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鈴子は事件の知らせを会議室で聞いた、電話をつないだ花田はほとんどヒステリー状態だった
「傷は相当ひどいの?彼は?意識はあるの?」
パニックになった鈴子の顔から血の気が引いていた、榊原も慌ててかけつけてきた
「詳しいことはまだ何も分からないんです、姫野候補は今、明石病院の救急室にいます!」
「すぐ車の手配をしてちょうだい!」
「急いでやってくれ!」
増田も青ざめて指示を飛ばした
リンカーンの運転手をせかして高速を飛ばしても、病院に着くまで一時間以上かかった、ICUで青ざめてチューブに繋がれて横になっている浩二を見るなり、鈴子は泣き崩れた
「幸い急所はどうにか外れたみたいでよかったよ・・・鎮痛剤をたくさん投与されて今眠っているが・・・」
疲れた様子の良平がベッドに突っ伏して泣き崩れる鈴子に言った
「大丈夫・・・浩二は回復するそうだ」
グスッ・・・「せ・・・選挙は?」
ハァーッ・・・と良平はため息をついた
「暫く休むしかないな・・・」
・:.。.・:.。.
遠くから聞こえるのは鈴子の声だった・・・
浩二は重い目をどうにか開けた、泣きはらした目の鈴子と良平が自分を覗き込んでいた、二人とも顔がだぶって見えた、喉がカラカラのうえに、目も頭もぼんやりしていたが、やっとかすれた声で二人に言った
「いったい・・・何があったんだ・・・?」
「お前は刺されたんだよ」
良平が苦々しい顔で言った、ハラハラ涙を流す鈴子も言った
「でも、すぐ良くなるってお医者様が言ってるわ・・・大丈夫よ・・・必ず良くなるわ」
浩二は、包帯を厚く巻かれた自分の腹を見つめた・・・そこで記憶がどっと甦った、犯人は自分が姫野浩二だと聞いてから襲い掛かってきた、計画的犯行だったのだ、浩二も一瞬の出来事で防御のしようがなかった、腹正しくてしかたがない
「大丈夫だよ、最近の医療技術は発達しているから・・・」
そう言った良平の顔も青ざめていた、浩二はまた意識を失いかけ・・・うとうとしながら言った
「必ず犯人を見つけ出してやる」
鈴子が浩二の手を握った
「浩二・・・今は眠って・・・お願い・・・」