春高3日目
摩浪『レシーブ綺麗だなー』
音駒のウォームアップが終わるまでボールを触りながら様子を見ていた。すると俺の所にボールが転がってきた。ボールを拾い顔を上げると、赤いユニフォームにプリン頭の人が立っていた。
摩浪『どうぞ』
孤爪「あ、うん。ありがと」
摩浪『もしかして孤爪さん?』
孤爪「え?うん。あ、キミが摩浪」
俺たちは初対面ではあるもののお互いのことは知っていた。もちろん理由は
摩浪『翔陽がお世話になってます』
孤爪「お世話は…してない、かな」
摩浪『アイツがよく孤爪さんのこと電話で話すから本当に仲が良いんだなって』
孤爪「おれも一緒」
摩浪『んじゃ、今日はよろしくお願いします。孤爪さん』
孤爪「研磨でいいよ。あとタメで」
摩浪『いいんですか?』
孤爪「翔陽の友達ならおれの友達だから」
摩浪『なら、今日はよろしく研磨』
孤爪「うん。よろしく」
彼にボールを渡し自チームに戻る。稲荷崎もウォームアップを終え整列。挨拶の後、コートに入り深呼吸を1回。
孤爪 福永 黒(夜)
灰羽 山本 海
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角名 摩浪 治
尾白 耳(赤) 侑
サーブは侑さんから。ジャンプサーブを音駒コートに打ち込む。強烈サーブは音駒2番、海さんが綺麗に上げた。
侑「ふぁっ!?」
摩浪『でしょうね』
研磨のセットアップは灰羽へ。ブロックは躱されたが赤木さんがレシーブ。
侑「角名!」
次はこっちの番。侑さんのセットアップから角名さんのスパイク。しかし、これを簡単に決めさせないのがネコさんなんだよね。上がったボールを灰羽が押し込む。
摩浪『おー、たかっ』
灰羽「んげっ!?」
ボールは強打されることなくコートへ。角名さんがレシーブする瞬間、俺はスパイクの体勢に入る。そして右手に力を込め音駒コートにボールを叩き落とす。[0-1]
侑さん2度目のサーブ。またも綺麗に上げる海さん。
侑「ぬぁに!?」
海「ナイスサーブ」
研磨のトスからもう一度灰羽へ。治さんとブロック揃えるが、流石190cm、ブロックの上からの速攻で音駒1得点[1 -1]
次は音駒がサーブ。白帯にあたりネットイン。
摩浪『ほいっ』
レシーブ繋がって侑さんのトス。角名さんの攻撃にブロック2枚。灰羽のレシーブ後、黒尾さんが押し込んで来た。
黒尾「おや」
摩浪『ワンチ』
着地後すぐにトスのモーションへ。侑さんがファーストタッチしたからセットアップは不可能。俺がトスを上げた先には尾白さんが。音駒ブロックがワンチするがブロックアウト[1-2]
ローテが回り治さんのサーブへ。強烈サーブはまたも海さんが上げる。そして、ここでやって参りました研磨の“視線フェイント”。
角名「あ、やば」
摩浪『1番』
ライトへ走りブロック。間を抜かれ音駒のの得点。[2-2]
角名「引っかかった」
摩浪『追いつけただけマシですよ』
角名「だね」
研磨「(あの2人は賢いみたい)」
ここから長い長いラリーがひたすら続いていく。尾白さんのスパイクを研磨が上げるし
侑「(嘘やろ…!?)」
治「(アランくんのスパイクやぞ!)」
俺のスパイクを夜久さんが上げ、ダイレクトで叩かれたボールを山本さんが拾う。やっと決まったスパイクはブロックアウトで稲荷崎得点[2-3]
尾白「やっと決まった感がやばいな」
摩浪『こっちがどんだけ殴っても受け流される感覚もあるんですよね』
俺のサーブの番がきた。スパイクサーブを打ち込む。スピードも威力も昨日と変わらず強烈なまま。だけどこれを夜久さんが辛うじて上げる。
夜久「強っ!」
摩浪『ナイスレシーブ』
音駒コートを見ると、セッターとリベロ以外が攻撃態勢に入り走る。これは烏野のシンクロ攻撃と同じもの。ボールを目で追い、いつでもレシーブできるように構える。
大耳さんと尾白さんがブロック。ワンチしたボールをカバーし次の体勢へ。侑さんのトスは角名さんに上がりターン打ちが決まると思った。次の瞬間
角名「うわっ」
黒尾さんが止めた[3-3]
長いラリーが続いた上に中々差が開かない。この試合、というか、この春高3日目は本当にやばい日になるかもしんない。
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