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このお話は普通の男の子がごく普通の古びた時計を拾った物語。
学校からの帰り道を歩いていると建物と建物の間からキラキラ光る何かを見つけた。不思議に思って見に行くとそれは古く錆びている以外は普通の時計だった。持ち主を探すため周りを見渡したがそれらしき人影は無い。どうしようかと悩んだ結果、持ち帰ることにした。家に帰ると真っ先に部屋に入ってからその時計を見つめた。その時計はチッチッチッと秒針が動いているだけだった。しばらくすると母親から夕飯が出来たと呼ばれた。夕飯を食べてお風呂に入った。夜の21時、時計を机において宿題をしていたら急な眠気が来たように意識が遠のいていった。次に目を覚ますとあたりが木と草が生えていて道が一本だけの薄暗い森に来ていた。その道を辿っていくと広い場所について木製の古い大きな家についた。しばらくその家を眺めると家の中から金色のロングヘア、バイオレット色の瞳が特徴的な少女が出てきた。びっくりしていると声をかけられた。
『どなた?なぜ此処へ来られたのですか?』
その声は海のように透き通った声だった。
「僕は、気づいたらよく分からない森に来ていて道を辿って行ったら此処へ来ていました。」
僕が答えたら少女は僕の瞳をまっすぐ見つめて真剣そうにこう言った。
『そうですか。とりあえず家に入ってください。もうじき夜が更けます。』
そう言われてからあたりを見回すと、まだ空がオレンジ色の夕焼けだ。僕は理解が追いつかなかった。でも、家に入らないと大変な事になると本能的に感じた。家に入るとそこは壁一面に飾られた絵に長い廊下とても不気味に思った。少し歩くと暖炉があるゲストルームらしき部屋に通された。少女に此処で待つよう言われソファーに座って帰りを待っていた。少女が返ってくるとティーポットやクッキーを持ってきた。少女は
『あなたとお話がしたいだけなの。だから安心して毒なんて盛ってないわ。』
僕は疑いつつも食べてみると、これが凄い美味しくてたくさん食べた。そして食べている間に少女との会話を楽しんだ。数時間、話たあとに大きな時計がボーン、ボーンと大きな音を鳴った。少女は慌てたように周りを見回した。そうして
「どうしたの?」
『もう帰ってちょうだい。これ以上ここに居たらもう帰れなくなってしまう。』
僕は何が起きているか分からなかった。けど、少女が僕の腕を引いて玄関まで引っ張って行った。
『ごめんなさい。私はこれ以上、外に出れないわ。最初にここに来た道を辿って帰ってちょうだい。』
そう言って少女は僕の背中を押した。僕は言われた通りに帰った。そしたら、森の入り口についた。そしたら、最初のように意識が遠のいた。気がつくと僕は自分の机で寝ていたようだ。頬が痛い。不思議な夢だったと思いながら僕は布団に潜った。時計を見たら0時ピッタリだ。僕は普段、寝落ちすることは滅多に無いからなぜだと思いながら眠りについた。次の日、目を覚ましていつも通り学校に行ってご飯を食べたあと、今日も昨日みたいなことが起きるのかとソワソワしているとまた自分の意識が遠のいていった。すると昨日見た森の入り口が出てきた。昨日みたいに少女に会えると思って少し急ぎ足に、あの家に向かうと少女が出迎えてくれた。
『待っていたわ。さぁ、入ってちょうだい。』
僕は家に入ると昨日と変わらない長い廊下と一面に飾られた絵こればかりは気味が悪い。今日は昨日と違う部屋に通された。そこは書庫だった。あたり一面、本ばかりだ。
『今日は本を読まないかしたら?』
少女は僕と本が読みたいらしい。そして僕と少女は本を数時間読んだ。数時間後、昨日みたいに時計がボーン、ボーンと鳴った。僕は昨日みたいに森を真っ直ぐに歩いて帰った。ある日は少女とお菓子を作ったり、家で遊んだり色々なことをして過ごした。そして僕はある疑問を3つ感じた。1つ目は家は時間の進みがおかしい。僕の世界は21時には外は真っ暗なのにこの世界は夕焼け、僕が自分の世界に戻ったときは0時なのに、向こうの世界は薄暗くなった時間帯だ。2つ目は少女が住む世界には電気が1つもない。外の森はもちろん無いとして、少女の家にも電気が1つもない。料理も1から火を起こしているのを見た。なので普段の生活は火が主なのだろう。3つ目は時計がどの部屋にも無いと言うことだ。だって、時計の音は聞こえるのだう?なのに、どういうことかって?そう、時計の«音»は聞こえるなのに時計の本体が見つからない。何処かの部屋からあるのかと思って少女と、かくれんぼをした日に探してみた。家のほぼ、全部の部屋を探してみたけど、どの部屋にも無い。その疑問を感じながら僕は今日も少女の家に行った。僕はその日も変わらず時間になったら家に帰った。布団の中でふと、拾った時計のことを思い出した。あの時計を拾った日からだ。少女の家に行きだしたのは。もしかしたら少女は時計のことを知っていのかもしれない。そう思って少女に聞くことにした。そして、時間がすぎるまであの家で過ごしてみようと思った。ちょっとした出来心さ。もしかしたらこの時計のことを聞いてあの家にいけなくなったらと思うと何故かやってみたいと思った。何度も歩いた見慣れた道を、歩いて少女の家に向かった、今日はポッケトに古い時計を持って。いつも通り少女の家について、紅茶とお菓子を持ってきてくれて、美味しく食べてるとき。思い切って、聞いた。
「ね、ねぇ、この時計、知ってる?」
そっとポッケトから時計を差し出した。彼女は少し顔を歪めた。
『えぇ、とても良く知っているわ』
僕はそれをなにか聞いて見ようと思って口を開こうとすると、少女のほうが先に話しだした。
『ねぇ、その時計の秘密、知りたい?』
「う、うん」
僕はそう返事をすると少女は悲しそうな顔をしながら
『ついてきて』
と冷たい声で言った。僕はドキドキしながらついていくとそこは僕が入れなかった部屋だった。そう«ほぼ»とはこのことだ。僕は全ての謎が解けるのかと思った。そこは地下へ繋がる階段だった。その階段を二人で降りていくと、少女は喋りだした。
『あのね、この家には2つのルールが存在するの。1つ目は時計の音がなったらすぐにこの家を出て森を出ないといけない。2つ目はその時計のことを聞いてはならない。』
「え?2つ目は聞いたことないよ?なんで言ってくれなかったの?」
『まぁまぁ、まずは話を最後まで聞いて、このルールを破った人はどちらか2つの結末を迎えることになるのよ。』
『1つは最初話した、時間を破った人ね。時間を破った人は、不気味な化け物が来て地下に連れて行かれるの、そしたら、その化け物に皮を剥がれ宙吊りにされるのよ。』
「な、なんで知っているの?」
『それはね、2つ目の時計の秘密を聞いた人の結末を聞いたら分かるわよ。その人はね、この家の家主、つまり、私と役割を交代するのよ。その時計を見つけて拾ったものは逃げられない。私もそうだったわ。何度も逃げようとした。けれど逃げられなかった。この世界では歳をとらない。つまり死ねないってこと。だから貴方みたいに次の時計の秘密を聞いてくる人が来るまで逃れられないの。でもね、なかなか居ないのよ時計の秘密を聞いてくる人が貴方が来る前に何百の人が私の元を訪ねたわ。でもね、全員居なくなっちゃった。時間を破った人のよ。それでね、化け物はこの家の家主なの。時計の音がなるとその後すぐに記憶を無くしその場にいる人を、、、まぁ、この家には私以外居ないからその後の処理も私がしているの。私は貴方に感謝をしているわ、貴方のお陰で私は自由になれる。申し訳ないように思うけど、これは時計が決めた運命なのだから。そう、私達は時計の針に人生を狂わされたのよ。』
少女が話し終わると振り返った。不気味に笑う少女。少女の後ろのにはかぞえきれない数の骸骨があった。僕は青ざめた。急いで逃げ出したくとも逃げ出せない。
『もう、無駄よ。この家は貴方の物になったのよ。本当にごめんなさいね。悪く思わないで。でも、必ず貴方みたいな人が現れるわ。今までありがとう楽しかったわ。』
そう言って彼女は消えていった。そこに残されたのは彼女の背景にあった沢山の骸骨と僕だけだった。僕が持っていた時計は少女が消えるのと共に消えていった。きっと、誰かの目の前には逃れることの出来ない死神という名の時計が現れるれているのだろう。それを俺は時計の秘密を聞いてくれる人が現れるのを待つだけ。永遠に終わらない死の連鎖。