「学校、どこ?」
入学式当日、私は迷子になった。
フッ、私は方向音痴だからな。仕方ない。
「ねえ、サタン、何でフウラは心の中でカッコつけてるの?」
「それは……、フウラは変人じゃからじゃ。」
「いや、何で心が読めるの!?」
「あ、変人なのは認めるんだ」
まあ、私はちょっぴり、本当に少しだけ変わってると自覚してるからね。
すると、サタンがあきれたように言う。
「どこが、少しなのじゃ。」
「理由を十文字以上二十文字以内に答えるのじゃ」
「いや、テスト!?」
私よりもサタンやミカエルたちの方がよっぽど変わってると思う。
そんなことを思っていると私は思い出した。
「こんな雑談してる場合じゃない!!」
私は街の中を走った。えっ、迷子になってるのにどこに向かって走るかって 。
そんなの勘でいくに決まってるじゃん。
「おらあああ、今いくぞ!」
悲報、もっと迷子になった。
「嘘じゃん、何でえええ!!!」
私は泣き叫んだ。
「自業自得じゃ」
「うん、うん」
私は辺りを見回す。私が住んでいる街とは比べ物にならないくらい豪華な街だった。
あれ、この景色、あの物語に書いていた気が……。
私の記憶をたどっていく。すると、一つの記憶に結び付いた。
「あっ、ここ王都だ」
私がそう言ったら、二人は青い顔をする。
「それって、まずいくない?」
「えっ、なん……あっ!」
私も気づき、顔が青くなる。
「学校って、王都からめっちゃ離れてるじゃん!」
私たち三人は地面にしゃがみこんだ。
「ど、どうしよう?」
「どうするも何も……あっ!」
サタンは何か思いついたように立ち上がる。
「そうじゃ、飛んでいけばいいのじゃ」
「そうだった!僕たち飛べるんだった」
そして、二人は羽を出す。
二人の大きさは妖精のように小さい。私の顔くらいの大きさだ。
だけど、その羽は誰もが目を奪われてしまうくらい目立っていた。
サタンは星空のような漆黒の色、ミカエルは雪のような真っ白な色をしている。
「きれい……」
そう、見惚れている間に二人は飛んでいってしまった。
「って、えっ!!!!」
「学校に行くの私なんだけど!」
「ちょ、置いて行かないで!!!」
えっ、本当に置いていかれたんだけど。今から、召喚する?
でも、あの子たち今必死に飛んでるから、応じないだろうなあ。
召喚魔法は、召喚する者とされる者、双方の信頼関係が重要なのだ。
だから、サタン達に召喚してもいいという意思がないと召喚できない。
まあ、逆はできるらしいけど。
他の子たち呼んでもいいけど……。
でも、他の子たちはもっと癖が強いからなあ。
よし、自分の力で解決しよう!
でも、どうしたら……。
まあ、アレしかないよなあ。
私は街の中で頑張って豪華な服を着ている人を探す。
すると、ものすごく豪華な服装をしている美少年を見つけた。
すごい、ここから見ただけでわかるイケメンだ。
よし、あの人に 日本の伝統的文化のアレをするしかない。
私は、あの美少年の前に全速力で行った。
そして、しゃがみこみ、頭を地面にこすり付けた。
「えっ」
若干、いや、まあまあ相手が引いているように見えたが私は気にしなかった。
「お願いしますうううう!!!」
「魔法学校に連れて行って下さいい!!」
これが日本の伝統的文化〈DOGEZA 〉だ。
でも、ここ日本じゃないから通用しないかな。
「わ、わかった。連れて行くから顔を上げて」
よっしゃああ!!日本以外でも通用したあああ!!!
まだ地面に顔をつけたまま喜んでいると、急に私の視界に薄紫色の髪がうつった。
美少年が私の顔を上げたのだ。
「ふぇっ」
思わず変な言葉がもれてしまった。
だって、めちゃくちゃ美少年との距離が近いのだ。
うわあ、めっちゃ顔整ってる。
あれ、この人の顔、結構可愛い。
イケメンなのに可愛いって……
「え、好き」
「えっと~?」
ちょっと私の口、正直に言うから相手を困らせたじゃん。
このままじゃ連れて行って貰えなくなる!!
「い、いえ、あなたの髪の毛の色が好きだなあと思っただけで……」
「……!」
あれ?おかしい。 相手が唖然としている。
ど、どうしよう。
とりあえず、こういうときは謝るがよろし。
「ごめんなさい!!!」
「何か失礼なことを言ってしまったでしょうか?」
「いや、あんなこと言われたのは初めてだったので……」
え、嘘でしょ。
「こんなにも綺麗なのに……」
そう言ったら、美少年はなぜか顔を背けた。
そして、
「魔法学校に行くんだよね。連れて行くから、ついてきて」
と早口で言ったのだった。
「ありがとうございますううう!!!」
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