コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
物語の世界の登場人物に生まれ変われたら……
そう思ったことはない?
ちなみに私はめっちゃ思ってた。
……そしたら、本当に転生したんだよおお!!!
私が転生した世界は私の大好きな物語の主人公……のわけはなく、主人公の娘だった。
ああ、幸せ。だって、私の推しカプ(私の両親)が目の前にいるのだから。
私はお母様の腕の中でそう思っていた。
あ、ヤバい。口からよだれがこぼれそうになる。頑張って、よだれを口の中に戻した。
危ない、危ない。推しを汚すところだった。
「ホントに可愛い。私たちの赤ちゃん。」
「貴方も見て、この幸せそうなこの子の顔」
甘い声でお母様はそう呟き、お父様の方に見せる。
私から一言。あんたの方が可愛いよ、マイマザー。
ああ、もう幸せすぎてこわい。
そう思っているとあっという間に時は過ぎ、私は12歳になった。
この年頃になると、私たち貴族は学校に通うらしい。
私はマジで学校に行きたくなかった。
「お母様、私学校に行きたくないです」
「どうして?楽しいわよ」
そんな可愛い目で、見ないでほしい。尊死する。
「だって、学校に行ったら、お母様とお父様のイチャイチャが見れないじゃないですか」
私は、はっきりと言った。すると、お母様とお父様が顔を見合わせる。
「あなた、冗談よね。フウラは冗談を言ってるのよね」
「いや、よく見るんだ。フウラの目は本気だ」
お母様は「何をどう間違えたの」と自分の教育を嘆いているが、安心してください。
お母様のせいではなく、生まれつきです。
お父様が私に優しく言う。
「どうしたら、行ってくれるかい?」
考えると、私の頭にあることが思い付く。
「私、学校の楽しさがわかりません。なので、お母様とお父様の学生時代の話を聴きたいです」
「聴けたら、学校に行きます」
「全然いいわよ」
お母様は笑顔で言ってくれた。
私は二人に見えないように笑う。よしゃああ!!!
確か、お母様とお父様が出会ったのは学生時代だから、二人の馴れ初めが聴ける。
私は、ニッコニコで二人の話を聞いた。
ああ、最高だった。私は二人の馴れ初めを思い出しながら、ベッドの中でニヤニヤしていた。
「ニヤニヤして、何かいいことでもあったのじゃ?」
「サタン、だめだよ。フウラはオタクなんだから。今、妄想してるんだよ」
サタンとミカエルが私の頭の上でそう話していた。
この二人、悪魔と天使なのに仲がいい。
「何で、二人とも私が召喚してないのに出てこれるの」
「えっ、何でじゃろう?」
「何でだろう」
「いや、二人ともわかんないんかい!」
この世界では全ての人が魔法が使える。
だけど、使える魔法は普通は一人一つ。
私が使えるのは、召喚魔法。普通は召喚魔法は精霊を召喚できるものなのだが、なぜか私は悪魔と天使が召喚できる。
「それでフウラ、お主学校に行くんじゃろ?」
「うん」
私は嫌そうに呟く。
「まあ、理由は察しがつくが、学校に行くの悪いことばかりじゃないのじゃ」
「え~、例えば?」
私が尋ねたらサタンではなく、ミカエルが答えた。
「友達が出来るとか!」
「それは、禁句じゃ」
「え、何……!」
『⦅フウラの瞳に光が無い!!⦆』
私は一気に憂鬱な気分になった。私みたいな陰キャに友達ができるか!
「だ、大丈夫じゃ。フウラはわしの友人じゃ」
「そ、そうそう、僕たちがいるじゃん」
この二人……慰めてるけど、無自覚で私に友達出来ないと思ってるよね。
私はこの日、絶対に友達をつくってやると決意した。
とうとう、やってきてしまった。この日が。
「お母様、お父様、私学校に行ってきます」
「ええ、行ってらっしゃい」
「楽しんでおいで」
二人は優しくそう言った。でも、その瞳に水が溜まっているように見えるのは気のせいだろうか。
私は涙目でこう言った。
「イチャイチャするときは、私の部屋に置いてあるカメラで録画して下さいいいいい!!!!!」
すると、なぜかお母様もお父様も表情が消えた。何でだろう。