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更に嘆きの声を漏らし続ける分解装置に対して、レイブ達の口を借りた神様は言葉を続ける。
「だからな、神が共にいないなんてお前の勘違いなんだぞ? 食べて排泄して、つまり生きている、生命力である魔力を使って行う全ての営みは、種を超えて受け渡され続ける『神』と共に在ることそのものなんだからな! 言い換えればお前を含めた全ての生命は、等しく『神』、創造神だとも言えるんだぞ? 我に対する信仰心を否定はしないがな、過度に依存するばかりでなく、自分自身の内部にある『神』を鍛え増やす事にもっと頓着しなければならないぞバストロよ! そしてお前達の腹を満たし、更なる魔力を与えてくれる食べ物にもっともっと深い感謝を持たなければならないのだ!」
「深い感謝、ですか…… 具体的にどうすれば……」
「ふふふ、教えてやろう――――」
暫(しばら)くして我に返ったレイブ達スリーマンセルは、自分達の前で腕を組み、真剣な表情を浮かべている師匠、バストロに声を掛ける。
「おじさ、師匠、神様とのお話どうだった? ちょっと落ち着いてるみたいだけどぉ……」
『ナオッタノ?』
『又発作が起こったらさっきみたいに神様に出て来て貰えば大丈夫って判ったから安心だよね、ね? バストロのお師匠?』
弟子三者の声、とりわけ小さな黒い猪、ペトラの言葉を聞いたバストロは、姿勢をそのままに、瞑っていた左眼をゆっくりと開いてから答える。
驚くほど穏やかな声音であった。
「いいや、これから先は二度と見せる事は無いよ…… あんなに取り乱してしまった姿はね…… 神は常に共に在る、その事を教えられた今となっては、以前の葛藤が、そうだな? 酷く子供じみた物に感じられるよ、ははは…… これから先は自分自身の中に居る神格に正しく向き合っていこうと思う…… 一緒に頑張って行こうじゃないか、我が神、魔神アスタロトに見初められた最愛の弟子、レイブよ…… それにレイブの友、ギレスラ、ペトラ?」
「お、おじさん!」
『グァ? チャントシテル、バストロォ!』
『なるほどね、何があったかは判んないけど、お師匠の快癒は喜ばしい事に他ならないわよね? ああ、良かったぁ~、ペトラ心配しちゃったわよぉ!』
「ふふふ、済まなかったな…… だがもう大丈夫だ、一緒に強くなろうな、レイブ、ギレスラ、ペトラ」
「『『うん』』」
この日から、一日二、三回の食事の始まりを、勢い良く掌(てのひら)を打ち付ける音、『パンッ!』に続いてピッタリ合わせた掛け声、『いただきますっ!』の合唱が彩る事となり、やがて、本格的な春の訪れを迎える日となったのである。