TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

本気になってはいけない恋

一覧ページ

「本気になってはいけない恋」のメインビジュアル

本気になってはいけない恋

138 - 第138話   二人でいる意味②

♥

12

2024年05月17日

シェアするシェアする
報告する



そして、お弁当を一緒に食べやすい場所に移動する。


「うわっ!ウマそ~!やべーホントに手作り弁当で感動」


作って来たお弁当を開いて樹はその中身を見て喜んでくれている。


「いただきます!」

「ハイ。召し上がれ」


会社でも二人だけでこうやって外でお弁当食べれるのって贅沢な時間だな。

前はこの会社では会議室で時間を決めてこっそり会うことしか出来なかったのにな。

樹もこんなに喜んでくれるのなら、また樹が会社いる時はお弁当作ろ。


「やっぱウマい。オレの為だけに作ってくれたんだと思ったら尚更。これで俄然また午後からの仕事やる気出そう」

「よかった。樹が会社いる時はお弁当作るね」

「今週こっちいる」

「うん。なら今週ちゃんと毎日作る」

「透子毎日大変じゃない?こうやって同じように仕事出て来てんのに」

「うーん。そだね。ちょっと手抜きするかもしれないけど(笑)簡単でもよかったら」

「なんでもいいよ。透子がオレの為に作ってくれるだけで嬉しいし。そしてこうやって二人きりで昼過ごせるから、オレとしては嬉しい」

「了解。なら頑張るね」

「でもさ。オレ無理させてない?」

「え?」

「同じように仕事してんのにさ、一緒に暮らし始めてから、帰ってからご飯作ってもらったり、こうやって弁当までさ。オレ全然料理出来ないからその大変さとかもよくわからないんだけど、結婚する前からオレの為に無理させて負担かけてないかなって」

「大丈夫だよ?元々料理作るのは好きだし」

「でも一人の時はさ、修さんとこよく食べに行ってたじゃん。なのに、今はオレがいることでずっと家で作ってもらっててさ」

「そんなの気にしてたの?あの店にいつも食べに行ってたのは一人だからこそだよ。自分の為に毎日頑張って作らなくても、あそこに行けば美咲とかいて話も出来るし、気分転換になるんだよね。あの店で一人でいる時間が好きだっただけ」

「そうなんだ。まぁオレもそんな透子密かに見てたんだけどね」

「そなの?」

「うん。一人の時間楽しんでる透子にオレ釘づけだったんだよね」

「何それ(笑)」

「その時の透子ってさ、実はすごく魅力的だって知ってる?」

「へっ?ただ一人でお酒飲んだりご飯食べてただけが?」

「そう。なんかさ。その周りに流されず一人で自分の時間に入り込んで楽しんでる姿がカッコよくて綺麗でさ」

「そんな風に意識したことないけど」

「でもオレにとってはそんな透子が魅力的で憧れだった」


考えたこともなかった。

ただ居心地よくて、あの場所で一人の空間や、美咲たちと過ごす時間が好きで。

だからこそ周りも意識したりもしてなかった。

恋愛に後ろ向きになっていた自分は、そんな出会いも求めてもいなかった。

だけど、樹はそんな時からもう私という存在を見つけてくれていたんだ。


「だからオレがさ、透子と一緒にいたいばっかりに、そういう透子の自由な時間奪っちゃってるんじゃないかなって思って」


そっか。

樹と一緒にいることで、いつの間にかそんな時間も減ってるんだ。

樹に言われて初めて気付いた。

そんなことも気にならなかったほど、樹との時間が楽しくて一緒にいたくて。

だけど、一人でいる自由な時間を楽しいと思ったのは、それが一番楽しいと思っていたから。

それ以上に楽しめることがなかったから。


だけど今は。

そんな時間よりも樹と一緒にいたい。

今は樹との時間が私のすべて。


「そうだね・・・。今はすべて樹との時間に費やしてるもんね。一人の自由な時間なんて全然ないし」

「だよな・・・。ごめん・・」


だけど、樹は勘違いしたのか、なぜだか謝って来て。

違うのに。

勘違いする必要なんてないのに。


「だけど、そんなこと樹と一緒にいる時間が幸せすぎて、言われるまで気付きもしなかった」

「え?」

「今は一人でいるよりも、樹と一緒にいたい。一人でいる時間だって、今は樹のこと考えて料理作ったり家で待ったりすることが幸せ」

「ホントに・・?」

「うん。今は何より樹との時間が一番大切だから。私を必要としてくれるんだなって思えて嬉しい」

「じゃあ、オレこのまま甘えても平気?」

「もちろん」

「透子がイヤって言わなきゃ、オレ多分これからなんでもかんでも透子に求めちゃうと思うけど」

「なんでも言って」

「なんでも?」

「ちゃんと受け止めるから。樹の望むことならなんでも」

「そんなこと言うとヤバいよ?透子」

「えっ、なんで?」

「オレの透子への気持ちこれからもこのまま止まることないよ?そんなこと言ってくれるならオレも我慢しないし気持ち抑えることしないけど」

「いいよ。私も止まることないし。もういつでも受け止める覚悟は出来てる」

「それなら問題ないね。じゃあ、この先も覚悟しといて」

「樹相手ならもう何されても何起こってもおかしくないから、とっくにそんなの覚悟してる」

「さすが透子」


照れてばかりで戸惑ってばかりの日々が多かったけど、でも樹の気持ちに応えて、同じように気持ちを返すことも案外心地よくて。


「でもさ、もし何かあったら言ってよ。相談でもお願いでもなんでもいいから。透子のことならオレもなんでも受け止める」

「うん。わかった」

「無理せず透子は透子らしくいてほしい」

「うん。樹も。ちゃんと言って。嬉しいことも悩んでることも、ちゃんと二人で分け合おう。一人で抱えずにお互いがお互いらしく。ちゃんと自分を好きでいれるように」

「了解」


これからは二人で一緒に生きていく人生。

お互い自分を好きでいられなかった人生。

だけど、今はお互いの存在のおかげで自分を好きでいられる人生に変わった。

それは、お互いがいるからこそ、好きでいられる人生。

これからも一緒に過ごす人生をさらに楽しめるように。

もっと自分を、お互いの存在を、大切に想えるように。



本気になってはいけない恋

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

12

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚