こんなにも
惨めになってしまったのは
いつだろう
ごめんなさい。
「はぁ…?めんどくせ…」
『だーめ!サボるんじゃありません!私だってちゃんと仕事してるのに…』
ネチネチとうるさい説教だ。
話を聞き流して今晩の夕食の献立を考えていた
『…ちょっと、聞いてる?』
「あ、うす。きいてまーす」
『…とにかく、ちゃんと仕事してね?』
「気が向いたらな〜」
ほんとうは
もっと素直になりたかった。
本当の俺を
認めてくれる世界が欲しかった
でも、否定されるのが怖くて
本当の俺を隠して
その上に、さらに仮面を重ねて
苦しくなるのは、自分だといういうのに。
「…俺、バカだよな…」
『はぁ!?』
隣の彼は驚く。
つい、口にしてしまった。
『どうしてそんな…どうかした?風邪でもひいた?それとも…誰かから言われたとか?僕、心配だよ…』
「いや、なんでもない。気にすんな」
こんなにも、喉が詰まったのは初めてだ
苦しくて、本当は泣きそうで
でも隣の彼を心配させたくなくて
本当の俺を隠して
『…僕は、君が好きだよ。ずっとね。』
「は、はぁ…?」
きっと、彼が好きなのは
“上塗りした自分”なのだ。
その下の本当の姿なんて、知りもしないくせに。
そんな事を考えては腹を立て、いつも怒ってしまう
『…君の素直じゃないところとかね。』
「え…」
『なに、バレてないと思ってた?』
『君はさ、本当は何かを言いたい時、袖の中に手を隠すよね。もしくは、視線を右下に逸らす。』
「…ここまできたら気持ち悪いぞ。」
『いいのさ。それくらい君が好きってこと。』
うそだ
でも
こんなに苦しい思いをしているのは
知らないだろう?
愚者が、地獄に沈んでしまえ。
『……本当はいつも無理をしていることも。』
はっとして、彼の目を見つめる
『”自分”を隠そうと、必死なんでしょ?僕はなんでもいいけど…君のその姿勢も、嫌いじゃない。』
「……バカ、アホ、おたんこなす」
『あはは、いいね。』
「ドジ、マヌケ、水垢!!」
『水垢は初めて言われたよ…』
「…ふっ、」
不意に笑ってしまう
『あ、今笑った!よかった。』
「じゃあ…お前は今日から水垢な!」
『ええ〜、酷いよ!ちゃんと名前で呼んで〜』
ありがとう、代理。
本当の俺を見つけてくれて。
コメント
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過呼吸になっちゃいそう!!煮干しくん可愛い!!笑ってる!!本当に疲れてたからありがたい…浄化されそう…