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ある病院で、保育器にいる赤ん坊とその両親が、初対面を迎えた。
「ついに…ついに私たちの娘が産まれたんだな……!」
「えぇ、そうよ。何て可愛いのかしら…」
「名前はどうしような。とびきり素敵な名前を付けてあげたいが…」
「カルシアが良いわ。素敵な響きだもの。」
「おぉ、良い名前だな!カルシア、パパだぞ~」
ところが、そんな幸せをぶち壊すかのような悲報が舞い込んだ。
「お父様、お母様、大変申し上げにくいのですが……」
看護師は重々しい口調で続けた。
「娘さんは、先天性の不治の病が見つかっております…持って、十五歳まで生きられるかどうか、と言ったところでしょう…」
「そんな!」
二人は言葉で言い表せないほどショックを受けた。
待望の娘は、十五歳まで生きられるかどうか分からない。その事実が、二人の胸を締め付けた。
「何とか…何とかならないんですか!?」
母親が涙を流しながら看護師に問う。
「大変申し訳ないのですが、不治の病ですのでどうすることも出来ないそうでして…」
「そこを何とかお願いします!!」
父親も、看護師にすがるようにして詰め寄った。
「申し訳ございません、現代の医学ではどうにも…責めて、お子さんを幸せにしてあげてください。」
「そんな……」
看護師の言葉に、二人は絶望してしまった。
母親は、娘を抱いたまま声をあげて号泣している。
(こうなったら…こうなったら自力でカルシアを助けるしかない!)
父親は、嘆く妻と、病に侵された娘を救うため、ある決意をしたのだった…