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【統合日本連邦共和国 全国放送ニュース】
日本全国のテレビのチャンネルはひとつのチャンネルだけに絞られた。ニュースの内容は中国帝国の大規模大陸間弾道ミサイル輸送についてだ。今まで、いい気味だと中国帝国に向かって笑いを見せていた日本国民全員が青ざめた表情でニュースを見ていた。
『えー……速報です。統合連邦国防軍は、中国帝国軍が朝鮮半島に大量の大陸間弾道ミサイルを輸送している事が明らかになりました。この大陸間弾道ミサイルは全て核弾頭が搭載されていると思われ、先日行った中国帝国への報復攻撃への中国帝国からの報復だと思われています。統合連邦国防軍は国民一人一人への注意及び警告を行っています。』
このニュースは中国帝国の帝国省まで届いていた。
【中華人民帝国 帝国省】
桜蘭兵国家主席を含む多くの政治家達が集い、日本が報道したこのニュースを見ていた。
「ふん……報道の速度だけは一丁前だな。」
「国家主席。大陸間核弾道ミサイル、全て朝鮮半島への輸送を完了しました。報復攻撃を行いますか?」
桜蘭兵国家主席は少し考えた後、部下に言う。
「いや、まだだ。もう少し日本を泳がせる。今は行動だけ見せておけ。攻撃する必要はまだない。」
「分かりました。帝国軍総督に 伝えておきます。」
部下の1人が部屋を出た時、桜蘭兵国家主席は椅子に肘をつけた。
「日本国め……まぁ、今はせいぜい騒ぐといい……忘れた頃に……列島ごと吹き飛ばしてやる……北京や上海、そして広州にされたようにな……」
あれから、1ヶ月の月日が経過した。統合日本連邦共和国は、東京や大阪といった都市を直ぐに復建させていた。人々は今が第三次世界大戦中だと言うのに、昔の日本のように、会社に行き、学校に行き、時に笑って、泣いて、心から喜んで……。まるで戦争中の世界とは思えないほどのどかな生活を送っていた。統合連邦国防軍は密かに中国帝国の大陸間核弾道ミサイルを警戒していたが、日に日にその警戒も薄くなって行っていた。そう、この時点でもう日本は中国帝国の手の上に落ちてしまったのである。平和な日常を突然奪う、それは人の精神を根元から削ぎ落とし絶望させる最高の手段である。中国帝国はそれが目的なのだ。ヨーロッパ諸国ではまだNATOとロシアの戦争が続いていると言うのに、やはり日本国民はみな平穏そうに暮らしている。まるで平和ボケが日本に帰ってきたみたいに……