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ポテサラ
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#実況者イラスト
アル🧩👾
11
夜の森は静かだった。
城を出てからしばらく経つ。
レウは周囲を見回しながら歩いていた。
「すごい」
思わず呟く。
「何が?」
前を歩くらっだぁが振り返らずに聞いた。
「森」
「森だね」
「森だ」
「うん」
会話が終わった。
レウは少しだけ不満だった。
この感動を共有したかったのに。
らっだぁは興味がなさそうだった。
もっとも、何百年も見ている景色ならそうなのかもしれない。
レウは木の幹に触れた。
ざらざらしている。
葉を見上げる。
風が吹く。
枝が揺れる。
葉擦れの音が鳴る。
それだけなのに。
全部が新鮮だった。
今まで知らなかった。
知らないものばかりだった。
「迷子になりそう」
「なるよ」
「なるんだ」
「昨日もなった」
レウは足を止めた。
「昨日?」
「うん」
「この森で?」
「うん」
「ここに住んでる人が?」
「住んでるヴァンパイアだけどね」
らっだぁは平然としていた。
この人は本当に大丈夫なのだろうか。
「その時どうしたの」
「帰った」
「帰れたの?」
「たまたま」
「たまたま⋯」
不安しかなかった。
けれど、彼の後を歩き続ける。
しばらくすると、らっだぁが立ち止まった。
「いた」
小声だった。
レウも足を止める。
少し離れた場所。
草むらの向こう。
一匹の鹿がいた。
レウは息を呑む。
初めて見た。
本物の動物だった。
絵本では見たことがある。
けれど。
実際に見るのは違う。
大きい。
生きている。
耳が動く。
呼吸をしている。
当たり前だけれど、不思議だった。
らっだぁがしゃがむ。
「見てて」
次の瞬間。
姿が消えた。
レウは目を見開く。
風が吹く。
葉が揺れる。
気付いた時には、鹿の首元にらっだぁがいた。
音もない。
悲鳴もない。
一瞬だった。
鹿が崩れ落ちる。
らっだぁがゆっくりと立ち上がる。
青い瞳だけがこちらを向いた。
「終わったよ」
レウは言葉を失った。
速かった。
けれど、それだけじゃない。
綺麗だった。
獣を、殺したはずなのに。
どこか静かだった。
「すごい」
「そう?」
「うん」
らっだぁは首を傾げる。
自覚がないらしい。
レウは苦笑した。
二人で鹿を運ぶ。
と言っても、ほとんどらっだぁが持っていた。
レウも手伝おうとしたが、重すぎたのだ。
「弱いね」
「うるさい」
「鍛える?」
「嫌」
「即答…」
「鎖に繋がれてた人間が強いわけないでしょ」
鎖生活十六年である。
筋肉なんて育つはずがない。
らっだぁは少し笑った。
森を歩く。
風が吹く。
静かな時間だった。
やがてレウは気付く。
らっだぁが時々立ち止まることに。
何かを探すように、周囲を見ていることに。
「どうしたの」
聞くと、らっだぁは少し考えた。
「別に」
絶対に嘘だった。
分かりやすい。
「何」
「……静かだから」
「静かだね」
「うん」
それだけだった。
でも。
レウはなんとなく思った。
違う。
そういう意味じゃない。
たぶん。
ずっと一人だった人の静けさだ。
何百年も。
誰もいない城で。
誰とも話さず。
誰にも見つけてもらえず。
その静けさ。
レウは知らない。
でも、少しだけ想像できた。
森の奥で風が鳴る。
葉が揺れる。
二人は歩く。
並んで歩く。
昨日までは一人だった道を。
「ねえ」
レウが呼ぶ。
「何」
「また来よう」
らっだぁは振り返る。
不思議そうな顔。
「森?」
「うん」
少し考えて、それから頷く。
「いいよ」
短い返事。
でも、どこか嬉しそうだった。
レウは少し笑う。
その時だった。
らっだぁがふと足を止める。
「命令」
「何」
「笑って」
レウは固まった。
意味が分からない。
「なんで」
「見たいから」
「変な命令」
「そう?」
らっだぁは本気そうだった。
レウはため息を吐く。
そして、少しだけ笑ってみた。
らっだぁが目を細める。
満足そうだった。
本当に変なやつだ。
けれど。
嫌ではなかった。
むしろ。
その命令は、
今まで受けたどんな命令よりも。
ずっと優しかった。
城へ帰る頃、空は相変わらず見えなかった。
森の木々が覆い隠している。
レウは知らない。
朝の空を。
青空を。
太陽の色を。
らっだぁも知らない。
陽の光の中で見る世界を。
だから、二人はまだ気付かない。
自分たちが見たことのない景色を、
いつか同じ場所で見ることになるなんて。
その景色が、
出会いと同じくらい大切なものになるなんて。
まだ、知らなかった。
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コメント
7件
らっだぁの命令毎回優しすぎて感動… レウさんは見たことない世界を知れて幸せそう…
神様ァァァァァァァァァ 最高です!
初めて?!そっか、鎖に繋がてるから動物も見れないか...!え可哀想 れうさん笑ってくれた...!!!ヾ(*´∀`*)ノらっだぁも笑ってくれないかな〜? 続き楽しみに待ってます✨