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#鬱展開
Mist-404
1,165
mogyumogyuGemi
646
GENESIS・中央制御区画への通路
00:04:20
00:04:19――
赤い数字が容赦なく減っていく。
中央制御室へ向かって走るソウヤの隣には千太。
そして、その後方には――
マリア、マダラ、鬱星、バスティーユ。
NWOのメンバーが揃っていた。
タジも結衣の応急処置を受けた状態で同行している。
「あと四分……!」
タジが端末を見る。
「中央制御室まで約六百メートル!」
バスティーユが前方を見る。
「普通に走って間に合う距離じゃねぇな。」
ソウヤが答える。
「だったら走るしかないだろ!」
千太が横目で見る。
「そういうとこ変わらんな、ソウヤ。」
「うるせぇ!」
ソウヤに対してだけは、千太の口調も自然と崩れる。
だが――
千太の表情が突然変わった。
「止まれ!」
全員が急停止。
直後。
ズガァァァン!!
前方の床を巨大な砲撃が貫いた。
「……!」
もし走り続けていれば直撃していた。
煙の向こうから、無数のAz防衛兵器が現れる。
マリアが息を吐く。
「やっぱり簡単には行かせてくれませんか。」
マダラが前へ出る。
「突破する。」
鬱星も静かに敵を見据えた。
バスティーユが拳を鳴らす。
「時間がねぇんだろ?」
千太が頷く。
「ああ。」
そしてソウヤを見る。
「ソウヤ、お前は先に行け。」
「は?」
「ここはNWOが引き受ける。」
NWO
ソウヤが首を振る。
「でも――」
「行きなさい。」
千太が笑う。
「未来を見てる俺が言ってんだから信じろ。」
ソウヤは千太を見つめる。
「……死ぬ未来とか見えてねぇだろうな。」
「見えてたら変える。」
即答だった。
マリアがソウヤの背中を押す。
「大丈夫ですよ。」
マダラも短く告げる。
「目的を間違えるな。」
鬱星は静かに言う。
「世界を止める役目はお前。」
最後にバスティーユが笑った。
「こっちは俺たちに任せろ!」
ソウヤが拳を握る。
「……分かった。」
千太と拳を合わせる。
「絶対追いつけよ。」
「ああ。」
ソウヤとタジが走り出す。
その背後。
NWOの五人が並んだ。
千太。
マリア。
マダラ。
鬱星。
バスティーユ。
千太が敵を見る。
「NWO。」
四人の空気が変わる。
「――道を開けるぞ。」
NWO VS Az防衛部隊
数十の砲口が一斉に発光。
「右!」
千太が叫ぶ。
五人が同時に動く。
ドドドドドォン!!
一秒先。
二秒先。
数秒先。
千太が見える範囲の未来を読み、攻撃が来る場所を仲間へ伝えていく。
「マリア、三歩左!」
マリアが移動。
直後、元いた場所を砲撃が通過する。
「マダラ、上!」
マダラが即座に反応。
頭上から奇襲してきた機体を迎撃する。
「バスティーユ!」
「分かってる!」
大型兵器が突進。
バスティーユが真正面から迎え撃つ。
systema centrale(自己中枢)
ドゴォォォン!!
バスティーユの能力である自己中枢。
自身から半径10m以内の対象より確実に身体能力が勝る。
衝撃が通路を走る。
鬱星がその隙を逃さず動く。
五人はバラバラに戦っているのではない。
千太が未来を読み――
残る四人がその情報を使って最適な位置へ動く。
それがNWOの戦いだった。
しかし。
「……っ!」
千太の視界が一瞬歪む。
未来が増える。
十。
百。
さらに分岐。
マリアが気づく。
「千太さん!」
「平気!」
鼻から一筋の血。
それでも千太は目を閉じない。
「まだ……見える!」
収容中枢
一方。
イレイダ、アリス、ネリクマ、結衣。
四人は収容区画へ到達していた。
生命維持率――42%。
結衣の顔色が変わる。
「急いで!」
だが巨大な隔壁が行く手を塞ぐ。
ネリクマが前へ出る。
「壊す。」
イレイダが止める。
「待て。」
「なんで?」
「隔壁の向こうに人がいる可能性がある。」
ネリクマは少し考える。
「じゃあ小さく壊す。」
「できるのか?」
「できる。」
ネリクマが扉へ掌を置く。
strāgēs(破壊)。
ピシッ――
破壊は広がらない。
扉中央。
ロック機構。
その一点だけへ侵食する。
バキン!!
ロックが崩壊。
イレイダが扉の隙間へ指を掛ける。
「ここからは私だ。」
筋肉が軋む。
ギ……ギギギギ……!!
数トンはある隔壁を――
超身体能力だけで左右へこじ開けていく。
アリスが呆然とする。
「相変わらず力技ね……。」
「開けばいいんだよ!」
ガァン!!
扉が完全に開いた。
だが。
その向こうに――
巨大な戦闘兵器。
イレイダの表情が変わる。
「……ネリクマ。」
「なに?」
「結衣を守れ。」
「分かった。」
アリスがイレイダの隣へ立つ。
「私は?」
イレイダは刀を抜く。
「私についてこい。」
アリスが微笑む。
「分かったわ。」
イレイダとアリス
戦闘兵器が巨大な腕を振り下ろす。
イレイダが走る。
轟ッ!!
拳が床を粉砕。
その直前――イレイダは既に腕の上へ飛び乗っていた。
駆け上がる。
敵が反対の腕で払おうとする。
「アリス!」
「えぇ!」
右目が輝く。
一瞬だけ。
時間停止。
巨大な腕が空中で止まる。
イレイダはその腕を踏み台にする。
跳躍。
停止解除。
敵の頭上。
刀を両手で握る。
「そこ――どけ。」
全身の超身体能力を一点へ集約。
踏み込み。
腰。
背筋。
肩。
腕。
そして刀。
すべてを一撃へ。
斬皇破断――
巨大兵器が迎撃砲を展開する。
イレイダの目が鋭くなる。
「カイザーインパルス!!」
斬撃。
ズッ――
一瞬、音が消える。
次の瞬間。
ズガァァァァァァン!!!!
巨大兵器の装甲が一直線に断ち割られた。
衝撃が内部へ突き抜ける。
機体が真っ二つに崩れ落ちる。
イレイダが着地。
だが膝が僅かに沈む。
「……っ。」
アリスが駆け寄る。
「イレイダ!」
「大丈夫だ。」
「その言葉、信用してないんだから。」
「……ったく。」
イレイダは立ち上がる。
「まだ終わってはいない。」
名取家・地下祭壇
黒い影が三人へ殺到する。
名取惣一が瞬時に移動。
刹那の死角へ迫った一体を蹴り飛ばす。
「刹那!」
「はい!」
千藤院刹那が刀を構える。
呼吸が静まる。
刀身が揺らぐ。
一本だったはずの刀が――二本、四本、八本。
敵の視界に無数の剣閃が現れる。
hallucinatio gladius――幻剣。
どれが本物なのか。
どこから斬撃が来るのか。
敵には判別できない。
刹那が一歩踏み込む。
斬ッ!!
一体。
振り返る。
斬斬斬ッ!!
三体。
黒い影が次々と崩れる。
しかし――
切断された影が再び繋がり始めた。
刹那が目を見開く。
「再生……!」
「下ってください、刹那さん。」
夜鳴鵺夢幻が前へ出る。
静かに片手を上げる。
空気が変わった。
夢幻の周囲へ、禍々しい気配が広がっていく。
「斬って駄目なら――」
黒い影へ視線を向ける。
exsecratio Carmen――呪詛。
瞬間。
黒い影の身体へ異様な紋様が走った。
動きが止まる。
再生しようとした部分が――
逆に崩れていく。
ボロ……ボロボロ……。
夢幻が低く告げる。
「存在そのものに呪いを刻んだ。」
影が次々と消滅する。
惣一が二人の間を通り抜ける。
「道が開いた。」
刹那と夢幻が続く。
三人の前。
祭壇のさらに奥に――
巨大な扉。
名取家の紋章。
惣一がそれを見つめる。
「……ここからが本番だ。」
東京湾
ドォォォン!!
グランと間宮トオルの戦いも激しさを増していた。
グランの攻撃を間宮が紙一重でかわす。
Ability Researchによる解析は進んでいる。
それでも――
グランを完全には捉えられない。
間宮が距離を取る。
「なぜです……。」
グランは答えない。
「解析値は十分なはず。」
「動作も、速度も、攻撃傾向も――」
グランの赤い片目が光る。
「だからお前は弱い。」
間宮の表情が止まる。
「戦いを数値だと思っている。」
グランが消える。
「……!」
間宮の背後。
「戦場では――」
拳が振り抜かれる。
ドゴォォォォン!!
「一瞬で全部変わる。」
間宮が海面へ叩きつけられた。
マランとペインもAz増援との戦闘を続けている。
GENESIS・中央制御室前
00:01:58
「間に合った……!」
ソウヤとタジが巨大な扉へ到達する。
だが。
ソウヤが振り返る。
「千太たちは?」
通信。
ノイズ。
そして――
『聞こえてる。』
千太だ。
「千太!」
『こっちはまだ戦ってる。』
背後で爆発音。
『でも大丈夫だ。』
マリアの声も聞こえる。
『早く行ってください!』
続いてバスティーユ。
『こっちは任せろ!』
マダラ。
『時間を無駄にするな。』
そして鬱星。
『あなたたちに託します。』
ソウヤは目を閉じる。
「ああ。」
「絶対止める。」
千太が最後に言った。
『頼んだぞ、ソウヤ。』
「ああ!」
通信が切れる。
中央制御室
00:01:32
扉が開く。
ゴゴゴゴゴ……。
ソウヤとタジが入る。
巨大な空間。
無数のモニター。
中央には一人の人物。
背中を向けている。
レイの気配が一変した。
「……。」
(レイ?)
返事がない。
ソウヤにも伝わってくる。
怒り。
憎悪。
そして――
僅かな動揺。
椅子の人物が立ち上がる。
「久しぶりだな。」
ソウヤが構える。
「誰だ、お前。」
男はソウヤではなく――
その内側にいる存在へ語りかけていた。
「随分と情けない姿になったものだ。」
レイが低く呟く。
「……黙れ。」
ソウヤの目が見開かれる。
(知ってるのか?)
男が振り返ろうとする。
00:01:09
「まさか、また会えるとはな――」
そして。
男が口にしようとした名前に――
レイが叫ぶ。
「聞くな、ソウヤ!!」
00:01:00
残り――
六十秒。
レイの過去。
GENESISの起動。
NWOの激戦。
名取家の地下戦線。
イレイダたちによる能力者救出。
そしてグランと間宮の死闘。
五つに分かれた戦場が――
同時に臨界点へ到達する。
第82話 完
コメント
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第81話、読み終えたよ……!五つの戦線が同時に動いてて、もう息つく暇なかった。特に千太の未来視で仲間を動かす連携、めちゃくちゃかっこよかった。鼻血出しながら「まだ見える」って言い張るところ痺れた。イレイダのカイザーインパルスも圧巻だったし、名取家の地下で夢幻が呪詛で影を崩すのも鳥肌立った。そして最後の制御室……レイが「聞くな」って叫ぶシーン、めっちゃ気になる。あの男、レイの過去を知ってる感じだよね。残り60秒、どうなるんだろ……。次回が待ちきれないです!