そして、中学校の体育祭の日。
私は生徒達を見に来ている親たちに混じって、見ていた。
もちろん目で追いかけるのは、白河先生。
コーンや白線の引直している姿が見えるたびに私は先生の姿を激写した。
もちろん周りの親たちは、私を白い目で見ていたので、恥ずかしくなった。
お昼ご飯は、先生と正門の近くにある大きな木の下で食べた。
グラウンドよりも目に付きにくいので、私達も食べやすかった。
職員リレーは、最後の競技だった。
中学校の生徒たちは飛び入り参加してよかったので、運動部の生徒らしき人が沢山来ていた。
私も密かに『参加できたらなぁ…』と思っていた。
先生達が走るのは、各半周ずつ。
生徒の応援席側スタートと、親の観覧席側スタートから。
白河先生はどっちかな?と探していたら、なんとこっち側。
親の観覧席側で貰い、生徒の応援席の方でバトンタッチするタイプ。
『バトンタッチが見れるなんて!!』と私はとても興奮していた。
そして、待ちに待った白河先生の番。
蒼色のはちまきがよく似合う。
白河先生も私に気づいて手を振って、にっこりしてくれた。
私は途轍もない特別感に満たされた。
先生がバトンタッチし、白河先生がスタートした。
遅いけれど、ちまちまと走るその姿が可愛い。
私は「頑張れ〜!」と大きな声で応援した。
いつぶりだろう。こんなに大きな声を出したのは。
そう思っていると、白河先生が転けてしまった。
私は自然とグラウンドの方に足が動いていた。
しかし、先生は頑張って立ち上がり、ふらふらしながらも次の先生にバトンタッチした。
その後は、『先生は大丈夫なのだろうか…?』というので頭がいっぱいになっていた。
閉会式が終わり、解散することになった。
私は白河先生を探し、一目散に走っていく。
「ふふっ!来てくれてありがとう。凛さん」と先生は優しい声で言ってくれた。
「足…大丈夫?」と私が言うと、「うん。絆創膏貼ってもらえたから。」と答えてくれた。
確かに膝には少し大きめの絆創膏が貼ってあった。
その後、私は先生と記念写真を撮った。
日が当たって、とても写りが良かった。
「じゃあ…帰ろっか!」と先生が言ったので「うん!」と言い、帰った。
家に帰り、先生がアイスを持ってきてくれたので、2人でおやつとして食べた。
疲れており、暑かったので、一気に3本も食べてしまった。
そのおかげで、夜に2人ともトイレに駆け込む羽目になった。
次の日。
今日は私の入学式。
先生はにこにこしている。
「なんでにこにこしてるの?」と私が言うと、
「だって…凛さんが好きだもん」と少し顔を赤らめて言った。
学校へ行くと、即体育館へ案内された。
男の先生に案内され、私はその先生に言われた席に座った。
やはり前の学校と違い、みんなも挙動不審な人が多かった。
しかし、人数はそこまで多く無かった。やはり後期の入学式だからだろう。
校長先生の話や、在校生たちによる合唱と合奏などがあり、前と比べると、とてもアットホームな学校という雰囲気があり、私にとても合っているように感じた。
式が終わると、親と共に教室に案内された。
人数が少ないからか、隣同士に親子座る形式だった。
案内してくれた担任のような先生は、少し席を外した。
その間は、机に置いてある資料のような物を私たちは見ていた。
少しすると先生が来た。
最初とこの教室に案内してくれた男の先生が担任のようだった。
とても穏やかで優しい声だった。ついつい眠りそうになり、白河先生にそっと起こされていた。
そのくらい良い感じだった。
しかし、やっぱり白河先生には敵わない。
そして帰った。
「通信制高校だから、登校も年に3回くらいだから良いね!」と先生は言った。
「うん。めっちゃ良い!」と私は答えた。
その後は、昨日と今日の疲れで寝てしまった。
気付いたら日付を回っていた。
「めっちゃ寝てしまった…。時間を無駄にしたね…」とお互い言い合った。
夜食と夜ご飯を兼ねて、冷蔵庫にあった冷凍うどんを食べた。
何故か知らないけど、いつもよりも一倍美味しく感じた。
先生も「時間が違うからかめっちゃ美味しいね!」と言っていた。
それからは、ゆっくりと過ごした。
夜中まで起きていても、明日は日曜日だから少し気が楽で、今まで感じたことが無かった不思議な気持ち(なんとなく嬉しい事が起こりそうな直感を感じている気持ちに近い)だった。
しかし、私は眠気がやってきて、とうとう眠ってしまった。
「…さん」
「凛さん起きて」
先生の声で目が覚める。
時計を見ると、朝の9時だった。
「先生は寝たの?」と私は聞く。
「うん。いつの間にか寝てて。ついさっき起きた」と先生は答えた。
やっぱりいつも寝ている時間には眠くなるんだ…。身体は嘘をつかないんだな。と思った。