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「私は、どうしたら良いんでしょうか」
絶対にこんな能力なんかに負けたくありません。
「連華の場合は他者の大きな感情に近くで触れる事によって発動したりする。なら、他者の大きな感情に触れないようにするんだ」
「人を避けるということですか?」
そんなもの出来るのだろうか。
「あっているが、少し違うな。人ではなく、大きな感情だな」
大きな感情を避けるのも大変だと思うのですが。
「とても大変だろう。とても辛いだろう。だが、どうか、頑張ってくれ。それは連華、お前がこれから生きていく上では必須の事になるだろう」
真剣な表情で、でも、穏やかな表情で、愛華さんはそう言いました。
窓の外からはチュンチュンと小鳥の歌声が聞こえてきました。
「ん、ん〜、ふぁ~。よく寝たぁ〜」
先程まで魘されていた炎端さんは大きな欠伸をしながら背伸びをしてそう言いました。
「炎端さん!良かった、平気そうです」
いつもどうりの全く読めない笑顔を向けて「おはよう」と言ってくる炎端さんを見て私は胸を撫で下ろしました。
「ねぇ、連華ちゃん、人の大きな感情に触れたら駄目ならさ、この戦争が終わって、平和になったらうちのやってるカフェに来なよ!お客さんなんてまともに来ないしさ!」
突然、さっきまで寝ていたはずの鈴華さんがガバッと起きてそう提案してきました。
「鈴、お前、盗み聞きしてたのか」
呆れたように愛華さんは大きなため息をつきました。
「うちの隣で話すのが悪い。それに、うちは姉さんに引っ付いてないと寝れないかなね!」
「そうなんですか!?」
まさか、鈴華さんは愛華さんと一緒じゃないと寝れないだなんて、驚きです。
「いつも一人で寝てるだろ!」
「連華ちゃんは騙せたのに!」
嘘だったみたいです。
そんな鈴華さんを見て炎端さんは呆れたように、憐れむように、でも、少し楽しんでいるのか、笑っていました。
「で?連華ちゃん、お返事は?」
嬉々とした声で鈴華さんはもう一度尋ねて来ました。
「是非とも、行かせて頂きたいです」
私がそう微笑んで答えると「よっしゃー!」と鈴華さんが叫び、愛華さんに「五月蝿い」と言われチョップされていました。
それから私は人が大きな感情を感じる場所や場面を避けるようにしました。