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神の傀儡

39 - 第39話 東京23区

2024年11月29日

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リリスはその微笑みを崩さないまま、東京の空を見上げていた。空が血のように赤く染まり、漠然とした恐怖が街全体に広がっていく。彼女の魔力は、今や都市の上空にまで及び、地上のすべてを圧倒しているような威圧感を放っていた。

「東京23区…やっとこの街を壊す時が来た。」リリスはつぶやきながら、空中で一歩踏み出す。その瞬間、彼女の周囲に無数の魔力の波動が発生し、周囲の建物が揺れ動き、ひび割れ始めた。

タクトとミカエルがその場に到着した時、すでに東京は異様な静けさに包まれていた。通りの人々は無力感に囚われており、無防備に立ち尽くしている。リリスの魔力が渦を巻いていることに気づかない者などいない。

「リリス、やめろ!」タクトが叫んだ。彼の声は必死で、怒りと悲しみが入り混じっていた。

「やめるわけがないでしょう?」リリスは冷たく笑うと、手をひらりと振った。瞬間、彼女の魔力が一気に爆発し、空気がひしゃげるような音と共に、数千メートル先のビルが崩れ落ちた。

その光景に、タクトとミカエルは凍りついた。リリスの力は今、ただの破壊に収束し、東京をも巻き込もうとしていた。

リリスの手のひらから放たれる魔力は、まるで巨大な隕石が落ちるような勢いで、東京23区全域に次々と爆風を引き起こしていた。建物が崩れ、人々がパニックに陥る中、タクトは冷静に立ち回ることを誓った。

「東京は壊滅状態だ。」ミカエルは剣を構え、リリスに向けて歩みを進める。「だが、リリスを倒さないと、何も始まらない。」

タクトもまた、剣を握りしめながら決意を固める。「リリス、君のやっていることは間違いだ!こんなことをしても、何も得られない!」

「得られるものなんて、最初からなかったわ。」リリスは反論し、手を振ることで魔力の波動をさらに広げる。「私はただ、あなたたちを試しているのよ。どこまで私に立ち向かえるのか、知りたかっただけ。」

その言葉に、タクトは胸の奥が熱くなるのを感じた。リリスが何を考えているかは分からない。ただ、彼女の行動は東京全体を無差別に壊すだけのものだ。そして、それを止めなければならないという強い責任感がタクトを突き動かす。

タクトは一瞬の隙をついて、リリスに突進しようとした。だが、リリスの眼差しがその進行を止める。彼女はにっこりと微笑んだ。

「あなた、まだ気づいていないのね。」リリスが手を一振りすると、次の瞬間、タクトの周囲に立っていた数十人の市民が一斉に崩れ落ち、まるで操り人形のように動きを止めた。

「リリス!」タクトは激しく叫んだが、その声はリリスの魔力に消される。「どうして…どうしてこんなことを…!」

「だって、あなたたちが私に立ち向かうから。」リリスは目を細め、冷たく答える。「私が倒せなければ、世界は壊れる。それを理解した上で立ち向かっているのでしょう?」

その時、ミカエルがリリスに向かって一気に飛び込む。しかし、リリスはわずかに手を振るだけで、彼を弾き飛ばす。ミカエルは建物に激突し、地面に倒れる。

タクトはその様子を見て、今までにない決意を固めた。「何としても、この街を守る。リリス、君の力にはもう付き合わない。」

その一言を聞いたリリスは静かに笑い、手を掲げた。「なら、あなたたちも…すべて失う覚悟を持っているのね?」

その言葉と共に、リリスの魔力が最高潮に達した。東京23区のあらゆる建物が揺れ、今にも崩れそうな状態に。タクトはもう、無駄な言葉を費やす時間がないと感じた。

「もう…待っていられない。」タクトは、限界までその力を振り絞り、リリスに向けて全力で剣を振り下ろす。


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