした。

竜一と近藤が寝室の次の部屋、玄関ホールへと行くと、突然、誰かの記憶が2人の中へと入ってきた。

誰の記憶かはわからないが、ここで記憶の中の人間を突き落とし、ナイフを持って、殺そうとする藍沢叶の姿があった。

「藍沢叶…まさか彼女が夢の中に…」

近藤はあの汚い部屋が藍沢叶の部屋だと確信した。

藍沢叶と記憶の中の男はなにか言い合っている。

その内容は声が聞こえずよくわからない。

次の瞬間、藍沢叶は突然襲ってきた怪物に喰われてしまった。

2人は1階への階段を降りると、玄関を見つけるが、あまりにも頑丈な作りになっていて、何かはめ込むようなものがあって開けれそうになかった。

1階には2つのドアと天井にはフランス式のシャンデリアが飾ってある、反対側には2階へ続く階段があり、半開きになっている扉がある。

1階のドアは全て閉まっていたので、2階の階段をのぼる。

扉を開け、更に長い廊下を歩くと、扉が見えてきたので開けると今度は、牢屋だった。

部屋に入るとまた誰かの記憶が脳内に入ってきた。

怪物がいきなり現れ、鉄格子に叩きつけられたあと喰われて死んでしまった。

誰かはここを脱出すれば、きっと明日わかるに違いないと思い、2人は互いに必ず脱出することを誓う。

部屋は広く真ん中には鉄格子があった。

そして反対側には赤い扉があるが、鉄格子のせいで

あちら側にはいけそうにない。

「記憶の中でもそうだが、この鉄格子のせいで詰んでいるな」

竜一は硬い鉄格子を触り分析してみると、一部だけ

鯖でボロボロになっているところがあった。

だが錆びてるだけで、今の状況は特に変えることはできない。

竜一は何かまだ探索しきれていないのではないかと考えた。

「図書室へ行ってみよう!まだあそこは全て探索できてないしな」

竜一と近藤は2人で図書室へと戻る。

図書室へ入ると、本棚の本がバラバラに散らかっている。

「怪物がやったのか?…」

よく図書室は怪物が来るので早めに探索を終わりたい竜一だが、図書室のどこを探しても特に脱出の手がかりになるようなものはなかった。

すると、突然近藤は竜一の記憶が脳内に再生される。

一緒にいるのは、相川はるとだった。

髪の長い怪物なら襲われ相川はるとは死んでしまった。

あまりにグロテスクな記憶で近藤は少し、具合が悪くなってしまった。

数十分かけて、全ての本を本棚から落としてみるが何も情報は得られなかった。ほとんどの本が意味のわからない科学系や生物兵器の本ばっかりだ。

「この家主って頭いかれてるだろうな」

具合が悪そうな近藤は床に座り込み、休憩している。

2人はほぼ諦めかけ、もう一度、牢屋のある部屋に戻ることにした。

牢屋の部屋に戻ると、鉄格子が無くなっていた。

「え?どういうことだ??」

竜一と近藤は驚く。

「これなら脱出できる!赤い扉を開けよう!」

よくわからないが、とりあえず赤い扉を開けようとした瞬間、近藤は人の気配を感じたので、後ろを振り返ると、そこには、相川はると、田中みゆ、藍沢叶、

そして松村ライキの4人が、こちらを見ていた。

その目はまるで何かに取り憑かれたかのように死んでいる。

「みんな…」

みんなの姿を見て、竜一はみんなが生きていることが信じきれず嬉しくて立ち止まる。

とくに竜一はまた田中みゆと会えたことに喜びを隠せなかった。

近藤はさっき2人で見た記憶は松村ライキの記憶だったのかと考えた。

だが近藤はその4人は明らかにおかしいと判断し、

4人に寄り添おうとする竜一の腕を掴んだ。

「まて!竜一!これは恐らく罠だ!」

すると次の瞬間、4人は人の姿から怪物の姿へと変わっていった。

「怪物が…4体も…逃げるぞ!竜一!」

竜一の腕を引っ張り、赤い扉を開けようとする。

怪物の一体が長い髪を伸ばし、近藤や、竜一の体を巻きついてきた。

赤い扉を開けるがあとは中へ入る直前で、髪の力が強すぎて、近藤はそのまま怪物の方へ引きずり込まれてしまった

「近藤!?!」

竜一は手を伸ばすが届かなかった。

そしてそのまま近藤は目の前で怪物に喰われてしまった。

「あああああぁぁぁぁぁぁああああああああああああ」

近藤の叫び声が竜一の耳へと聴こえてくる。

いかに自分が無力なのか思い知らされ、心が折れそうになる。

2人で脱出する誓いも守れずに自分だけが生き残って

誰も守ることができない。次々とクラスのみんなが殺されていく。

自分自身ここで止めないと、もっと他にクラスの皆が死んでしまうと考えた竜一は、ポケットからハサミを取り出し、体に巻きついている髪を切る。

そして全速力で走り、涙を流しながら赤い扉の中へと飛び込んだ。

「ごめん…近藤…みんな…」

後ろを振り返ると、4人の怪物は5人へと増え、意識を失う最後に、近藤がこっちを見て笑っていた。

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