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サイド リオ
あの水色の少女はもう廃工場に来ていた。
「あ、あの、ねっ……!来てくれて、ありがとう……!」
……別に、そんなに震えなくても。取って食う訳じゃないんすから。
「タ、タエ ユイカです……。え、えっと、改めてよろしく?ね……!」
……前も名前を聞いたような?
「……コヤマイシ リオっていうっす」
さて、今更ながら自己紹介もしたし、この少女にはもう帰って貰おう。
「……もう関わらないでもらえないっすか?」
きつい言い方だったと思う。けれど、その方がよかった。
ただの正義感だけで関わると、この少女にもろくなことが起こらない。
「安心するっす。もう詐欺なんてしないし、出来ないっすから」
「……警察に、バレたの?」
流石というか鋭いっすね。
「その通りっすよ。ま、変装してたからなんとか逃げれたっすけどね。これ以上危険なことはしないっすよ。だから安心して……」
「詐欺に加担するほど、困ってたんでしょう?……リオさんにも、何か“問題”があるから、モンダイジになったんじゃないの?」
グッと言葉に詰まった。
この少女、鋭すぎる。どれだけ俺のことを見通しているんだろう。正直言って、気味が悪い。
「……それを知って、アンタはどうしたいんすか」
「力になりたいの」
即答か。本気でそう思っているのだろう。
「そんなこと、出来る訳がないじゃないっすか。前も言ったんすけど、こっちは遊びじゃないんすよ」
「遊びじゃないって、前も言ったよ。……そうだなぁ、どうしたら私たちのこと、頼ってくれるかな?」
「頼る気なんてないっす」
ああ、お互い一歩も引かないってこういうことを言うんすね。
「……じゃあ、こんなのはどうかな?私のかわりにモンダイジ団に入って、その目で遊びかどうか確かめてみるのは」
少女は、そういって入れ替わりを提案した。
「……あ!も、もちろんこっちから話せることは話すから!」
「……え?いいんすか?アンタの仲間に酷いことを言うかもしれないんすよ?」
「だ、大丈夫!きっと、ううん、絶対みんな気付いてくれるって信じてるから……!」
その表情に、一片の疑いもなかった。
……大っ嫌いだ。そういうの。反吐が出る。
俺は少女の姿でモンダイジ団とやらを崩壊させよう。そう決意した。
…………はず、だった。