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ー注意事項ー
・一話参照
◇◇◇
ciは、本当に静かな子だった。
朝になっても、物音を立てずに目を覚ます。
tnが部屋を開けるまで、ジッとベットに座っている。
ごはんが出ても、勝手に食べない。
誰かが席を立つと、その背中をじっと見て、隣に来るまで待つ。
本当に静かな子であった。
朝食の時間、utが作るトーストのいい匂いが漂ってきた。
tnはパソコンを閉じ、バキバキの身体を伸ばした。
そろそろciを起こす時間だ。
そう思い、部屋へ向かう。
部屋を開ければ、ciは既に起きていていつものように、ジッと座っていた。
「おはよう」
声をかけると、ようやく立ち上がり布団を直してからこちらに駆け寄ってくる。
その小さな頭を撫でてから、再度utの元へ向かう。
似合わない大きなスリッパの音が、後ろから1つ遅れて聞こえてくる。
それがまた愛おしかった。
「おはよ〜ciお」
utがヒラヒラと手を振れば、控えめに振り返される。
ズルいなと思いながら、ciを椅子に座らせた。
「今日はトーストだよ〜」
イチゴジャムの塗られたトーストがciの前に置かれ、utが隣に座った。
utのトーストはイチゴジャムがついていない。
tnのもである。
ciには特別だとutが嬉しそうに言っていたのを思い出した。
食べ始めるutとは別に、ciはコーヒーを注ぐtnを待っていた。
「食べないの?」
「…、」
「ああ、tnね。えらいねえ」
utは手をパッパッと払ってから、ciを撫でた。
「tn早く〜食べよお」
「はいはい。お待たせ食べよっか」
tnが前に座り、ciは大きく頷いた。
ciは少し迷ってから、小さく手を伸ばす。
どこをかじろうか、悩んでるらしい。
可愛らしくて、2人とも微笑んでいた。
「どこから食べても同じだよ」
「ci、喉詰まらせんなよ」
大きく口を開け、ようやくかじりつく。
口の端にイチゴジャムが着いたのにも気が付かないまま、トーストを食べ進めた。
utが手を伸ばして、tnに叩き落とされる。
「ci、ジャムついとる」
tnの独占欲には驚かされるものだ。
utは苦笑するしかなかった。
夜になると、ciはtnの手を握る。
これは、ciなりの会話であった。
「眠い?もうこんな時間か」
ゆっくりな瞬きを繰り返すciを抱き上げて、部屋に連れていく。
こうなるのにも時間がかかったものだ。
最初のうちはリビングの隅に座っていた。
壁に背中をつけて、膝を抱える。
頭を隠すように静かに寝ていた。
tnも仕事に夢中で気が付かなかったのだ。
何度も何度も、ここがお前の部屋だと言ってようやくciは理解してくれた。
けれど、自分で行くことはまだ難しいらしい。
それくらいで全然よかった。
部屋に着き、ciを下ろすと布団を出す。
「今日は寒いな、これも使おう」
毛布を持っていくと、ciは驚いたように目を見開き、そっと受け取った。
毛布を触るのが初めてなのか、楽しそうにもふもふする。
ありがとう、声にはならないそれ。
口が動いたのが見えた。
その小さな変化にtnは気づいたが、何も言わなかった。
◇◇◇
それからまた数日後。
ciは喋りはしないものの、感情を表現するようになった。
ひとりで動くことも多くなり、最近では自分で部屋に行き、眠るようになった。
そんなある日の朝のことである。
この日、tnとgrは用事で前日から外へ出ていた。
事務所に残るutはと言うと、夜遅くから研究に没頭していた。
カーテンの隙間から漏れ出す朝日に気が付き、眉間をマッサージする。
部屋から出て、リビングに向かいオレンジ色の電気を付けた。
ソファに勢いよく倒れ込み、長く息を吐き出した。
徹夜するつもりはなかったのだけど。
寝ろと注意してくれるgrがいないものだから、羽目を外してしまった。
そうして、目を閉じているとカタカタと物音がした。
「誰や」
ギロと音のした方を睨むと、そこにはciがいた。
ブランケットを被って、佇むciが怯えたようにこちらを見ていた。
「ciっ?」
utは慌てて目元を柔らかくした。
手招きをして、ciを膝に座らせる。
軽く、細いciを、優しく抱き寄せた。
「目、覚めちゃった?」
「…」
「んー、怖い夢でも見た?」
こくり、と頷く。
目元は赤く腫れていて、随分前からひとりで怯えていたことが分かった。
tnが知ったらブチ切れ案件だろうなあ。
え?それって僕に対して?
い、いやいやいや…まっさかあ。
クイクイ、と服を引っ張られciを見下ろす。
「tnはまだ帰ってこないよ、お昼ご飯食べたらね」
不安そうに俯いて、ciはぎゅううとutに抱きついた。
控えめに首に手を回される。
utはそんなciをもっと抱き寄せて、ぽんぽんと背中を叩いてやった。
「僕が悪いやつはパンチしてやるから、ciはもっかい寝ちゃお?」
「…、」
小さく頷き、肩に頭を乗せた。
「うん。ciはいい子やなあ」
数回頭を撫でてやれば、ciは寝息を立て始めた。
その時ブブ、とスマホが震えた。
ciが落ちないように、頭を支えてやりながらスマホを手に取る。
バキバキに割れたスマホをトットッと叩けば、画面にはshoからのメッセージが表示された。
utはメッセージを打つのがとてつもなく遅い。
指先が幾度の研究で麻痺しているのである。
感覚のない指先を、電話マークに押し付ける。
『はあい!』
「やっほお。どしたん」
『ut〜、俺とzm、組長に叱られてん〜』
「今度は何やらかしたん」
『別にやらかしてないよお、ちょっとイタズラしただけやもん〜』
「お前らのイタズラはシャレにならんなあ」
『ふふふ、それで頭冷やせって事務所追い出されたからそっちに行ってもええ?』
電話の奥から、zmの笑い声が聞こえる。
utはciに目をやった。
まだ怯えた表情をしているのだった。
「…うん、ええよ。ciをひとりで見れるか不安やってん」
『わかった!!ありがとうなut!!zm、行くぞ!!!』
『やったーッ!!!』
ブチ、と切られる。
全く、やかましい野郎である。
けれど、それくらいがciにとっても安心できるだろうと思ったのだ。
午後になり、昼飯を食べ終わった頃zmとshoは事務所で騒いでいた。
「ci!これ見て!!これこれ」
「野良猫やねんで!こいつ!!」
スマホを差し出され、ciはutの膝の上でビクッとする。
だが、逃げなかった。
ciはutの手を握ったまま、画面を覗き込む。
小さく、ほんの一瞬だけ口元が緩んだ。
「笑った?」
shoが言うと、ciは慌てて顔を伏せる。
utが守るようにciを抱き寄せた。
「ま、まって!揶揄ったわけちゃうねん!!」
shoは慌てて手をバタバタさせた。
「笑えるようになったんやね、ええ事やん。なァ?」
zmがにへらと笑って、shoを叩いた。
怒ってないと分かったのか、ciは顔を上げて、様子を伺った。
「…なあなあっ!ciは、tnは勿論やけど、utにも甘えるんやね」
「そー。僕はお前らと違って優しいねん」
「ま、第一印象はそうかもしれへ
「ci!!オヤツの時間にしよう?」
utはshoを足で軽く蹴って、台所へと小走りで去っていった。
突然utがいなくなってしまい、熱がどこかへ飛んでいくのを感じながら、ciは二人を見た。
shoは尻もちをついた流れでカーペットの上に寝転がって倒れたままである。
zmはそれをケラケラ笑っていた。
だが、ciのその視線に気がつくと笑うのをやめて、微笑みながらこちらに寄ってきた。
しゃがんで、ソファに座るciと同じ目線になるよう、床で胡座をかく。
「ci、ci。」
ciはまだzmのことが怖いのか、ビクビクしながら様子を伺うようにしている。
けれども、呑気なzmはそのまま続けた。
「tnのことだいすき?」
「…?」
こくん、と頷く。
にまにま笑いながらzmは続ける。
「tnはなあ、ぎゅうが好きなんやで。ciが、自分からぎゅうしたら喜ぶやろうなァ」
自分から!を、わざとらしく強調する。
おまけに、ciがハグを分からない時のために、ハグのジェスチャーもつけてやった。
「あとはなァ…うーん…」
「ciは自分の意見言うの苦手やろっ?でも、tnには言ってみてもええと思うで!」
アイツ、絶対ciがきゅるきゅるでお願いしてきたら断れへんと思う!!
突然起きた上がったかと思えば、shoは元気よく語り出した。
「ええかっ?お願いするときは、こうするんやで!!」
「な、なんッおまえ!!!くっつくな"ァ!暑苦しい!!!」
shoはzmに抱きつき、上目づかい?を始めた。
バタバタとカーペットの上で暴れる。
黒いもこもこのカーペットがぐちゃりぐちゃりと、折れていくのをciは不思議そうに眺めていた。
おやつを片手にutが怒鳴り、怯えたciが隠れてしまうまで、あと数秒である。
◇◇◇
tnはギュウが好き。
キュルキュルでお願い。
聞いた事のないその言葉を頭の中で繰り返す。
夜になり、先程tnとgrが帰ってきた。
ciはソファの上でジッとしていた。
zmとshoに言われた通りにしようと思っていたが、utが怒鳴っていた。
それをしたらダメだという意味だろうか。
ciには分からなかった。
折れたカーペットは綺麗に直されたが、zmとshoは事務所を追い出されてしまった。
自分も、悪いことをしたら追い出されてしまう。
もしかしたら、痛いことだってされるかもしれない。
そう思ったら、怖くて動けなかった。
「ci、ただいま」
「…!」
tnは優しい人である。
幼いながらにも、それは理解できた。
こんな人に手を繋いで貰えたのは、どれほどの奇跡だろうか。
頭をくしゃりと撫でたその大きな手を、ciはジッと見つめる。
頭の奥深くにある記憶では、大きな手は痛いことをする物であった。
けれども、今は違う。
どうして違うのかは分からない。
だからこそ、怖いのだろう。
tnに聞きたいのに、この喉はそれを止める。
過去の自分が、今の自分を押さえ込もうとしていた。
ciにはそれも分からなかった。
ただただ、喋ろうとすると喉がきゅうと細くなって、目の奥がじんと暑くなる。
「……、」
「…」
泣いたら痛いのに。
痛くなっちゃうのに。
せめて、見られないようにと膝に目を押し付ける。
否、押し付けようとした。
tnのその大きな手が優しく額を支えた。
それからゆっくり抱き上げられる。
「ut」
「ひゃいんッ!?!?な、なにっ…?その怖い声…」
「お前か」
「な、なにがぁッ!?…あ、ああ。zmとshoが来てさあ、今日」
「アイツらか、シメころ
「待って待って!!違う!!アイツらが部屋を散らかすもんだから、僕が怒ってん!…けど、多分それがciを怖がらせた、かも」
「…そう」
tnは低い声だが、少し柔らかく相槌を打つ。
ciをぽん、と優しく叩きリビングを出た。
黒色で統一された、モダンの部屋に入る。
ぱちん、と片手で電気を付けベットに腰をかけた。
ciは初めて入れてもらったこの部屋を観察する。
観葉植物を、物珍しそうに眺めていると、tnがくすりと笑って頭を撫でた。
「ci」
優しいその声に、首を傾げる。
「なにか、伝えたいことがあるなら教えて。誰も怒らんからね」
「…、」
「なあに、ci?」
「……ッ」
「ぇ」
その分厚い身体に、ciの細い腕が巻き付く。
小さな手が、背中にピッタリと着く。
tnに対しては、初めてのハグであった。
細く柔らかく、優しいutには怖い時にハグをしたことがあった。
抱き寄せてくれて、ciが抱きつくといつも膝に乗せてくれた。
tnに対してしなかったのは、なんとなく怖かったからである。
信頼してない訳ではない。
信頼しているからこそ、嫌がられるのが怖かった。
tnはたまに酷く怖い声を出す。
それを自分に向けられるのは、嫌だった。
怖い声で怒鳴られ、殴られ、そういうのはもう慣れたものだと思っていた。
「…ぶふッ!!」
「!」
「なあにci。深刻そうな顔しとったけど、もしかして抱きつきたかったん」
tnがケラケラ笑うのが、嬉しくてciはもっと引っ付いた。
笑ってくれた。
shoとzmはなんで怒らないって分かっていたのだろう。
チョウノウリョクシャ、とかいうやつだろうか。
ciはtnの胸に顔をグリグリと押し付けながらそんなことを考えた。
その間も、tnは笑いながら頭を撫でていて、怒る様子は一切見られない。
「ci、確認やけどzmとshoには何もされてないんやな」
「…?」
「utがキレたのが怖かったんよな」
「…」
utが怒ったことに対して、怖いと思ったわけではない。
いや、怖くなったかと言われたら正直怖かったけれど、ciが本当に恐れたのは、tnに見放されることであった。
そう思ったのを感じ取ったのか、tnは更に柔らかく微笑んだ。
「ciは俺の大切な子だよ」
離してやれないくらいにはな、と笑いかける。
その表情が、何よりも暖かかったように感じた。
本当のチョウノウリョクシャは、tnなのかもしれない。
書きたい内容を詰め込んだら、段々と長くなってしまってまだ次回もありますごめんね🤦🏻♀️
ダラダラと語ってても飽きると思うから、次回はスパスパいきます
書きたかった内容⤵︎ ︎
・家族をするtn、ut、ci
・入れ知恵zm、sho
・まだまだ子供のci
難しい単語とか理解しきれてないかんじ!
かわいい!
・ふわふわのutがキレる
みたいなみたいな
ああもういっぱい言いたいことあるけど!
とりあえず忍者めし食べてくるね
コメント
4件
ええあいやえほんと大好きです ふわふわut先生大好物です✋️✋️
いつもフワフワのひとが怒ると「おお〜!」ってなるから結構好き〜♡ciさんの難しい言葉分かんないなくて平仮名なってんのthe子供って感じでかわいい!tnさんがut先の手ペシッってしたの独占欲マシマシで良い!続き楽しみに待ってます!
続き うれしすぎます っ .ᐟ .ᐟ ciくんへの 独占欲 高い tn さん だいすきです > < ♡