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#高校生
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第15話 「あと一勝」秋季大会二回戦。
柳城高校は、危なげなく勝ち上がった。
守る。
走る。
繋ぐ。
派手さはない。
だが、簡単には崩れない。
「柳城、嫌なチームになったな……」
観客席でもそんな声が聞こえ始めていた。
そして迎えた準々決勝。
相手は、春の県大会ベスト4・大牟田商業。
強打のチームだった。
試合前。
ベンチの空気は重い。
「静かですね」
一年生が小声で言う。
すると二年生主将が笑う。
「こういう時の方が危ねぇんだよ」
小早川はミットを握り直す。
(勝てばベスト4……)
その先には。
九州大会。
整列。
礼。
――プレイボール。
初回。
大牟田商業打線が襲いかかる。
いきなり二連打。
無死一二塁。
球場がざわつく。
打席は四番。
小早川はマウンドへ向かう。
「落ち着いていきましょう」
投手がうなずく。
初球。
インコース。
ファウル。
二球目。
低め。
空振り。
追い込む。
三球目。
外へ外す。
打たせた。
――ショートゴロ。
6-4-3。
ダブルプレー。
「よしっ!!」
柳城ベンチが沸く。
その裏。
柳城も反撃。
真ん中へ入った球を、三番打者が叩く。
――カキン!!
右中間突破。
タイムリー三塁打。
1対0。
柳城先制。
ベンチの空気が一気に変わる。
中盤。
試合は我慢比べになった。
相手は長打力。
柳城は守備と機動力。
5回。
一死一塁。
小早川がサインを出す。
一球外し。
走った。
「二塁!」
アウト!!
スタンドがどよめく。
「読んでたな……」
観客席から声が漏れる。
小早川は静かに息を吐く。
(流れを渡すな)
だが7回。
ついに捕まる。
長打。
送りバント。
犠牲フライ。
1対1。
同点。
球場の空気が重くなる。
ベンチへ戻る途中。
二年生主将が言う。
「焦んな」
「こういう試合を勝つためにやってきたんだろ」
小早川はうなずく。
8回裏。
柳城の攻撃。
二死二塁。
打席には小早川。
スタンドが静かになる。
(繋げ……!)
初球。
低め。
食らいつく。
――カキン!
打球はセンター前へ。
二塁走者がホームを狙う。
「回れぇ!!」
クロスプレー。
セーフ!!
2対1。
柳城勝ち越し。
ベンチが総立ちになる。
「しゃあああ!!」
最終回。
あとアウト三つ。
だが夏と違い、誰も浮ついていなかった。
一人目。
ショートゴロ。
二人目。
センターフライ。
二死。
最後の打者。
フルカウント。
球場が静まり返る。
小早川はサインを出す。
(低め……)
投げた。
振った。
――ゴロ!!
サード正面。
アウト!!
ゲームセット。
柳城高校 2―1 大牟田商業。
ベスト4進出。
ベンチが飛び出す。
歓声。
拳。
叫び声。
だが福間監督は、まだ笑わなかった。
整列後。
選手たちを集める。
「喜ぶのはまだ早い」
静かな声。
「次、勝って初めて九州大会や」
空気が引き締まる。
あと一勝。
長く届かなかった場所まで、あと一つ。
夕暮れのグラウンド。
小早川は空を見上げていた。
(行きたい……)
九州大会へ。
その先へ。
柳城高校は今、確かに前へ進んでいた。
第15話 終