テラーノベル
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こやとセラフがこの家を出ていった
少しの間だったのに2人がいなくなると家が広く感じた
僕の部屋では葛葉がソファーに寝転びながら、紙パックのいちご牛乳をストローで飲んでいる
僕はそのいちご牛乳を葛葉から取り上げた
「‥‥なんだよ」
「暇なら僕の相手してよ」
「暇じゃねーだろ。飲んでんだろ」
「‥‥暇じゃん」
「おい、叶‥‥何‥‥急に盛るなよっ!」
葛葉の上に跨るとその身体を抱きしめる
口では嫌がるのに抵抗はして来ない
「2人いなくなって寂しいね」
「全然‥‥俺は平気だけど。なに、小柳いなくなって寂しいんじゃね?」
「なんでこやだけなんだよ。セラフだっていなくなって寂しいじゃん」
「結婚まで考えてたくせに‥‥運命の番だったのに‥‥良いのかよ」
「運命の番よりも葛葉だろ?」
「いくらでも口じゃ言えるけどな」
「だから身体に教えてるでしょ?」
「んっ‥‥ちょっ‥‥電気くらい消せよ」
「やだね。今更色んなことして来ただろ?僕にも見せてよ」
「やだって‥‥お前だから‥‥」
顔を赤くして腕で目元を隠す
こんなに可愛いお前の事
知らない奴らに充てがってた僕は本当にバカだ
服を脱がせながら葛葉の唇を求める
歯列をなぞると僕の舌の裏に葛葉が舌を絡ませた
「‥‥っ‥‥葛葉の、甘い」
「ったりめーだろ‥‥甘いの飲んでたんだから」
「そうじゃないよ」
「え‥‥?」
もう行為に慣れた舌先
でもそうじゃない
「葛葉の初めて‥‥僕がもらうね?」
「だから何言って‥‥」
「今までのはなんでも無い。何も‥‥これからが初めてだよ」
「叶‥‥?」
細い体を手のひらで撫でる
「やめっ‥‥くすぐったいっ‥‥」
「ん?くすぐったい?」
「フフッ、やめろって‥‥ぁ‥‥」
「ここもくすぐったい?葛葉」
「あ‥‥ん‥‥っ‥‥」
「葛葉‥‥愛してる」
「や、あぅ‥‥あっ!‥‥」
初めて感じる葛葉の体内の体温
早く繋がりたかった
なのに僕は高校生のまま時を止めた
本当は知っている
僕が母親を亡くし、父親を失った時
葛葉が父親を探していたくれた事を‥‥
無理な経営をしていたのはこちらで
お金を返せなくなったのだって力不足だっただけ
葛葉の父親がここまで会社を大きく出来たのは、自分に隙を見せず何があっても冷静でやる事をやったまでに過ぎない
俺はあの時誰かを恨まずにはいられなかった
だから矛先を葛葉に向けた
僕を好きだった葛葉を壊したかった
目の前の葛葉を見る
切ない瞳で僕を見ている
「葛葉‥‥好き‥‥愛してる」
「っ‥‥何回言うんだよ」
「何度でも。葛葉は‥‥?」
「んっ‥‥言わねーっ‥‥知ってたクセにっ‥‥」
「優しいね葛葉は。僕の事待ってた?」
「‥‥まってねーよ‥‥」
「フフッ、素直じゃないなぁ。でも僕の事欲しかったでしょ?」
「‥‥っ、いらない‥‥‥‥お前以外」
「‥‥!‥‥ごめん、葛葉‥‥傷付けてごめんね」
「俺は決めたんだ‥‥お前以外で傷付かないって‥‥」
そう言って葛葉が笑った
僕が傷付けて
僕が愛する
唯一の宝物
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コメント
6件
knkz最高です!✨️ᗜ✨️かなかな の言葉解釈一致すぎます! 続き楽しみにしています!
続き楽しみです!