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茈赫
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地雷さん🔙or自衛
キャラ崩壊大
ご本人様関係ありません
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『お前の秘密は、俺だけが知っている。』
――誰にも見せない顔を、俺にだけ見せて。
#01 放課後の秘密
暇 赫には、誰にも言えない秘密があった。
学校では明るくて、誰とでも気軽に話せる。
先生にも友達にも好かれていて、困っている人を見れば放っておけない。
そんな暇 赫には、ひとつだけ。
絶対に知られたくないことがあった。
赫「……はぁ」
放課後。
誰もいなくなった教室で、赫は机に突っ伏していた。
笑顔を作るのにも、誰かに合わせるのにも、もう疲れた。
本当は、誰とも話したくない。
誰にも会いたくない。
ただひとりで、静かに過ごしたい。
けれど、そんな自分を知られたら。
きっと、みんな離れていく。
赫「……帰るか」
鞄を持って立ち上がった、その瞬間。
茈「……何してんの?」
赫「っ!?」
振り返ると、教室の入口に紫崎 茈が立っていた。
赫「……茈? なんでいんの」
茈「忘れ物。そっちこそ、帰ったんじゃなかったのかよ」
赫「……ちょっと、ぼーっとしてただけ」
茈「ふーん」
茈はそれ以上何も聞かず、自分の机へ向かった。
そのまま忘れ物を手に取り、教室を出ていく。
……はずだった。
茈「……赫」
赫「ん?」
茈「無理して笑わなくていいんじゃねぇの」
赫の表情が、止まった。
赫「……は?」
茈「いや。別に」
茈は興味なさそうに視線をそらした。
茈「いつも笑ってんの、疲れねぇのかなって思っただけ」
赫は何も言えなかった。
図星だったから。
1,400
けいか🎼
1,416
蓮香(仮)
589
誰にも気づかれないと思っていた。
自分がどれだけ無理をしているかなんて。
誰にも。
赫「……茈ってさ」
茈「ん?」
赫「人のこと、よく見てるよね」
茈「お前が分かりやすいだけだろ」
赫「……そっか」
赫は小さく笑った。
今度は、無理に作った笑顔じゃなかった。
茈はそれを見て、ほんの少しだけ目を細めた。
茈「……そっちのほうがいいじゃん」
その一言が。
どうしようもなく、嬉しかった。
#02 俺だけの居場所
それから、赫は放課後になると教室に残るようになった。
理由は簡単。
茈がいるから。
茈は基本的に無口で、必要以上に誰かと関わろうとしない。
けれど、赫が隣に座っても追い払わなかった。
赫「茈って、いつも何してんの?」
茈「本読んでる」
赫「見れば分かるわ!」
茈「じゃあ聞くなよ」
赫「ひどくない!?」
茈「うるせぇ」
そんなくだらない会話をする時間が、赫は好きだった。
何かを演じる必要がない。
無理に笑わなくてもいい。
黙っていても、気まずくならない。
ここだけが、自分の居場所みたいだった。
ある日の放課後。
赫は、いつものように茈の隣に座った。
けれど、その日は少しだけ様子が違った。
茈「……何かあった?」
赫「え?」
茈「顔」
赫「……そんなに分かりやすい?」
茈「分かりやすい」
赫は、少しだけ迷った。
本当のことを話してもいいのだろうか。
こんな自分を知られたら、嫌われるんじゃないか。
けれど。
赫「……俺さ」
茈「ん」
赫「みんなに嫌われるの、怖いんだよね」
茈は黙って聞いていた。
赫「だから、ずっと笑ってる。誰にでも優しくして、嫌なこと言われても笑って……」
赫「そうしてれば、誰も俺から離れていかない気がして」
言葉にしてみると、自分がひどく情けなく思えた。
赫「……ごめん。変な話した」
茈「別に」
赫「……え?」
茈「変じゃねぇだろ、別に」
茈は本から顔を上げた。
茈「嫌われんのが怖いのは、普通じゃねぇの」
赫「……でも」
茈「それで無理して、お前がしんどくなってんのは違うだろ」
赫は、思わず目を伏せた。
茈「少なくとも、俺の前では無理すんな」
赫「……っ」
茈「笑いたくねぇなら笑わなくていいし、話したくねぇなら話さなくていい」
茈「俺は別に、お前が黙ってても嫌いになんねぇから」
その瞬間。
赫の胸の奥で、何かがほどけた。
赫「……茈」
茈「何だよ」
赫「……ありがと」
声が少しだけ震えた。
それでも茈は、何も聞かなかった。
ただ、赫の頭を軽くぽんと叩いた。
茈「……よしよし」
赫「っ、子ども扱いすんな!」
茈「元気じゃん」
赫「もう知らねぇ!」
茈は小さく笑った。
その笑顔を見て、赫は思った。
――この人にだけは、嫌われたくない。
いつの間にか。
そんな気持ちが、胸の中に生まれていた。
第3話 知られたくなかった本音
それから数日後。
赫は、茈と一緒に帰ることが増えた。
帰り道にコンビニへ寄ったり、くだらない話をしたり。
ときには、何も話さず並んで歩いたり。
そんな毎日が、当たり前になりつつあった。
けれど。
当たり前になったからこそ、怖くなった。
茈が自分の隣にいること。
茈が自分の話を聞いてくれること。
茈が、自分の弱いところを受け入れてくれること。
全部が、なくなったら。
赫「……なぁ、茈」
茈「ん?」
赫「もしさ、俺がめんどくさい奴だったらどうする?」
茈「は?」
赫「いや、例えばの話!」
茈は少し考えたあと、あっさり答えた。
茈「めんどくせぇって言う」
赫「即答!?」
茈「でも、それで終わりだろ」
赫「……え?」
茈「めんどくせぇと思うことと、嫌いになることは別だろ」
赫は足を止めた。
茈「……何」
赫「……茈って、ずるいよね」
茈「は?」
赫「そんなこと言われたらさ……」
言葉が続かなかった。
茈は、赫の顔をのぞき込む。
茈「……おい。何で泣きそうなんだよ」
赫「泣いてねぇし!」
茈「いや、泣きそうじゃん」
赫「うるさい!」
赫は顔を背けた。
本当は、ずっと言いたかった。
茈と一緒にいるのが好きだと。
茈に会える放課後が楽しみだと。
茈にだけは、本当の自分を見ていてほしいと。
でも、それを口にしたら。
今の関係が壊れてしまいそうで。
赫「……俺、茈のこと好きかもしれない」
気づいたときには、言葉がこぼれていた。
茈「…………は?」
赫「……っ、いや、今のなし!」
茈「待て」
赫「忘れて! 頼むから!」
茈「赫」
名前を呼ばれて、赫は動きを止めた。
茈は、真剣な顔をしていた。
茈「……俺は、なしにしたくねぇけど」
赫「……え?」
茈「お前が言ったこと」
茈は、ほんの少しだけ視線をそらした。
茈「……俺も、お前が好きだから」
赫は、何も言えなかった。
何度も頭の中で、その言葉を繰り返す。
俺も、お前が好きだから。
赫「……うそ」
茈「嘘じゃねぇよ」
赫「……ほんとに?」
茈「何回聞くんだよ」
赫「だって……!」
嬉しかった。
信じられないくらい、嬉しかった。
けれど同時に、怖かった。
赫「……俺、たぶん面倒くさいよ」
茈「知ってる」
赫「すぐ不安になるし、嫌われたくなくて変なこと言うし……」
茈「うん」
赫「……それでも、いいの?」
茈は、赫の手を取った。
茈「お前じゃなきゃ嫌だって言ってんの」
赫の目から、とうとう涙がこぼれた。
赫「……っ、茈のばか」
茈「何でだよ」
赫「……好き」
茈「……俺も」
その日、赫は初めて。
誰かに嫌われることを恐れずに、泣くことができた。
# エピローグ ここでは笑わなくていい
付き合い始めてからも、赫の性格が急に変わったわけではなかった。
相変わらず、人前では笑っている。
誰にでも優しくして、周りの空気を読んでしまう。
けれど。
放課後、茈の隣にいるときだけは違った。
赫「……疲れた」
茈「お疲れ」
赫「今日さ、先生に頼まれた仕事、全部引き受けちゃった」
茈「断れよ」
赫「……断れなかった」
茈「次から断れ」
赫「……うん」
茈は鞄から飴を取り出し、赫に差し出した。
茈「ほら」
赫「……何これ」
茈「飴」
赫「見れば分かるわ!」
茈「じゃあ聞くなよ」
赫「それ、俺の台詞!」
ふたりで笑った。
少しして、赫は茈の肩に頭を預けた。
赫「……茈」
茈「ん?」
赫「俺、ここが好き」
茈「教室?」
赫「違う。茈の隣」
茈は一瞬だけ黙った。
それから、赫の頭をそっと撫でた。
茈「……好きなだけいろよ」
赫「……ほんと?」
茈「何回確認すんだよ」
赫「だって、嬉しいから」
茈「……そっか」
茈は、赫の手を握った。
茈「じゃあ、何回でも言ってやる」
赫「……え?」
茈「好きだよ、赫」
赫は、顔を真っ赤にした。
赫「……っ、もう一回!」
茈「調子乗んな」
赫「お願い!」
茈「……好きだよ」
赫「……へへ」
その笑顔は、誰かに好かれるためのものじゃない。
嫌われないためのものでもない。
ただ、嬉しいから。
ただ、幸せだから。
自然にこぼれた笑顔だった。
茈「……やっぱ、お前はそっちの顔のほうがいいな」
赫「……どっち?」
茈「俺にだけ見せる顔」
赫は、そっと茈の手を握り返した。
赫「……じゃあ、茈だけに見せる」
誰にでも優しい自分も。
弱くて、面倒くさくて、不安になる自分も。
全部、少しずつ受け入れていけたらいい。
そして、いつか。
茈の隣以外でも、自然に笑えるようになれたらいい。
それでも今は。
この人の隣が、何よりも大切だった。
「……茈、好き」
「……知ってる。俺も好きだよ」
誰にも見せない顔を、俺にだけ見せて。
そんな願いを抱えながら、ふたりは夕暮れの教室をあとにした。
――END――
コメント
1件
読了です🌙 赫くんの「無理して笑わなくていい」って茈くんに言われるシーン、すごく響きました…。誰かに弱さを認めてもらえるって、こんなに救われるんだなって。告白後の「俺も好きだよ」の自然さも甘くて、泣きそうになりました。ふたりのゆっくりした距離の縮め方が、すごく丁寧で好きです。お幸せに…!🥀🤍