テラーノベル
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夕方。
街は少しずつ冬の空気に変わっていた。
クリスマス前のざわめき。
店の前。
「……ここ」
少しラフなファーストフード店。
ポテトの匂いが外まで漂っている。
「どうも!!」
ちょっと気合い入ってる
シェドレツキー。
「……来た」
ポケットに手を入れたままの
ブライト・アイズ。
「入ります?」
「入るでしょ」
即答。
店内。
トレーに山盛りのポテト。
「頼みすぎじゃない?」
「研究なんで」
「何の」
席に座る。
窓際。
外は少し暗くなってきて、ライトがつき始めている。
「……」
ブライトがポテトをつまむ。
「……うん」
「どうです?」
「普通にうまい」
「よし」
しばらく。
会話は少ない。
でも、前より沈黙が気まずくない。
その時。
「……」
ブライトが少しだけ肩をすくめる。
「寒いですか?」
シェドレツキーが気づく。
「……ちょっと」
短く。
店内だけど、窓際で冷気が入る。
コートは軽め。
首元が少し空いている。
「……」
シェドレツキーは少しだけ見る。
(寒そうだな)
でも。
何も言わない。
今は。
「席、変えます?」
「いい」
即答。
「これくらい平気」
「……」
強がりだと分かる。
でも、それ以上は踏み込まない。
代わりに。
「じゃあこれ」
紙ナプキンを少し多めに渡す。
「意味ある?」
「気持ちです」
「……バカ」
小さく呟くブライト。
でも。
ほんの少しだけ、口元が緩む。
その後。
他愛もない会話。
ポテトの味の話。
仕事の話。
少しだけ、お互いのこと。
帰り道。
「……じゃ」
「はい」
短いやり取り。
「……悪くなかった」
ぽつり。
「……!」
シェドレツキーの目が少しだけ見開く。
「また時間あれば」
それだけ言って、ブライトは歩き出す。
「……」
シェドレツキーはその背中を見る。
(寒そうだったな)
その夜。
部屋。
「……」
一人。
考える。
スマホで何かを検索して、
店をいくつか見て、
そして——
「……これ」
手に取る。
白いマフラー。
「……」
少しだけ迷う。
(いやでも)
思い出す。
あの時の、少しだけ肩をすくめた動き。
「……クリスマスか」
ぽつり。
「……渡すか」
小さく決める。
袋に戻す。
丁寧に。
「……」
少しだけ照れくさそうに笑う。
その頃。
別の場所。
「……」
歩きながら、首元を軽く触る
ブライト・アイズ。
(……寒かったな)
思い出す。
店。
ポテト。
そして——
「……変なやつ」
小さく呟く。
でも。
「……悪くなかった」
もう一度、同じ言葉。
その空の上。
クリスマスが、少しずつ近づいていた。
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