ボクは、元知能天使のナナ。
今は、知能天使をやめて、旅をしています。
ちなみに…ボクの好きな食べ物は、ベリアンさんの作るマドレーヌ。
……また…食べたいな。
 「おはよう。主様」
そんな優しい声で、目を覚ます。
目の前には、ニコッと微笑むべレンさん。
『ひゃっ!?ち、近いです!』
びっくりして、すぐ起き上がってしまう。
「あれ?そんなびっくりしちゃった?ごめんね」
謝罪の代わりに頭を撫でる。
べレンさんの手は、大きくて…ちょっとゴツゴツした…男の人の手。
…1度だけ…べレンさんに手をぎゅっと握られたことがある。
ボクの小さい手なんかすぐ収まって…。
ちょっとだけ、ドキドキしたことを思い出した。
 「おい、飯が出来たぞ早くおき…」
シロさんに頭を撫でられているところを見られてしまった。
「…べレン…何をしている…」
「何って…主様をなでなでしてたとこだよ?ほらこーやって…」
耳元でよーしよーしと、ゆっくり囁きながら、ゆっくり撫でる。
『べ、べレンさんっ…恥ずかしい、です…』
羽がちょっと動いてしまう。
頭を撫でられているだけで、こんなに恥ずかしくなるなんて…。
「はぁ…行くぞ」
手を取ってくれる。
シロさんの手は、綺麗だけど…ちゃんと男って意識するような手。
この手で、撫でてくれたら…。
なんて…ボク、犬みたい。
シロさんの前で、わんって鳴いて…甘えたい。
あは、嫌われちゃう、か。
 
 「あ、主様!おはようございます!」
ムーが、ご飯の前で待っている。
あったかそうなスープが目の前に置かれた。
『シロさん…これは?』
どうやら、玉ねぎを丸ごと使ったスープらしい。
シロさんが作ってくれたそうだ。
「ロノの腕よりかは劣るが…まぁ美味いと思う」
相変わらず、そっぽを向いている。
「…ねぇシロもう少し素直になろ?」
「は?黙れたわけ」
「たわけって言われちゃった…」
この2人の会話は聞いているだけで面白い。
微笑みながら見ていると、急にシロさんが近づいてきた。
「…まぁ…今日は素直でも良いかもしれぬな」
そう言って、ボクの手を取り、頬に擦り付けた。
「ふっ、お前の手は小さいな…愛らしい」
少し微笑むシロさん。
その目は確かにボクを捉えていた。
『ちょっ、まっ!?…っ…やだ…恥ずかし…』
目を逸らすと、頭を掴んでくる。
「目を逸らすなちゃんと我の目を見ろ」
心にしっかりと響くシロさんの声。
どうしよう…。と思っていると
「ねぇ、シロ…執事としての距離ってものがあるんじゃないかな?」
「は?お前だって囁いていただろう」
「じゃあなんで主様の頭掴んだの?ねぇ?」
「黙れべレン」
争いになる前にムーちゃんが止めてくれた。
やりすぎるとこうなるのがお約束だ。
これを見るのが本当に楽しい。
『さて…冷めないうちに…いただきます』
 「ちゃんと食べられたねえらいえらい、 よーしよし、いい子いい子」
何故か、ご飯を完食しただけで撫でるべレンさん。
こんなに過保護だとボクの将来が大変なんだけど…。
『ねぇべレンさんなんでボクがご飯を完食すると撫でてくれるの?』
興味本位で聞いてみると
「最初主様を見た時ね、ご飯をあんまり食べてなかったから…俺が守らなきゃ!って思ったんだよね、あはは」
それはボクが少食なだけだと思うけど…まぁ、べレンさんがいいならそれでいい。
「あぁ…それは我も分かる。こやつ…食っておらぬのか…?と思った時もあった 」
「えぇ!?シロさんもそう思ってたんですか!?」
ボクが少食だという、話題に切り替わり、少しの間そんな話題で盛り上がった。
 『さて…目的なんだけど…どうする?』
旅と言っても目的がないと旅ではない。
皆で悩んでいると
「なら…中央の全部巡りは??結構広いしさ」
「良いな、賛成だ」
「僕も行ってみたいです!」
皆べレンさんの意見に賛成している。
ボクも中央の街を巡ってみたかった。
『いいよ、行こう!』
そうして、また歩き出した。
 
 
 
 
 
 
 その頃…。
「なるほど…今はこの辺りに…出発したんですね」
「ソウだヨ、どう?オイかけル?」
悪魔が優しく囁く。
その囁きが、脳にに響く。
最近…妙に、眠れない。
心配なのだろうか。
それとも…代償なのだろうか。
もうそんな事を考えるのも出来なくなっていた。
「ダイジョウブ…。無事に見つけ出せれば…元にモドルヨ。アハハッ」
主様とべレン…そしてシロさんとムーちゃん。
4人を見つけ出すことしか考えられない。
「待っていてください…この私、ベリアン・クライアンが必ず…見つけますから」
ベリアルに映る私の瞳は…濃く渦巻いていた。
コメント
2件
主様とムーちゃん可愛すぎる…そしてシロベレイケメン…ベリアンは…休め(?)
私の推し×2と主ちゃんとムーに手を出したら私が許さん