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こにゃ
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#らっだぁ運営
青槍 未来
115
鹿の肉は思ったより美味しかった。
少なくともレウはそう思った。
というより、まともな食事自体が初めてだった。
焼いた肉。
温かいスープ。
少し固いパン。
それだけなのに、
今まで食べたどんなものより美味しい気がした。
ちなみにスープやパンは城の奥に保管してあったものらしい。
非常食みたいなものだろうが、レウにとっては十分に美味しいものだった。
「そんなに?」
向かい側から声がする。
レウは肉を飲み込んだ。
「美味しい」
「そう」
らっだぁは頷く。
けれど本人は食べていない。
机の上には何もなかった。
空っぽだった。
レウは前から気になっていた。
「食べないの」
「食べない」
「お腹空かないの」
「空くよ」
「じゃあなんで」
「面倒だから」
意味が分からなかった。
「食べるのが?」
「うん」
「生き物としてどうなのそれ」
「生きてないから大丈夫」
らっだぁは真顔だった。
レウは言葉に詰まる。
確かにヴァンパイアは不死身だと聞いたことがある。
だから間違ってはいない。
間違ってはいないのだが。
なんだか納得したくなかった。
食事を終えた後。
レウは城を歩いていた。
探索である。
正直に言うと、暇だった。
らっだぁは昼……いや夜なのか分からないが、
「少し寝る」
と言ってどこかへ消えた。
あたりは変わらずに薄暗く、時間はわからない。
城は相変わらず広い。
そして静かだった。
廊下を歩く。
階段を上る。
また歩く。
迷って戻る。
また迷う。
遭難しかける。
「絶対おかしいって…」
城の設計者を疑い始めた頃。
一つの扉が目に入った。
他の部屋より少し大きい、重厚な木製の扉。
妙に目を引いた。
レウは足を止める。
なんとなく。
本当になんとなく、それが気になった。
ノックをする。
返事はない。
もう一度。
「……誰もいない?」
そっと扉を開ける。
部屋の中は薄暗かった。
窓には厚いカーテン。
他の部屋と同じく一切の光が入っていない。
静かだった。
そして、思っていたよりずっと質素だった。
本棚。
机。
椅子。
ベッド。
それだけ。
広い部屋なのに。
驚くほど物が少ない。
レウは目を瞬かせた。
何百年も生きているのなら、もっと色々なものがあると思っていた。
宝物とか。
芸術品とか。
他にもいろいろ。
でも何もない。
まるで。
いつでも消えてしまえそうな部屋だった。
その時。
机の上に何かが見えた。
写真だった。
レウは近付く。
古い写真。
写っているのは、どうやら複数のヴァンパイアだった。
赤い瞳。
赤い瞳。
赤い瞳。
赤い瞳。
そして、一人だけ。
青い瞳。
レウは息を止めた。
おそらく、若い頃のらっだぁだった。
今とほとんど変わらない。
けれど。
その目には光が無かった。
「……あ」
思わず声が漏れる。
その瞬間。
背後で音がした。
振り返るとらっだぁが立っていた。
レウは固まった。
いつからいたのか分からない。
相変わらずの薄い存在感だった。
「ごめん」
反射的に謝る。
らっだぁは写真を見る。
数秒の沈黙。
それから。
「懐かしいな」
と呟いた。
レウは少し安心する。
怒っていないらしい。
「友達?」
聞く。
らっだぁは少し考えた。
そして。
「違うよ」
と言った。
そして。
「…嫌いじゃなかったんだけどね」
レウは写真を見る。
笑い合うヴァンパイア達。
その中の、光の無い青い瞳。
「喧嘩したの」
「してない」
「じゃあなんで」
らっだぁは窓を見る。
閉ざされたカーテンの方を。
静かな横顔だった。
「俺は、仲間になれないから」
あまりにもあっさりした声だった。
だからこそ。
レウは何も言えなかった。
「…青かったから?」
らっだぁは少しだけ笑った。
寂しそうな笑いだった。
「そうだね」
その一言だけ。
部屋が静かになる。
レウは写真を見る。
青い瞳。
自分の赤い瞳。
村の人達。
忌み子。
化け物。
災い。
頭の中に色々な言葉が浮かんだ。
似ている。
少しだけ。
いや。
かなり似ていた。
だから。
気付けば口が動いていた。
「綺麗なのにな」
らっだぁが瞬きをする。
「何が」
「目」
レウは言う。
当たり前みたいに。
「綺麗なのに」
本当にそう思ったのだ。
初めて見た時から。
ずっと。
らっだぁは何も言わなかった。
数秒。
いや。
もっと長かったかもしれない。
そして、
少しだけ困ったように笑った。
「変なこと言うね」
その声は。
ほんの少しだけ嬉しそうだった。
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コメント
4件
永遠に幸せでいてくれよ二人とも…
鹿肉は美味しいよね~(*´﹃`*) 私も好きだよ(*´ω`*) れうさんとらっだぁは同じなんだ...!!!瞳の色なんてどうでもいいのにね! しかも瞳に光がなかったなんて、相当辛かったんだろうな... 続き楽しみに待ってます✨