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桜咲かな
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#学園
人間🫧🪄/👤💚
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第18話、お疲れ様です…! 国際犯罪組織「クロノス」か…江口の事件とも繋がってたんだね。峯岸さんの「俺は叩き上げのデカだ」って抵抗、逆に彼の誠実さが出てて好きだな。異様な冷酷さや記憶を壊す手法…このシリーズのダークテイストがじわじわ来る。 渚くんに話さないって決めたところ、胸が締め付けられたよ。守りたい人を背負って戦う刑事の覚悟、重くて苦しいけど、それだけ彼の人間らしさが見える気がする。この闇の先、どうなるんだろう…。
「……国際犯罪組織、だぁ?」警視庁本部・捜査一課の会議室。窓から見下ろす霞が関の街並みに目を遣りながら、俺は手元の極秘ファイルに視線を落とし、低く唸った。
会議室の空気は、いつもの殺人事件の現場とは明らかに違っていた。
スーツの着こなしがスマートな警察庁の出向組や、国際捜査課の面々。その重苦しい静寂の中で、俺のくたびれたジャケットと煙草の匂いは浮きまくっていた。
「そうだ、峯岸警部補」
壇上に立つ警視庁幹部が、プロジェクターのスクリーンを指し示しながら重々しく口を開く。
「東南アジアを拠点とし、暗号資産と特殊詐欺、そして人身売買まで手広く手掛ける巨大国際詐欺グループ『シンジケート・クロノス』。奴らは日本の高齢者や若者から数十億円規模の資金を吸い上げ、さらに被害者を言葉巧みに海外へ誘い出して強制労働させている」
スクリーンに映し出されたのは、東南アジアの鬱蒼としたジャングルの中に突如現れる、最新鋭の要塞のようなカジノ複合施設の衛星写真だった。
「奴らの首魁は通称『ファントム』。国籍も本名も不明、姿を見た者は身内すら稀という徹底した秘匿主義だ。……だが、先日の〇〇大学附属病院での『サイバー遠隔殺人事件』を覚えているな?」
「……江口のヤマか」
「そうだ。江口が使っていた遠隔ハッキングプログラムのバックドア(裏口)を解析した結果、その通信先がこの『クロノス』のサーバーと合致した。奴らは日本の医療機関や重要インフラにまで侵入を試みていたんだ。警察庁主導で合同捜査本部が設置される。……そして君には、この特別捜査班(タスクフォース)の現場指揮官として加わってもらう」
「……待ってください」
俺はファイルをテーブルに叩きつけた。
「俺は叩き上げの殺人犯捜査(ヤマ)のデカですよ。英語も話せなきゃ、サイバー犯罪だの国際詐欺なんて柄じゃねぇ。他に適任がいるでしょうが」
「君が抜擢された理由は一つだ、峯岸」
幹部は真っ直ぐに俺の目を見つめ返してきた。
「奴らの『ファントム』と呼ばれるボス……そして幹部層は、単なる犯罪者ではない。過去に奴らの拠点から生還した潜入捜査官の遺品や証言から、奴らは『洗脳』や『記憶の改ざん』、さらには人体実験めいた手法で手下を完璧に支配している疑いがある。理屈や科学では割り切れない『異様な冷酷さ』と『人の精神を壊す術』を持っているんだ」
「……精神を壊す……?」
「君はこれまで、数々の不可解で常識外れの難事件を解決してきた。……だからこそ、君の『目』と『土壇場の直感』が必要なんだ」
会議室を出た廊下で、待ち構えていた佐藤が不安そうな顔で駆け寄ってきた。
「せ、先輩……本当なんですか!? 国際捜査班に引き抜かれたって……! 相手は海外の巨大組織ですよ!? 銃器どころか軍隊並みの装備を持ってる噂もありますし……!」
「声が大きいぞ、佐藤」
俺はポケットから火のついていない煙草を取り出し、ガリッと噛み砕いた。
背中を伝う、嫌な汗。
江口のサイバー殺人に、神代家の『記憶を奪う箱』。あの手の「人間の理性を嘲笑うような悪意」の匂いが、この国際詐欺グループの背後からもプンプン漂ってきやがる。
「……渚には、絶対にこの話をするなよ」
「え……?」
「相手は海外の巨大組織だ。これまでの国内の事件とは危険の桁が違う。あいつは今、せっかく大学で普通のキャンパスライフを送り始めたんだ。これ以上、きな臭いヤマに巻き込ませるわけにはいかねぇ」
「先輩……」
「俺と本部の人間でサクッと首根っこ押さえて終わらせる。いいな」
そう佐藤に釘を刺したものの、俺の胸の奥には消えないざわめきが残っていた。
記憶を操り、人を死に至らしめる「ファントム」。
科学とオカルトの狭間に潜む巨大な悪意。
……本当に俺たち警察(大人)だけの力で、この悪夢を叩き潰せるのか?
夕暮れの警察庁の階段を下りながら、俺は一度だけスマホの画面を開き、渚から届いていた「今週末のパフェ、楽しみにしてますね!」という呑気なLINEのメッセージを見つめた。
「……守ってやるさ。お前の平穏も、未来もな」
俺は画面を閉じると、闇が立ち込め始めた霞が関の街へと足を踏み出していった。国際規模の最悪な事件(ヤマ)の渦中へと。