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船を止めて、船尾に回る。
竿は2.5mくらいで、俺が最初に作ったエギングロッドもどきとそう変わらないが、リールの形が少し異なる。
リールはスピニングリールではなく両軸タイプ。
前世で言えば、シマノオのオシアジガーあたりだけれど、そこまで巨大なモデルではなく、2000相当の大きさ。
巻いてある糸はだいたい400mくらいで、そこそこ太く強そうだ。
仕掛けは糸の先端に、
①重り兼ルアーという感じの、魚を模した細長い鉛の塊があり、
②このルアーから細いワイヤーが10cmくらい伸びていて
③その先にでっかい釣り針
というもの。
ルアーには微発光の魔法式が記載されている。
魔法によると、このルアーは300gあるとのこと。
釣り針はムツ針の35号、いや、もっと大きいだろうか。
「この針にカラマロの頭部分をぶっ刺して、海に放り込む。糸からカラマロの足先までが真っすぐになるように刺さないと、回転して絡まる原因になるから注意してくれ。あと針の先、返し部分が見える程度に出ている方がひっかかりがいい。深さは最初は180mくらいまで落として、ゆっくり巻き上げて、止めるを繰り返す。120mくらいになったら、また180mまで落とす。この繰り返しだ。リールは魔法で操作できる。食った感触があったら竿を思いきり上げてフックを口に引っ掛けてやればいい。あとはやってみた方が早いだろう。左の竿を使ってくれ」
マシューさんはそう言って右側の竿かけを操作し、竿がまっすぐ前を向くようにした。
餌付きの仕掛けを海に放り込み、竿を手に取ると、仕掛けが海に沈んでいく。
「わかりました」
同じようにカラマロに針を刺して、針先を少し出して、そしてマシューさんと同じように海に投入。
さて、海中の様子はどうだろう。
魔法で確認。
そこそこ魚はいる様子だけれど、今回の魚はかなり大きい筈だ。
なので全長が1m程度より大きいものに絞ると……
いるな。
群れではなく単独行動が数匹、動いているのは100mより下で、そこそこの速さで泳ぎ、餌を捕食している模様。
言われたとおり180m下まで落として、少し待って、軽く巻いてを繰り返す。
ルアーが微発光しているせいか、餌の匂いのせいなのか、大きいのが寄ってきた。
針部分ではなく、カラマロの端部分をつつく。
この状態では針がかからない。
食いつけーと念じつつ、状況をうかがう。
残念、少しつついた後、離れてしまった。
しめさば
なら少し巻き上げて、様子を見よう。
◇◇◇
巻き上げて様子を見て、また巻き上げて。
130mくらいの深さになったら、また180mくらいまで落として。
3回くらい繰り返したところで、仕掛けにそこそこ大きい魚が食いついた。
俺ではなく、マシューさんの仕掛けに。
マシューさんは、さっと竿を上向きに煽る。
同時にリールも動き出す。
「かかった。そっちはそのまま釣っていても大丈夫だ」
流石にあれだけ大きい魚だ、針掛かりした後、結構抵抗する様だ。
マシューさん、巻いたり引いたりしているけれど、時には糸が出ていくこともある。
ただ思いきり引っ張りすぎて、針が外れるなんてこともあるのだろう。
だからあまり引きすぎないようにしている感じだ。
さて、俺の方も釣れる様、努力を続けよう。
魚、それもインガンダ・ルマっぽい魚は、他にもいるのだ。
ただ今釣っているあたりより、もう少し深い方が多そうな気がする。
ならということで、思い切って今までより更に深く、220mまで落としてみる。
落として少し待って、軽く巻いたところで魚が寄ってきた。
端の方を少しつついた後、一気にばくっと食いつく。
ドン! という衝撃に似た感触。
思いきり竿を上げ、針をかけることを意識する。
引っかかった。リールを思いきり巻くことを意識。
重いし、引っ張られる。
最初に釣った草食い以上に強烈だ。
ただリールは魔法仕様だから、一定の力で巻くことを意識しておけばいい。
あとは竿を持って、糸に余計な負荷がかからない様に動かすだけ。
なかなか釣り上げることが出来ない。
10m巻いたら5m戻され、その繰り返しだ。
それでも手で糸をまかないでいい分、楽なはず。
かなり長いこと戦ったかなというところで、魔法を使った気配がした。
自分の釣っている魚を確認しつつ、並列思考と偵察魔法でマシューさんの方を確認。
マシューさんが上に浮いた、1.5mくらいの魚を引っ張って船べりに寄せていた。
「浮き上がったところで麻痺魔法をかければ、インガンダ・ルマでも動けなくなる。あとはこのギャフで引っ掛けて、船内に入れる」
槍の先端が巨大な釣り針のように曲がっている感じの道具で、マシューさんが魚を引っ張り上げた。
測定魔法によると全長が1.5m、重さが35kg。
やっぱり大きい。
「これはエイダンの収納に入れてくれ。あとそっちは大丈夫か? 寄せたらギャフでひっかけるが」
転がったインガンダ・ルマを魔法で収納しつつ、俺は返答する。
「大丈夫です。最悪でも冷やして仮死状態にすれば収納出来ますから」
「インガンダ・ルマは、冷やしてもなかなか仮死状態にならんぞ。かなり低い水温でも生きていける魚だからな。使えるなら人間用の睡眠魔法や麻痺魔法が一番手っ取り早い」
なるほど。聞いてよかった。
「ありがとうございます。なら睡眠魔法を使います」
前世で過酷な労働による睡眠不足、更には仕事の重圧による不眠症に悩まされた俺にとって、睡眠魔法は得意分野だ。
まだ水深80m程度で暴れている獲物に、睡眠魔法を発動。
あっさり動かなくなったので、仕掛けごと生きたまま入る方の魔法収納へ。
間違いなくインガンダ・ルマ、オイリーボトムフィッシュの方だ。
全長1m、13kgと、マシューさんが釣ったものより一回り以上小さい。
「どうした、バラしたか」
マシューさんに聞かれた。
急に引いている気配がなくなったせいだろう。
「睡眠魔法を使って動きを止めた後、魔法収納に入れました。マシューさんが釣り上げたものより、二回りくらい小さいです」
「よし、ならもっと釣るぞ」
「はい」
食われていた餌のカラマロを、新しいものに交換。
再び仕掛けを下へと落とす。