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ようやくお互いの気持ちが落ち着いてきたのは、授業終りのチャイムが鳴ってからだった。

彼は生き返ったのではなく本当に死んでしまっているままだということ。

気付いたらこの学園で幽霊として彷徨っていたということ。

ある人に協力してもらいながらずっと自分のことを覚えている人を探していたということ。



『わたしも今死んだら君とこれからもずっと一緒に居られる?』


彼の話をすべて聞き終わった直後、気付けばそう口走っていた。

わたしの言葉を聞いた三葉くんは一瞬だけ驚いたような、傷ついたような、そんな複雑そうな表情を浮かべるとまたすぐにあの悪事を働かせた子供のような顔に戻った。


「……なんで妖怪ナスビババァと一緒に居なきゃいけないのさ。」


『最低』


ジトリとした視線を送るわたしに、ケラケラと鈴を転がしたような笑みを零す三葉くんの姿を横目に結構本気だったのになぁ。と少しのショックを感じる。

だけどそんな小さくて些細なショック、彼と再会できた喜びを思い出せばすぐに打ち消され、思い出話に花を咲かせる。



生前と同じように笑い、喋り、動く彼の姿に本当は生きているんじゃないか。という非現実的な考えが止まない。だけど“幽霊”だという証拠に、彼の体にはわたしのような温かさはなく、心臓の高鳴りもない。表情はコロコロとサイコロのように目まぐるしく変わるけど顔色は変わらない。恥ずかしさに顔を赤めることも、恐ろしさに青ざめることも無いのだろう。


「…もうそろそろ帰らなくちゃいけないじゃないの?」


その声に時計を見ると針はもう下校時刻を指していた。懐中電灯のように淡いオレンジ色の光を灯らせた夕方の低い位置に降り立った太陽が、楽しそうに友達とおしゃべりをしながら帰っていく生徒たちの姿を照らしていた。

三葉くんの言う通りもう帰らなければパパヤママに心配をかけてしまう。そういえば授業を無断で抜け出していたんだった。先生にも一言何か言って帰らなければ。


『…明日も居る?』


目に不安の色を滲ませながら、そう恐る恐る問いかける。


「居ると思うけど」


そんなわたしとは反対に当然のようにそう答えてくれる三葉くんの言葉にまたもや嬉しさに染まった花が咲く。


『また明日ね』


「また明日」


あの日と同じ会話が私たちの会話を中断させた。

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