冷え切った地下室は
息をしているだけでも辛かった
ヒスイ「ヒュッー…ヒュッー…」
昔使われていた地下実験室
ある事件をきっかけに誰も入らなくなった場所
ヒスイ「(酸素が薄いわ…このままじゃ…」
ヒスイ「ゴホッ!タラ…」
赤くどす黒い色がく口元を染める
ヒスイ「このタイミングでッ…!」
両手を鎖で繋がれ、足かせをつけられたせいで身動きが取れない
何度か鍵になりそうなものを無いかと探したが
見当たらなかった
ヒスイ「早くッ…ローアンとッ…トトに知らせないとッ…ゴフッ…」
ただただ孤独の時間が過ぎていく
ヒスイ「……逃げてッ…」
gr「……」
父上はいつだって俺をほったらかしにしていた
ハイル「カタカタ…」
母親が幼い頃に他界してから父上は何も変わっていない
家族より仕事と利益に目がいっていた
俺はそんな居場所が嫌いだった
gr「……モグモグ」
俺を癒やしてくれるのは甘いお菓子だけ
優しい母の作るクッキーが一番好きだった
だけどもうそれも食べられない
gr「ゴクッ…」
何回か父上は世話役を俺においたが
俺は女性が苦手だった
目当てで来るのは金金金…
だから首にした
gr「……どうしてこんなことを…」
ある日父上は俺に話があると言って自室に呼び出した
話の内容はある植物研究科にいる不老の薬を作った女をハメることだった
父上にとっては邪魔な存在だったのがすぐに分かった
もしそれで…父上が変わってくれるならと…
俺は犯罪に手を染めた
でも…
ヒスイ「私はほったらかしたりなんてしないわ…ニコ」
gr「!!」
そんな簡単な一言で俺は
手も足も出ない状態になった
幸せな家庭で家族のように暮らして…
弟もできたみたいで…
このまま父上のことなんて忘れてしまおうか思うほどに
幸せな時間だったなぁ…
gr「最後まで俺はッ…」
gr「ごめんなさいッ…」
ローアン「ヒスイさん…遅いなぁ~…」
トト「スースー….。o○」
ローアン「……スッ…」
ローアン「…探しに行こう……」
ローアン「俺も…」
守るべきを守らないと…!
ローアン「でもトトを1人にはできないし~…連れてくか…」
トト「んぅ~….。o○」
ローアン「待ってて…ヒスイさん…ガチャ…」
ヒスイ「(もう体力も限界ッ…」
ヒスイ「もうちょっとッ…」
生きていたいのにッ…ポロポロ
ヒスイ「ゴホッ!ゴホッ!ゴフッ…」
せめて…最後に…
ヒスイ「もう一度ッ…会いたいッ…ボソッ…」
−−−「こんなところに人間?」
−−−「珍し~、」
心のこもっていない言葉が研究室に響く
顔を上げる力も何も残っていない
ただ耳だけを頼りにその声主がどこにいるか探した
−−−「瀕死だね、もってあと一時間半くらいか…スッ…」
ヒスイ「あなッ…た…誰ッ…なのッ…?」
−−−「さぁ…ただの通りすがりの迷子だよ…カチャカチャ」
それだけを言い
手錠と足かせをとってくれた
哀れな目をしながら私を見て
−−−「可哀想に…仲間同士だったのに裏切られたんでしょ?」
−−−「それでこーんな地下室に閉じ込められてる」
ヒスイ「えぇッ…そうよッ…」
ヒスイ「私はッ…裏切られたッ…」
gr「~~~w」
ヒスイ「ねぇッ…貴方は人間じゃないんでしょッ…?」
そう訪ねたら
彼は驚いた顔で私を見つめた
−−−「この1000年間生きてた中で初めて見たよ…僕を人外って見破った人」
−−−「もしかして…君も人外なの?」
ヒスイ「どうかしらッ…w」
ヒスイ「人に近い…」
化け物ねッ…w
−−−「化け物…か…」
−−−「でも僕には君がただの人間に見える」
−−−「何かの憎悪と守りたいという気持ちが強いね」
ヒスイ「そう見えてるのは嬉しいわッ…」
ヒスイ「それにッ…死に際に話し相手がいないのは寂しいものッ…ギュッ…」
−−−「…会いたい人がいるんだろ?」
ヒスイ「!!」
ヒスイ「感がいいのねッ…w」
−−−「見れば分かるよ…」
−−−「いいよ、1時間だけ君に生きる力をあげる」
ヒスイ「生きるッ…力ッ…?」
−−−「今の状態じゃ君はきっと会いたい人に辿り着けない…」
−−−「だから…僕が力を貸してあげる…ホウ…」
−−−「1時間経てば君は死ぬ」
−−−「それでも…ここで死ぬよりはマシだろ?」
ヒスイ「えぇッ…ありがとうッ…ニコポロポロ」
−−−「行っといでニコ」
ヒスイ「短い間のお話だったけどッ…」
ヒスイ「楽しかったわニコッ」
−−−「あぁ…」
僕も今までで一番貴重な時間だったよ…
ヒスイ「タッタッタ!」
−−−「羨ましいなぁ…あんな人間に大切にしてもらってる奴が…」
−−−「僕も…ボソッ…」
ヒスイ「はぁ゙…!はぁ゙…!タッタッタ」
体力がない体で必死に走った
足がもげようと
あの人達に…大切な宝物に会うために
もぶ「おいッ!侵入者だぞッ!」
ヒスイ「ッ!」
ヒスイ「邪魔ッ!ドンッ!」
もぶ「カハッ!」
もぶ「全員攻撃態勢に入れッ!」
ヒスイ「(人数が多すぎるッ…!」
ブオンッ!
もぶ「グワアッ!」
−−−「行きなよ…僕が止めといてあげる」
ヒスイ「ッ!!」
ヒスイ「タッタッタ!」
−−−「さて…」
彼女の邪魔はさせないよ
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