それから私は人が大きな感情を感じる場所や場面を避けるようにしました。
1947年。戦争が終わった頃、私の妹のような存在のドールが生まれました。私と同じ場所で。
「貴方、お名前は?」
そっと生まれて来たドールに話し掛けます。
「私は、世界保健機関様、えっと、約すとWHO様ですね。私はその方のドールの保洋(ホナミ)と申します」
そのドールは、保洋と言うようで、私の妹分のようです。
彼女は、淡いアクアブルーの髪で、ミストグリーンのキラキラした瞳を持っていました。ラベンダー色のワンピースにアメジストのペンダントとライムイエローのフラットサンダルがよく似合います。
「始めまして。私は国際連合と今は亡き国際連盟のドールの連華と申します。よろしくお願いしますね、保洋さん」
私はそう微笑みながら自己紹介をしました。
「はい。連華さん」
保洋さんは聖女のような笑顔でそう応えてくれました。
保洋さんも生まれたばかりで、まだ家がありませんから、私の家で過ごすことになりました。ですが、その前に、日本国へ行って愛華さんに能力の事等を聞いておくのが良いと思い、私達は、今、海岸まで歩いているところです。
「お!女神様じゃないか!今日もお綺麗で、いらっしゃる。今日はどうしたんですか?」
街を歩いて居ると町人の方に声を掛けられました。何故か最近、皆さんに“女神様”なんて呼ばれるんですよね。本当に恥ずかしいです。
「もう、褒めても何も出ませんよ?」
「女神様の笑顔が見れるじゃないですか?ところで、そのお連れさんは?」
今までは出会ったことの無かった保洋さんを見て少し不思議そうに、町人の方が尋ねます。
「彼女は、保洋さんですよ。そうでね、私の妹のような方ですよ」
そう微笑みながら私は言葉を返しました。
「そりゃおめでたい!じゃあ、保洋様は、聖女様だな!こりゃ家族に伝えなきゃな!又な!女神様!聖女様!」
颯爽と町人の方は走って行きました。
「聖女様、ですか、、、、、、?」
保洋さんは驚きを隠せず、目をパチパチとしていました。
そんなこんなで私達は日本国に着きました。
あの頃、炎端さんに連れて行ってもらった時と同じルートで私達は進み、やっとあの館に着きました。
トントンと、館の門を叩いて愛華さんを呼びます。
「はい」
返って来た声は男性の物でした。ギーと音が鳴り、門が開くとそこには緑色の陸軍の軍服を着た、左腕の無い男性が立っていました。
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